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悪役令嬢について語る(後編)

「あのシュワイツ嬢に虐められてたのがソフィーリア嬢だったのか」


「はい。あの時よりわたくしは殿下の為に何か出来ないかと模索しておりました」


キラキラした目で見てくるのが面映ゆい。

ロカルトとニックは相変わらずニヤニヤしてるし。

居心地が悪いのでお茶を口にしながら思考をとばした。


俺が予想した通り目覚めたアリシア嬢はいろいろやらかし始めた。


まずは生卵を使った酸っぱいソースもどきを作って公爵家で振る舞ったらしい。多分マヨネーズだよな。

案の定皆、上を下への大騒ぎ食中毒になった。

いや当たり前だろう。衛生管理もなってない世界でいつ産まれたかもわからない生卵を食べるなんてどうかしてる。

カレーも作ろうとして、南の大陸からいろんなスパイスを取り寄せたらしいけど出来上がったとは聞いてないな。


それを聞いてどうしてもマヨネーズが食べたくなったから産み立ての卵を用意して光魔法が得意な王妃(母上)に浄化やら殺菌やらをかけてもらって、鑑定魔法が得意な国王(父上)に作る前と作った後に安全かを鑑定してもらって作ってしまった。

量も少ないので俺と父上、母上とロカルト、そこになぜかニックと祖父のトマスとでいざ実食。


うま~。

野菜なんてこの世界に生まれて一番旨かった。いやぁとてつもなく贅沢な逸品ですな。

その後マヨネーズが気に入ったのか両親を唆してこっそり作らせてるニックを俺は知ってる。

恐ろしい奴だ。


他にも上下水道に手を出したらしい。

いやマヨネーズ作るのに衛生問題も考えれない奴がそんな難しい事できるのか?

上水道なんて浄水槽の仕組みとかわからないとできないだろうし

下水道もこの世界には可愛く便利なスライムなんていないんだから。


その結果シュワイツ公爵家は訴えられた。

何でも下水をそのまま下流に垂れ流したらしい。

もともと衛生的でなかったとはいえ、上流から大量に汚物が流れてきたら問題になるに決まってる。

時間が経てば大丈夫という肥料を作る時の知識を間違って採用したのか?


公爵もなんでそのまま実行したのか不思議に思ってたら、調べてくれました。ニックが。

先代公爵がやり手な人で亡くなる2年程前まで当代に何もさせなかったらしい。先代夫人も一人息子を甘やかしまくってできたのが、プライド高く野心家なでも楽な方に流されるダメ人間。しかも娘にとても甘かった。


えーそんな家の令嬢に王妃なんて無理だろ?

婚約者候補から外せないの?

貴族派筆頭だから今は情勢的に難しいって。

うーん、アリシア嬢ならこれからもいろいろやらかすだろうから我慢するか。


ちなみに上下水道とはなんぞや?と聞くロカルトにうろ覚えの知識を伝えると簡易ながら浄水器を作ってしまった。さすが天才、ありがとう。水うま~。



さてそれからもアリシア嬢は淑女らしからぬミニスカドレスを作ったり、リバーシを作ろうとして10×10の面を大量生産した後に間違いに気付いたりと騒がしかったが、社交においてもやらかしまくった。


初手は婚約者候補が決まって初めてのお茶会。


「わたくしはどうしてもと言われたから婚約者になりましたが、いつでも白紙に戻して下さって結構ですわよ」


ツーンとしながら挨拶もなく言い放った。

俺に嫌われようと思ったんだろうけど、この場には他の婚約者候補二人もいるのに。

呆気にとられてると最初に我にかえったちょっと気が強そうな侯爵令嬢が「不敬ですわ!」と突っ掛かって始まったキャットファイト。

ソフィーリア嬢はオロオロして、俺は遠い目をして現実逃避だ。

もちろんお茶会は中止になった。


他にも俺をそっち退けてロカルトを追いかけ回し「天才と言われて孤高のあなたの孤独を解ってあげられるのは、わたくしだけですわよ」としつこいらしい。

ロカルトはそういう設定なのか。ププッ。

いや、怒るなよロカルト。俺たち仲良し家族だろ。


あとはソフィーリア嬢が言ってたように他を見下した態度をとるから自然に周りから距離をとられてる。残ってるのは同じ派閥の取り巻きだけだ。

それに気付いたからソフィーリア嬢を誘ったりしたのかな?

さっぱりわからん。


……ん?


「なぁ、思い返してみたけどシュワイツ嬢って幼い頃からあのままじゃないか?」


そう奇行も高飛車で人を見下した態度も情緒不安定そうなところも、なんなら話を聞くと前世の記憶が戻ったらしい以前ともかわらなそうだ。

俺の言葉に三人ともそっと目を反らした。


「じゃあ茶葉は関係ないのでしょうか?」


珍しく自信が無さそうなロカルト。


「その皮袋、ちょっと見せてくれ」


気になって手を出すと素直に渡してくれた。

袋を少し開け匂いを嗅ぐとソフィーリア嬢の言ってた通り甘い匂いがする。

それにちょっとスパイシーな匂いもするか…?

うーん、どこかで嗅いだ事がある様な…。


「兄上何かお分かりですか?」


前世の記憶を期待されてるみたいだけど、悪いな。


「いやわからん。分析するんだろ?」


そう言ってロカルトに返すとそのままニックに渡した。


「ではハワード卿にお渡し致します」


ちょっと待て、何かおかしいぞ。


「二人とも聞くがどのハワード卿だ?」


ニックはしれっとし、ロカルトは気まずそうだ。


「…ユリウス・ハワード公子です」


「ユリウスは確か俺の側近だったはずだけど?」


こらっお前ら、人の側近を勝手に使うな。

目を反らさずこっち見ろっ。


ありがとうございました。

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