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ことの顛末について語る③

嘔吐表現があります。ご注意下さい。

二人がショックを受けて固まってる間に紅茶を一口、うまぁ、ホッとするなぁ。

ニックが入れるお茶が一番うまい。


「…っ、なんでですか?シュワイツ公爵の怪しい行動とか、茶葉とか」


「盗聴でしたが謀反めいた事を言ってましたしっ」


必死だな。ストレスが溜まってる様だ。


「うーん、その辺も落としどころは国王陛下(父上)と話し合ったから。この場に居ればわかるよ。二人が納得するかはわからないけど」


二人とも優秀すぎるから基準が高いんだよな。

俺が緩すぎるから丁度いいんだけど。


コンコンコン


ノックの音に誰何するとシュワイツ公爵親子の来訪を告げられる。

ほらニック、ふて腐れてないでお通ししてくれ。


シュワイツ公爵親子が部屋の中程に止まり挨拶してくれる。


「王国の星リカルド王太子殿下にお目にかかり光栄にございます」


公爵はボウ・アンド・スクレープを、アリシア嬢はカーテシーをする姿はさまになってる。普段とは別人の様だ。

でも公爵の方はやっぱり具合が悪そうだな。汗をかいて顔も火照ってる感じだ。


「畏まらないでいい、座ってくれ」


そう促すとロカルトの前俺の左側に並んで腰をかけた。

そのタイミングでニックにお茶を出してもらい話し合いを始める前にひと息つく。

公爵は行儀悪く一気にお茶を煽ってロカルトとニックを驚かせ、アリシア嬢はむせた。


「…ケホッ、なんですのこのお茶は?!苦いし刺激が強くて飲めませんわ!」


「えっ?」


反応したのは公爵。ロカルトにはお茶を飲まない様に言ってあった。


「おかしいな、これは普段公爵が飲んでいるものだが」


「はい、仕事の合間によく飲んでおります」


「シュワイツ嬢ももっと少量なら飲んだことがあるのでは?」


「…そういえば、わたくしのブレンドしたお茶に少し似てる…かも…」


公爵親子、それにロカルトとニックも説明を求める様に俺を見る。

これはソフィーリア嬢の戦利品の茶葉をユリウスが調べてくれて解った事と俺の朧気ながらの前世の知識。


「公爵はこの茶葉の全く同じではないにしても似たようなブレンドで周りに勧めたりしてるな?」


「はっ、はい。我が家は南の大陸と取引をしており、その珍しいスパイスを…ブレンドして売りに出し…ております…の…で…」


答えながらも汗だくになり呼吸も荒くなってきた。

不味いな、見誤ったかな?


「ユリウス、来てくれ」


そう言うと応接室と執務室との続きの扉から白衣を着た医師とともに現れ、俺に目で合図する。

それに俺が答えると二人がかりで公爵を俯かせ口に手を突っ込み無理に吐かせる。


「なっなんですの?!」


苦しそうにする公爵を助け様とするアリシア嬢をニックに止めてもらいロカルトと見守ること暫し。

吐くものもなくなりまだ苦しそうだか幾分か落ち着いた公爵をソファーに寝かせた。


「本当になんなんですの?!まさかお父様に毒を盛ったのっ?!」


すごい剣幕でニックに掴みかかったアリシア嬢をロカルトの言葉が止める。


「毒を皆に盛っていたのはあなた方だろう?」


「待て、ロカルト」


「しかし兄上…」


睨みを効かせるとグッと勢いを殺しソファーに項垂れた。

アリシア嬢はロカルトに言われた意味が解らず狼狽している。

俺は二人の様子をみながら慎重に口を開いた。


「ロカルトの言葉は半分合っていて半分違う」


「っ?!」


二人、ニックも驚いて前のめりになる。

公爵の様子をチラリ見てから、ユリウスや医師と検証した事を話す。


「君たち親子が飲んでいる茶葉の中に【ナツメグ】というスパイスが入っている。これは本来肉の臭みをとったり、お菓子に使ったり、お茶に混ぜあまやかな香りと僅かな刺激を楽しむ用途の幅広い優れたスパイスなんだ」


俺の言葉に合わせてユリウスがナツメグをテーブルの上に置いた。


「ただ摂りすぎると毒になる」


少し脅しを入れたらアリシア嬢がビクッとした。顔は青ざめている。


「人により症状は違うが公爵の様に大量に汗をかいたり、呼吸が不規則になったり、また興奮したり不安感を感じたりと情緒不安定になったりもする。幻覚症状がでる者も。そして最悪の場合は死に至る事もある」


「!!」


アリシア嬢は口をはくはくとさせ、ロカルトとニックもさすがに顔を歪ませた。


「公爵はこちらに来る前にかなりの量お茶を飲んだのではないかな?」


俺の質問に辿々しくも答えてくれる。


「は…い、殿下にお会いするということで…緊張で喉が渇き…こちらに来てからも…無作法を…」


「喉が渇くのもナツメグを摂りすぎた時の症状の一つだ。あと他のものとの兼ね合いで味覚も多少おかしくなっていたのかもしれないな」


さて、公爵をそろそろ休ませた方がいいけど、悪いが弱っているこの機に話を済ませたいんだ。

医師とユリウスに無言で確認。大丈夫っぽいな。よし俺は鬼になる。


「ナツメグの摂りすぎは自己責任とはいえそれを取引し勧めた公爵への皆の心象はどうかな?聞けば心臓発作で亡くなった者もいるそうだな。因果関係を邪推する者もでてくるかもしれないな」


「なっ、脅しますの?!」


「脅している訳じゃない。ただ幕引きを勧めている」


「幕引き?」


「公爵がこのような状態になったのは君が無茶な行動ばかりするからではないかな?」



ナツメグについてネットで調べた浅い知識しかありません。

矛盾点は異世界仕様ということで宜しくお願いします。


あと一話で終わります。

ありがとうございました。

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