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君のソナタ  作者: R a bit
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13/39

♯13,君と潮風3

先に言おう、まだ海には行かないと。

「ねぇ、りつ君。人っていつ死ぬと思う?」

病室のベッドに背中を預ける、白髪の大人びた女性は、読んでいた本を閉じ、そう俺に問いかける。

「俺はてっきり小説を読んていると思ってたが、まさか某海賊漫画だとは思わなかったな。」

茶化しつつも頭の片隅で考えていた。

人はいつ死ぬのか。

「いや。読んでいたのは小説さ。」

「なら何を読んで何に影響受けたんだ?」

哲学の類だろうか。

「猿でも出来る会話術。」

「自己啓発本もどきみたいなの読んでるな。あと猿は会話出来ねぇし、似たタイトル多いんだよそういうの。というかそれ読んだ末の第一声が哲学の話は何も学べてねぇだろ。」

「そんなことよりも」と眼の前の白髪の女性は続ける。

「少しは考えてみてよ。そしたら」

あぁそういえば、彼女はなんでこんな事を言ったのだろうか。今日もこんな夢を見るくらいなのだからきっと

「私が死んでいるのか生きているのか、君に決めてほしい。私はそれを待ち望んでいる。」

いや、辞めよう。

今の俺には関係のない事なんだ。

あの人は、俺の姉は死んだ(・・・)


