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運命の出会い(笑)について語る

回想回です。

城にある一番広い庭園、立食形式で自由に休憩できる様にいたる所に椅子も置いてある。

なんと言っても7歳の俺の婚約者と側近を選ぶのだから、下は5歳から上は12歳までの伯爵家以上の子息息女が招待されてる。

ロカルトは「本日は兄上の為の茶会、僕はお邪魔でしょうから」と逃げた。参加するのが面倒だったのを俺は知ってる。なんて5歳児だ。


まぁでもそんなことよりこの茶会を本当に楽しみにしてたんだ。

なんとなく前世の記憶がよみがえって2年余り、ハッキリとは思い出せてないけど時々ポロポロ頭に浮かぶ。それで思い出したんだよ、この茶会って乙女ゲーム系なら悪役令嬢とか攻略対象者がいるんじゃねぇか?って。

いたらこの世界が乙女ゲーム系異世界で多分ニックとロカルトが隠しキャラだと確信が持てる。

シナリオに沿ってどうこうしようとは思ってないし(そもそも乙女ゲームをしたことがないからわからないし)ざまぁされない様にするぐらいであとはそれぞれのキャラを観ながら高みの見物を決め込むだけだ。


招待客の親たちは隣の庭園に案内され、子息息女も会場にほとんど集まった頃合いに挨拶する前にちょっと覗こうとしてたら子供特有の甲高い怒鳴り声が聞こえてきた。


「ちょっとあなた、わたくしがその髪飾りをもらってあげると言っているのよ!早くよこしなさい!」


これ絶対悪役令嬢だろ?!

俺のわくわくは最高潮で、挨拶も大事だけどせっかくの第一王子主催の初めての茶会を乱されたらダメだよね

と誰ともなく言い訳をしながら現場にこっそり近づいていった。


その間も誰も止めようとしないって事は、理不尽な事を喚いてる黒髪ドリルヘアの令嬢は一番爵位が高い俺と同じ年のシュワイツ公爵家のアリシア嬢で決まりだな。

唯一止められそうなのは同じ爵位のハワード公爵家子息のユリウスぐらいだけど…

確か最年長の12歳だからと目で探すと離れた所で背がヒョロ高いやる気の無さそうな少年が我関せずを決め込んでる様だった。

これにはちょっと苦笑したけど気持ちはわかる。好奇心で止めに入ろうと近づいてるけどその間もアリシア嬢は止まらない。

扇で亜麻色の髪の令嬢の頭を叩きながらまだ怒鳴り付けてる。

亜麻色の髪の令嬢は両腕で頭を庇ってるけど赤くなってるし。


「あなたみたいなボンヤリした髪色に似合ってないのよ!」


暴力反対。過激すぎるだろっ!

俺に気付いて皆が道をあける中、早歩きで突き進みながら公爵令嬢に手を出せずオロオロしてる警備や侍女たちに目で合図を送る。


やっとたどり着いた頃には亜麻色の髪の令嬢はしゃがみこんでいて、それでも尚叩くのを止めないアリシア嬢に本気で腹が立つ。

令嬢の体に触れてはいけないとわかりつつ殴りつけてる腕を強引に引っ張った。


「何をしている!この茶会が第一王子である私主催である事をわかった上での狼藉か!?」


勢いで振り向いたアリシア嬢の濃紫色の目が俺の顔を見て大きく見開いた。

一瞬の間の後白目を剥いて倒れたアリシア嬢をなんとか受け止め側の侍女たちに指示をだす。


「令嬢を控え室へ、なるべく揺らさない様に。それから保護者であるシュワイツ公爵に至急報せろ」


それからうずくまっている亜麻色の髪の令嬢に声をかける。


「すまない、助けるのが遅れてしまった。救護室に案内したいが歩けるだろうか?」


差し伸べた手に恐る恐る手を乗せて、でも赤みかかったライトブラウンの瞳は輝いていたことを俺は気付いていなかった。

だって事態の収拾を図りながらも頭の中は別の事でいっぱいだったから。


テンプレ、キタコレ!(古)


いやもう大興奮!(頭の中だけ)


だっていかにも悪役令嬢な娘が多分攻略対象者の俺を見て倒れたんだ。

乙女ゲーム系の話の定番だよなっ。


多分2、3日寝込んだ後に自分がざまぁされない為に前世の知識を使ってアレコレするはず。

めっちゃ楽しみ!


結局この出来事が原因でシュワイツ公爵がごり押ししたかった婚約は、前世の記憶が戻ってから婚約を回避して他の候補も加えたかった俺の意見が通る事となった。


いやもうこんな醜態晒したんだから辞退してくれればいいのに。

案の定目を覚ましたアリシア嬢も辞退したがってたのを公爵が宥めて了承させたと噂で聞く事となった。

ニックからだけどね。







ありがとうございました。

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