番外、切り取られた原稿用紙の一枚目
予定変更しまくりでお送りします。
これは、俺が学校を休んでいた数日間の出来事を
主要人物 黒井心、矢部治美、恋澄色芭、外界に住まう者(笑)の証言をまとめたものである。
俺が登校をやめてから二日の事である。
この日も黒井は朝早く、俺のいない教室で窓を眺めていたらしい。
彼女らしいのは、窓の外の景色ではなく反射する自分と外の景色を同時にピントを合わせて見れないかを試していた事だ。
その時、普段ならもっと遅く登校してくる一人の男子生徒が黒井へと近づいていた。
「ブラック・ハーツよ。やはり貴様もこのつまらない世界に辟易としていたか…」
外川君おはよう。今日は早いね。
あと、私のことブラック・ハーツって言うのやめて
「記憶を失っているのか…仕方あるまい。
貴様は先の大戦で既に四回目の死を迎えている。
既に今までの記憶は無くなっているだろう。
今一度名乗ろう!我が名は外界に住まう者だ!」
右目を抑えながら
「クックックッ」とやけに面白い笑い方をし、指の隙間から右目でチラチラと黒井の反応を伺っている。
あと、ツッコもうと思ってたら流されたけど
辟易としただとそのつまらない世界に負けてるからね?
その場合超越的なニュアンスのアウトサイダーが
一瞬で蚊帳の外状態の可哀想な外川君になるからね?
ツッコミを食らっても尚、外川はポーズを崩そうとしない。
「たかだか一般人如きに相手をするつもりはないのさ…
只ブラック・ハーツ…すみません。黒井さん君は別さ。」
途中で黒井に睨まれ、素を出しつつも外川はキャラを貫いている。
「あの、申し訳ないのですが通行の邪魔になる為少しはけてもらってよろしいでしょうか。」
背後からするラムネ瓶のように冷たく、透き通った声に外川は身体をビクッとさせながらも直ぐに道を開けた。
「あ…はい。すみません。」
素はいい人なのだろう。
「あー…んんっ!ではブラ…黒井、また追憶の先で会おう!」
ちなみにこのやり取りは俺が不登校になってから行われるようになったらしい。
「あの、黒井さん。少しお時間頂いても宜しいでしょうか?」
長い黒髪、背丈、スカートをシワもよれも枝毛も無く揃えている。当に才色兼備そのものである。
艷やかな黒髪を耳にかける仕草と共に、聡明な雰囲気の少女、恋澄色芭が外川と入れ替わるように黒井に声をかけた。
いいよ。お話しよ。
相当外川が面倒だったのだろう。
いや、それ以上に普段誰とも関係を持とうとしない恋澄自ら自分に話しかけてきた事が、彼女にとって嬉しかったのだろう。
もしくは相当外川が面倒だったか…
「黒井さんは、宮古君の事を好意的に見ているのですよね?」
普段は凛々しく背筋も腕も、地面に垂直に突き刺さる程真っ直ぐで自信に溢れた彼女だが、この時だけは何処か不安気で儚さを纏っていたそうだ。
「その…今の彼の状態をどのように捉えているのでしょうか。」
後の恋澄曰く、一瞬だけ黒井の顔が今まで見たことのない程暗く、不吉さを孕んでいたそうだ。
恋澄さんも気になるの?律君の事。
「いえ、私は…まぁ多少は。」
それならさ、今日一緒に律君に会いに行かない?
コンマ数秒で黒井と俺の関係を疑ったそうだが、
バイト先を伝えられ我に返ったらしい。
「わかりました。では今日の放課後その公園とやらに」
「話は聞かせてもらったぞ!!」
いつもよりポーズをキメ(ェ)、外川が話に乱入した。
黒井は心底面倒くさそうな顔をしていたそうで、
恋澄も以降は外川を警戒するようになったらしい。
「犯罪です。やめてください。セクハラで訴えますよ。」
「あ、はい。すみません。調子乗りました。」
黒井には声をかけれても、外川もまた、恋澄が苦手のようだ。
外川君って、別に律君と仲が良いわけじゃないよね?
急にどうしたの?