りつ君…居る…?」

布団からくぐもった声がする。

今はもう11時になっているが、おそらく今起きたのだろう。昨日はあまり寝れてないのだろうか。

「ああ、居るぞ。何かあったか?」

そろそろバイトの時間になる故、あまり時間がかかるようなら早めに店長に連絡したい。

まぁその点においては、美琴なら平気だろう。

「替え。」

「何を?」

「買って。じゃなくてね…その…替え。」

あぁそういう。俺は持ってきた着替えやら何やらを渡した。

「手伝うか?」

何時もならそんな事はしないが、今の美琴は病人だ。

ある程度の手伝いくらいはするべきだろう。

「いらない…」

「そうか。」

俺はそのまま部屋を出た。

この先の展開は何となく分かるだろう。

そうタイミングが悪かった。

再び階段を上るそとが…おっと失礼。

外界に住まう者(アウトサイダー)こと悪魔のお兄ちゃんと出会った。

宮古みやこ?今日も居るのか。」

そういう外川そとがわこそ毎日偉滝(いだき)に会っているのだろうか。

「言ってなかったか?家族が入院してんだ。」

りょうと会っていたみたいだが、美琴はどうなのだろうか。もし外川が美琴と会っているのなら

俺は外川への警戒度を上げる必要がある。

「そうだったか?宮古も大変だな。そうだ。もし時間あるなら偉滝と話すか?」

外川の話し方から察するに、どうやら俺と偉滝に接点を持たせたいらしい。

俺も偉滝の事は気に入っているし、何よりあまりあの状態の偉滝を放っといて置きたくはない。

「いや、辞めておくよ。これからバイトなんだ。次に機会があったら誘ってくれ。」

「そうか、偉滝に伝えておく。バイト頑張れよ。」

外川はここが公共の場だからか、存外俺に対しては心を開いているからか、何時もの気取った話し方ではなく爽やかにそう言い残し、階段を駆け上がっていった。


バイト中、それ(というかそいつ)は唐突に訪れた。

何事もなく時間が過ぎ、あと三十分という時だった。

見慣れたシルエットが自動ドアを通過した。

その人物はスポーツドリンクを二本を持って、俺のレジの前に立ちただ淡々と告げる。

「宮古君、少し話がある。そこの公園で待ってるけどあとどれくらいで終わりそうなの?」

怒っているよう…いや多分かなり怒っている声音で、

褐色に肌が焼かれた快活な少女

橋李はしり虎古もこは、静かに獲物を見つめる虎のような目つきで俺を見る。

橋李とは体育祭での一件で、完全に関係を絶ったと思っていたが、案外人と人の縁とは簡単に断てないようだ。

「あと1時間ある。それでもいいか?」

橋李は時計を見て、少し考えながら確かに頷いた。


俺は約40分後に例の公園に向かった。

橋李は、黒井くろい飛貴とびたかが座っていたのと同じベンチに腰を掛けていた。

「宮古君?言ってた時間より20分程早いけど?」

「帰って欲しかったのが半分、試したかったのが半分だ。嘘ついたのは申し訳ないと思ってる。」

もし俺に文句を言うだけなら三十分も待たないだろう。

1時間は言うまでもない。

この結果になったという事は、まぁ恐らく十中八九簡単な話ではないのだろう。

「黒井さんから8日に海に誘われてね、本当ならそこで言うつもりだったんだけど、他にも人が居るみたいだから今話しに来た。」

どうやら俺と黒井に用が有るみたいだ。

それにしても、まさか橋李を誘っていたとは。

他の人とは、外川だろうか。

確かに昨日の夜に黒井に伝えたが、俺が誘った外川を、態々他の人(・・・)と言う必要はない。

黒井が別で誘ったか。

それとも橋李が単純に外川と面識が無いだけか。

俺に言えないような人を誘っているのか。

兎に角、今考える必要は無い。

俺と黒井に用という事は、体育祭で間違いない。

その内容を知らせたくない人間なら、俺には関係ない。

橋李は至って真面目な顔で、随分素っ頓狂な事を言い出した。

「君を狙っていた犯人を見つけた。」

言い切った橋李は勿論、俺すらも言葉を失った。

俺を狙っていた?

「俺は誰からも狙われた記憶は無いな。蚊じゃあるまいし、そもそもそれを言うならクラスメイト全員がそうだと言える。」

狙っていた。とは恐らく体育祭終わりの俺のロッカーの件だろう。

あれを誰がやったかなんて、正直知ったって意味はない。

俺の狙いはクラスメイト全員が俺を嫌うこと。

確かにあまりにもオーバーに嫌われはした。

俺も、まさかあそこまで露骨にやられるとは思わなかったし、学校を休む気もなかった。

俺の見立てでは、次に何とかしようと逢川あいかわが動き、その誰でもいい誰かと言い争って停学処分。

だと思っていた。

恐らく、凌も似たような事を考えてあんな事を言った。

結果がどうなったかは言うまでもない。

知らぬ間に俺へのヘイトは収まり、

凌の予想と俺の見立ては外れ逢川は残った。

この件に関しては、クラスメイトが俺の思うより体育祭という行事に思い入れがなく、予想以上に黒井のコミュニケーション能力があった。

それだけだと思っていた。

「体育祭をサボった君のことをよく思わない人は大勢だった。何も言わなかった人は逢川さん、恋澄こいずみさん、発目はつめさん、思馳瀬おもいはぜさん、飛貴君、暮茅くれがや君。」

橋李は淡々と人の名前を列挙した。

聞いた名前ばっかりだった。

気になるのは黒井と外川の名前がないこと。

あの二人が俺にそこまで憎悪を抱いてるとは思えない。

「気づいてると思うけど、黒井さんと外川君は別だよ。

あの二人は黙ってなかった。当に言葉通りにね。

黒井さんも外川君も声を大にして訴えてた。

『宮古君は只サボっただけじゃない。黒井さんの代わりに汚れ役を演っただけだ!』って。」

そういう事か。

何故橋李がそこまで俺を嫌わないのか、これで合点がいった。(俺としては橋李とはあまり関わりたくない。)

「あぁでもこの2人だけじゃないよ。さっき言った人たち全員、私か矢部やべ先生に相談してた。」

良かったね、少数精鋭で。とちょっと皮肉を効かせて呟いた。

「で、その犯人ってのは誰だったんだ?」

何度も言うが、この点において興味はない。

なんとなく、流れでだった。

だが、その名前は案外、いや意外なものだった。

「逢川さんだよ。逢川愛衣(あい)。」


今日から8日まで、特にイベントがなかった為、あえてネタバレすることにしよう。

最終的に黒井が誘ったのは、橋李、逢川、恋澄、思馳瀬

そして、俺が海に誘った人物は外川と焦柄こがれづか偉滝になった。

そろそろ恒例になる、ちこっと小話のコーナーです。

ジャンルがヒューマンドラマになってるんですが、正直読んでいてこう思ったと思うんです。

これ、どっちかって言うと推理要素のが強くないか?と。

後書き読んでくれていればわかるんですけど、初期設定から大きく変更してるんですよ。

初期設定はミステリー兼ヒューマンドラマだったので。

まぁ言ってしまえばここまでは布石みたいなものです。

成長したと思いませんか?他作品の方では12万文字以上使ってようやく布石を撒き終えたんですよ。

要は基本的に主要キャラは出したのでここからが本番です。

そんな長くならない予定ですが。


それと、間隔は不定期ですが基本的に朝か夜の7時半に投稿するようにしてるので朝か夜の7時半に暇になったら確認してみてください。

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