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【書籍化・コミカライズ】自分を押し売りしてきた奴隷ちゃんがドラゴンをワンパンしてた  作者: 溝上 良
おまけ章 小説・コミカライズ発売記念編

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【コミカライズ1巻発売記念】舞子さんとの(強制)デート

 









 ギルドという大勢の人の目がある中で、とんでもない発言――――情夫(ヒモ)になれ発言――――を受けた俺。

 あまりにもいたたまれないので、すぐにギルドを飛び出した。

 いや、だって……目が怖かったんだもん……。奴隷ちゃんと受付嬢とルーダの……。

 皆すんごい目しているんだから。

 ちなみに、奴隷ちゃんは当たり前のようについてきている。怖い。

 いや、奴隷なんだから当たり前のことなのかもしれないけど……。

 ……早く奴隷解放したいなあ……。


「さあ、行くわよリヒト。領民たちにいっぱい色ボケしている姿を見せなくちゃ」


 ギルドから飛び出し、街中を歩く。

 そんな俺の腕を当然のようにからめとっているのは、ヒモ宣言を爆誕させてくれやがった舞子さんである。

 俺と同じ転移者で当初は劣悪な環境に落とし込められていた彼女であるが、持ち前の美貌と高い能力のおかげで、今では名家スタルト家の当主として君臨している。

 要は、乗っ取りである。怖い。


「俺のメリットまったくないから行きたくないんだけど。あと、奴隷ちゃんの顔を見るのが怖いし」

「大丈夫よ。人と思えないような顔をしているだけだわ」

「大丈夫な要素あった……?」


 奴隷ちゃんの方からブツブツと聞こえてきているのは呪詛かな? 恐ろしいんだけど。

 それなのに、舞子さんはむしろ俺の腕に身体をさらに寄せてくる。

 ぐにゅりと豊満に実った胸がつぶれて感触は良いはずなのに、何も感じないのは奴隷ちゃんに対する恐怖ゆえか。

 こんな美女に密着されているのに、微塵も嬉しいと思えないところが凄いよな。

 舞子さんは変な被虐性癖があるというか……。

 奴隷ちゃんの口にするのもはばかられるような悍ましい殺気を受けても、なぜかゾクゾクと頬を紅潮させていた。怖い。


「まあ、とりあえず買い食いよね」

「言い方……。食べ歩きとかにしとかない……?」

「リヒト。私、あれが食べたいわ」


 あ、俺の言葉は完全に無視ですね、分かります。

 グイグイと俺の腕を引っ張って屋台の前に出る。

 ああ、屋台のおっさんも舞子さんの美貌を見て顔を蕩けさせている。キモイ。

 目はがっつり胸にいっているけどな。

 まあ、こんな感じで人を食ったような言動をしているが、色々と苦労も多いだろう。

 少しくらい楽しんでもらえたらいいと思って、俺も薄く笑う。


「うん、買ってきたら?」

「女に金を出させるデートがどこにあるのよ……。本当、そういうところなのよね、クソ童貞が」

「ど、童貞じゃない!」


 ひ、人の目があるところで何てこと言ってくれてんだ、この女ぁ!

 俺の慌てっぷりを見て、やれやれと首を横に振る舞子さん。


「知ってるわよ」

「知っているとは……? マスター……?」

「よし、買ってくるよ。ちょっと待っててくれ」


 俺はすぐさま屋台のおっさんと話をする。

 決して奴隷ちゃんが怖いとか、そんなことではない。信じてほしい。

 しかし、俺のおごりかぁ……。

 別に絶対に割り勘じゃないといけないとかはないけどさあ……。

 明らかに俺より金を持っている奴におごるのって、何となく嫌なんだけど……。

 あと、単純に奴隷ちゃんの食費に家計が圧迫されているから、できる限りお金を使いたくないのだ。

 ……おかしいな。なんで奴隷の食費で家計が圧迫されているんだ……?