「フッ、愚問だなブ…黒井さんよ。理由は一つだ。」
バッバッとポーズを高速で切り替えながら、
高らかにここが学校という公共の場であることを忘れてこう叫んだ。
「あいつは間違いなく厨二病患者だ!!!」
同刻花粉症でもなく引き起こされたくしゃみが外川…
もとい外界に住まう者によるものと知るのはそこまで遠くない未来であった。
同日放課後、某第一保健室にて
先の三人と矢部の証言を加えて作成したものだ。
「え?宮古君が今何をしているか?」
タイミングよく煙草を吸っていなかったようで、
最大四人座れるデスクで件の四人が会話していた。
「はい。一クラスメイトとして、今回の件は放っておけないと判断しました。」
うーん…と唸りながら矢部は恋澄の顔をジロジロと観察する。
「君は、宮古君が何をしたか、何故したのか知ってるんじゃあないかな?」
当然といえば当然だが、実際にカウンセリングの被害に遭った人物、俺や重平に逢川や三木、飛貴を除いた全校生徒から矢部に対する評価は、
何故か煙草を吸っても解雇にならない、理事長と何かあるヤブ医者である。
恋澄からすれば、矢部がどれだけ頭が働くかも俺と関係が深いことも知りようがないのだ。
雛鳥の見た目は可愛いが、口内は何処か気味の悪さがある。みたいな感覚に襲われたことだろう。
「ハハハ。そんな警戒しないでくれ給え。」
文字に起こして思い出したが、俺は給えを漢字で書く人が嫌いだ。あたかも自分頭いいですよアピールしてる感が否めないからだ。
まぁこれは恋澄の証言(手紙)をもとにしている為、こういう表記となっている。
「で、何だっけ?宮古君の近況だっけ?」
はい。お願いします。
矢部はあまり黒井を良く思っていないのか、三人共矢部が不機嫌だと感じていたそうだ。
「彼は今、四六時中バイト漬けだよ。凌君や美琴ちゃん、黒丸との時間も増えて、案外今の生活も気に入ってるんじゃないかな?」
凌君や美琴ちゃん?
「あゝそうか、宮古君は余り自分の事は話さない主義だったね。まぁ兄弟だよ。黒丸はペットだけどね。」
新しい情報を黒井はノートに書き留め、恋澄は物思いにふけっていたそうだ。
「黒丸?可笑しいぞ。」
唯一直ぐに疑問を感じていたのは外川だった。
「おかしい?何が…とは言えないか。」
因みに俺はこの時の矢部の対応に感謝せざるを得ないだろう。少なくともこれによって俺は後に友人が増えることとなった。
「俺は猫を飼っている。名は狂い咲く鎮魂歌だ。何故同族の宮古は黒丸なんて名前をつけている!?」
数秒間の沈黙の後、冷たい目線に気づいて外川は静かに卒業式練習のように着席した。
恋澄さんはペット飼ってる?
しかし、その話題は黒井によって広げられるらしい。
「ええ。私も猫を飼ってるわ。名は未だ無い。」
そんな夏目漱石みたいな感じなの?
らしいといえばらしいけど。
「いいえ、今田奈衣よ。」
再びの沈黙。
どうやらこの話題は、広げれば広げるほどあまり良くない方向に進むようで。
矢部が話を戻した。
「一つ忠告しておくよ。」
矢部は黒井の方を見やり、悪態をつくように伝えた。
「彼の家には行かないほうが良い。
あの三人と一匹は異常だよ。」
このあたりの話は矢部を中心に聞いた。
心外だ。とは思わなかった。
少なくとも、俺はともかく凌と美琴が抱える闇は
到底高校生等と言う少し背丈の高い子供には、
考えつかないようなものだから。
恒例の誰も興味ない小話です。
本当は君がはのシリーズとしてやってくつもりだったんですよ。
君は何方
君の背中
君のせいだ
君がくれた
君は彼方
君の形見
君のソナタ
で本編終了。
拝啓無題草々
向日葵を夢に見る
夜中列車とバルコニー
のスピンオフ的な感じを想定していたら
一話(♯2)をかこうとしたらある人物が出てきたんですよ
橋李虎古っていう知らないやつが頭に出てきてですね
二年から登場させる予定だったのに、
知らない間に主要キャラに入り込もうとするもんで
まぁ律の設定とか最終話までの流れが大分かわりましたね
しばらく律がいなかった時の話になります。
不定期ですがどうぞよろしく