表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/12

ことの顛末について語る②

「側近だった事は一度もない」


俺の言葉の意味がわからなかったのか怪訝な顔をした。


「何言ってるのかわかりません!」


「そうです、なぜ外されないといけないんですか?!」


いやぁびっくりだね。本当にわかってなさそう。


「側近とは常に私の側に仕え、指示を仰ぎそれを実行する。またどうあるべきか考え意見し行動する、時には助言もする。そして私が間違えた時には身を呈して諫言をする。この様に思うがお前たちはどうだ?」


三人ともぐっと言葉に詰まり続かないので側にいるニックに三人の今までの行いを述べさせた。

ニックは俺にわかる程度のドヤ顔で朗々と語る。


「お三方は側近候補となられてから学ぶ為またはリカルド殿下にお仕えする為に一度も登城された事がございません。またお茶会や夜会のおりにも側に侍る事なくご挨拶に来られるのも保護者に連れられた時のみ」


ここで一旦言葉を切るのもニックの演出だ。狙い通り周囲がざわめく。


「学園に入学されて2年半余り経ちますが、殿下にご挨拶に来られる事もなく執務を手伝った事もございません」


周囲がさらに騒がしくなる。


「何もしてないじゃないか、よくそれで側近って言えたよな」


「殿下に近しいからって偉そうに食堂占領してたりさ」


「殿下の能力低いから側近の自分たちが大変だって言ってたはず」


出るわ出るわ、相当恨みをかってたみたいだな。

ロカルト、ニックこんな事で怒るなよ。俺のこと下にみてたのはわかってたんだから。


「まあそれでもお前たちの実家との関係もあるからそのままにしておいたが後半年もすれば卒業だ。さすがに何もしない、出来ない者を民の税を使って雇うわけにいかないから側近候補からはずす為、今までのお前たちの言動の記録を添えて国王陛下に提出し受理されたんだ」


三人とも顔を赤黒くして震えてるけど、いやほんと何で何もせずにそのまま側近になれると思ってたんだ?

そう思ってたのがわかったのかニックに耳打ちされた。

ヤツらの側仕えは揃いも揃って皆太鼓持ちの主従ともに厄介者だったらしい。だから周りも誰も注意しなかったと。実家の方は俺の側近になれなくてもその間に王城でコネでも見つけてくれたらと思ってたみたい。


ああそうか。


「国王陛下に提出した書類に最近のお前たちの言動も載っていたから、婚約者を蔑ろにしていた事やレイス男爵令嬢に現を抜かしてた事も双方に伝わったんだな」


「なっ」


おっ、三人とも今度は青白くなってる。


「でもそれなら納得だな。お前たち婿に入るはずだったんだろ?結婚前に愛娘を蔑ろにされて、しかも浮気する婿なんていらないよな」


いやわざと最近の言動も提出したわけじゃないよ。反証されないようきちんと委細提出しただけだし。ご令嬢方もヤツらの有責で無事婚約を破棄出来たわけだしよかったよね?


「三人とも具合が悪そうだ。保健室に連れていってやれ」


そういうと嬉々として学園の警備が担いで連れてった。

後は実家でどう処理されるかだな。フォローは……、しようがないか…?


結局この後卒業をまたずに宰相の孫は領地の地方文官に、騎士団長の次男は辺境の地で下っ端として鍛え直し、財務大臣の年の離れた弟は伝のある商会で下働きから始める事になった。

うん、能力的にも丸く収まったんじゃないかな。



っと、めでたしめでたしといかないヤツがいた。

言わずと知れたヒロイン様だ。

俺は何も手を出してない。男爵には圧迫面接しといたけど。

レイス男爵は領地を持たない宮仕えで、いきなり王太子に呼ばれて気の毒なくらいびびってた。

リリー嬢は引き取った時から夢みがちな感じで意味がわからない事もよく言ってたけど、学園で友達でも出来たら落ち着くと思ってたそうだ。

男爵自体は高望みもしてなくて学園に通える程にはお金持ちな平民でも捕まえてくれたら御の字だったらしい。それが仮にも側近候補に手を出していたと聞いて青くなって震え上がってた。なので今回きりと言うことで各家に話をつけてあげた。あの三人ぐらいしかリリー嬢に引っ掛かってないし、引っ掛かった方も悪いと思ったからね。


で、リリー嬢は学園に独り残された形になってる。

自作自演しても訴える相手がいないし空回ってる。

俺やロカルトに突撃しようとしても優秀な護衛がいるしね。

この誰にも相手にされない状態があと2年半も続くのは結構な罰じゃないかな。嫁ぎ先も見つけ難いだろうし。


「ヒロインなのにこんなのおかしい~~!!」


って裏庭で叫んでるのを聞いたけど、ざまぁされて修道院に送られたり、追放されたりするよりマシだと思うけど。法的に罰せられてないわけだし。

まあ、本人が反省してないから何かやらかすかもしれないけど、その時には多分俺は卒業していてロカルトしか学園に残ってないだろうから容赦はされないだろうな。



◇ ◇ ◇ ◇



最後の始末を着けるべく、王城の執務室の隣にある俺専用の応接室で客人を待っているんだけど…。


「二人とも満面の笑みで怖いんだけど」


一人掛けのソファーに座ってる俺の右側の三人掛けソファーにロカルト、俺のやや左後ろにニックが立っているんだけどなんだか機嫌が良すぎて不気味だ。


「だって十年以上悩まされていた事がやっと解決するかも知れないんですよっ」


ロカルトはずっと追い回されてたもんな。


「私は我が主に対しての慇懃無礼にもなってない無礼さが我慢なりませんでしたので」


うん、ニックいつも俺の為に怒ってくれてありがとう。

でもさ、


「なんか期待してるみたいだけど、多分厳重注意ぐらいで大したことないと思うぞ」


二人がめっちゃショック受けたみたいだ。


ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