「はい、どうぞ」

「ありがとう、リヒト」


 買ったものを舞子さんに渡せば、ニコッと微笑んでくれる。

 うーん、見た目は良いから本当に綺麗な笑顔だ。

 本性知らなければ、俺も騙されていたことだろう。

 ……いや、最初のころは騙されていたんだよなあ。

 少し離れた場所にあったベンチに二人して座る。


「でも、これ熱いのかしら?」

「んあ? どうだろうな……」


 食べようとしていたところで、舞子さんがじっとそれを見ながら悩む。

 まあ、火を使っていたし熱いものではあるだろうけど……。

 しばらく考えていた舞子さんは、パッと俺の方を見てにっこりと微笑んだ。


「はい、リヒト。あーん」

「いや、それ俺で試す気だろ嫌あああああああああああああづああああああああ!?」

「冷ましながら食べた方が良さそうね……」

「もっと確かめ方なかった!?」


 口に押し付けられて火傷したぞ!

 クソ……! こんな拷問じみたことをされたのは、奴隷時代以来だぜ……!

 嫌な思い出が頭をよぎってしまう……。


「舐めたら傷が癒えるのも早いらしいですよ。じゃ、舐めますね……」

「奴隷ちゃん! 俺まだ何も頼んでないよ奴隷ちゃん!!」


 どこからか飛んできた奴隷ちゃんが、俺の膝の上にダイレクト着地。

 がっちりと肩を掴んできて拘束すると、近づいてくるのはべろべろと動きまわる舌。

 怖い! 止めてぇ! 男の人呼んでぇ!










 ◆



「つ、疲れた……。もう帰りたい……」


 げっそりとしている俺。

 顔がよだれだらけとか言ってはいけない。

 俺の尊厳をかけた戦いがあったのだ。

 なお、敗北した模様。

 今にも倒れ込みそうな俺の身体を、隣に座っている舞子さんが柔らかな身体で支えてくれていた。

 めっちゃ甘い匂いがする……。なんだろう、これ……。


「えー……。他にも行きたいところあったのに……」

「どこ?」

「奴隷商人のとこ」

「最悪だろ。絶対に行かねえわ」


 ニコッと笑いながらとんでもない場所に連れて行こうとしていやがった舞子さん。

 これ、一応街の住人に見せびらかすためのものだよな?

 奴隷商のところに行っても全然見せびらかすことにならないだろ……。


「私とマスターの運命の出会いの場ですね。私をヒーローのように救ってくださったマスターの雄姿、いまだに忘れられません」

「うん……うん……?」


 おかしい……。

 奴隷ちゃんが存在しない記憶を語っている……。

 ヒーローのように救ったなんてこと、絶対にないのだが。

 むしろ、俺が奴隷ちゃんから押し売りを受けて、断れずに買ってしまっただけなんだが?

 記憶の改ざん止めてください……。


「仕方ないわね。それじゃ、帰りましょうか」

「た、助かった……」


 食べ終えた舞子さんは、ようやく満足してくれたようだった。

 ぺろりと艶やかな舌で唇を舐めとると、色気が凄い。


「はい、じゃあ行くわよ」

「……ん? どこに? 俺の腕をそろそろ解放してほしいんですけど」

「どこって、決まっているでしょ」


 俺の腕を相変わらずからめとり、深い胸の谷間に収める舞子さんに意見を言ってみれば、なにを言っているのかと小ばかにしたように笑われた。

 そして、プルプルの唇を動かした。


「私のい・え♡」


 ふっ……。

 俺はその言葉を聞いて、スーッと息を吸い込んで……そして、発狂した。


「やだあああああああああああ!!」

「ちゃんと背中も流してもらうからね」

「もっとやだああああああああああああああああああ!!」

「じゅるり」

「その反応はなんだ奴隷ちゃん!?」


 なお、この後しっかり一緒にお風呂に入った模様。




お風呂の様子はコミックの方でがっつり描写していただいていますので、ぜひ手に取ってください。

人生負組先生が面白くコミカライズしてくださっています。

下記の表紙から無料公開されている漫画版をご覧いただけますので、ご覧ください!

面白いと思っていただければ、ご購入いただけますと幸いです!

それでは!

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