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君のソナタ  作者: R a bit
9/34

番外、切り取られた原稿用紙の四枚目

次からはまた律が中心になる予定です。

以前までは黒井くろいこころ矢部やべ治美おさみ恋澄こいずみ色芭いろは外界に住まう者(アウトサイダー)の証言を素にして俺、宮古みやこりつが纏めた物だが、今回は違う。

これは黒井心が遺したノートに記された、

やたらと長く、この日しか記録されていなかった日記を読んで私が頭の中で補完して書いたものである。

物語チックにするが、最後には原文の一部を記そう。

私はこの、黒井の日記(叫び)を後世に伝えたい。

では暫く

この策略と愛情と愛憎が織りなす物語を

そうだな…私が敬愛する小説家をリスペクトしこう称する

織物語おりものがたりをお楽しみあれ。


橋李はしり虎古もこが宮古律の復帰に協力する旨を表明した日。

部活がある橋李と発目はつめはじめを除いた黒井、恋澄、外川そとがわの三人は1年A組のクラスカーストの高い人物へ、交渉しにいっていた。

相手の名は逢川あいかわ愛依あい

ギャルという言葉の擬人化。

文学少女の擬人化である恋澄とは対を成す存在。

個人的に宮古律には恩があるが、黒井を除いてそれを知る者はいない。

長い黒髪と長いスカート。

まるで隙のない少女、恋澄は外川が怯みまくるほど陽の雰囲気を放ち、近寄りがたい空気感を友人たちと形成する逢川へ、何の躊躇ちゅうちょも無く話しかけた。

「逢川さん。少しお時間頂いても宜しいでしょうか。」

切れ長の目によって高圧的な恋澄の佇まいに、

逢川の周りの人たちは少し怯んでいた。

逢川もまた、これはお願いではなく命令だと理解している。

「分かった。何分で終わりそう?」

普段は軽い雰囲気の口調の逢川だが、

今はそんな気配は微塵もない。

「十分貰えたら十分よ。」

恋澄もまた、何故か上手いこと言ってやった。と思った時に口調が変わる癖を持っていた。


ただ黙々と移動し、廊下を通って屋上へと繋がる階段に辿り着く。

窓の外には部活に励む人たちの姿があった。

その中に橋李虎古もいた。

階段の一番上の段に足をつけると、不意に逢川が振り向き恋澄を睨みながら高圧的に言葉を投げかける。

「で?私に何してほしいの?」

恋澄としては意外と感じる他ないだろう。

何故態々逢川を狙ったかと言われれば、

それは黒井と逢川の関係が悪くないからだった。

然し、逢川は不機嫌を隠そうとしなければ、黒井もまた、何か言葉を綴ることは無かった。

「何?なんで黙るの?私別に暇なわけじゃないんだけど?」

予定を変更するしか無かった。

外川はいつも通りだが、黒井がこうでは役に立たない。

恋澄は渋々、一人で終わらせることにした。

「逢川さん。貴女ならもう現状は分かっているでしょうけど、一応言わせてもらいます。宮古君を学校に戻すため、協力してくれませんか?」

そもそも逢川のせいで現状がある。

恋澄としてはここは黙って頷いて欲しいところだった。

だが勿論。そんな上手く事は運ばない。

逢川はただ淡々とこう告げた。

「恋澄色芭。あんたが宮古を戻したがる理由を教えてくれたら…まぁ、考えてあげるよ。」

日記によると、この時黒井は外川を上手く逃がして行動に移るつもりだったらしい。

しなかった事から恐らく黒井もこの事には興味があるようだ。

確かにその通りで、恋澄が宮古に肩入れする理由は誰も知らない。

聡明な彼女らしくも、他人に興味のない彼女らしくもない。

「別に…特に理由なんて」

「あ!解った!弱み握られたんだ!」

敢えて苛立たせるような話し方で逢川は声をはる。

「仕方無いよね?だってあいつ、何でもお見通しだもんね!?どうせあんたも」

唐突に逢川の声が止まる。

そうして何かを察したように逢川は表情筋を緩ませ階段を降りる。

「いいよ。協力してあげる。あんたも私と同じだってわかったし。」

その日はそれ以上何も起こること無く終わった。


同日

美琴みこと。そろそろ帰るぞ。」

宮古律は美琴との買い物に出かけていた。

何故だかはわからないが唐突に洋服がほしいと言われたのだが、これも何故だか美琴は一着しか買わなかった。

「は〜い。」

横に並ばれると実感するというものか。

逆に言えばそうでなければ気付けなかった。

「美琴、少し背伸びたか?」

「そうかな?そうかもね。」

昔から美琴は家から出ようとしなかった。

あの時、宮古律が昨日のバイトから帰った時に、誰かに会っていた可能性もある。

「ねぇ、律君。いいの?誰かがこっち見てるけど、知り合いじゃないの?」

美琴が指を指した先に居た人物は


律君?


「っ!?黒井。」

黒髪ショートの背の低い少女。

声を出す代わりに手に持ったノートブックで筆談する

虐待とイジメによって失声症になった少女

黒井心その人だった。

黒井はただ項垂れているだけで、何故か人々の視線が刺さる中、宮古律は美琴の手を引いて家へと帰った。

結局宮古律が次に学校へと赴いたのは

中間試験の日

およそ今から一ヶ月後となり

その後も一学期は期末試験と終業式にしか学校に来なかった。

誰が辞めようと言ったのかはわからないが、

恋澄と外川、黒井の奮闘はなんの成果も得ることはなく

橋李も逢川も自然ともとに戻った。



5月14日

今日は色々起こった。

発目さんと橋李さんが協力してくれることになった。

恋澄さんはよく働いてくれている。

ただ、危険なのもまた同じ。

勘ぐられる前に排除しないと。

でもそんなこともどうでも良くなるくらいに衝撃的な事が起こった。

律君が知らない女の人と買い物に行っていた。

許さない。

律君は、私だけのものなのに。

許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない

手首が痛いから、もう寝ることにする。

因みにこの作品のテーマはいびつです。

より作品を楽しんでもらうヒントみたいなものですが、

書いてあることを疑う事です。

そして書いてあることを信じる事です。

そして作者の私の性格が悪いので真相は後回しにされがちです。簡単に理解させてたまるか!って気持ちで書いてます。

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