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エピソードエレン  作者: 暁辰巳
8/22

来訪者

 「…ここは?」


 目が覚めた時、オレはしらない部屋で目を覚ました。

 どうやらオレは、力を使い果たして眠っていたらしい。


 あの火事の中から、無事に脱出できたのは覚えている。

 火事の中に取り残された子供も連れてだ。


 オレが見知らない部屋で目を覚ましたってことは、きっと、誰かが手当てをしてくれたんだろう。

 おそらくオレを手当てしてくれたのは、アウルの衛士さんたちかな。

 まあ、火事の消火活動を必死に取り組んでいたから、ほぼ間違いないと思う。


 となると、オレが命がけで助け出したあの子供はどうなったのかな。

 確か微弱だけど、まだ息はしていたから、治療されていると思うが助かったのかな。



 トントン!


 「ん?」


 考え事をしている途中でノックの音がした。

 オレが「どうぞ」っと返事をした後、ドアを開けて、二人の大人が入ってきた。


 二人の内、一人は知ってはいる人でもう一人は初めて見る人だった。

 一人目はこの町(アウル)の衛士さん。

 以前、シータがいじめで大けがをした時に世話になった人だ。


 もう一人は、青い瞳をして、長い黒髪をした美人な女性だ。

 あまりの美しさに、思わず見とれそうな程に美しい。


 「君が、エレン・ムンド君で間違いないよね?」


 女性はいきなりオレの名前を口に出した。

 衛士さんからオレの名前を聞いたためか、オレの苗字まで知っていた。


 「オレがエレンですが、あなたは?」

 「私の名前はミヤモトユイ。貴方のお母さん、エリナさんの一番弟子よ」


 女性の名前を聞いて、変わった名前をしていると思った。

 なにしろ、この町の人々とは違った名前をしていたから。


 「あなたが…母さんの一番弟子」


 一番弟子のことは、母さんから知らされていたから知っている。

 まさかこんな形で母さんの一番弟子と会うとは思ってもいなかったが。


 

--------



 オレが完治したと同様、火事の中に取り残された子供も無事に助かった。

 子供は完治した後、親子でオレの元へ礼を言にやってきた。


 礼を言いながら微笑みんでる親子をみていると、

 助けてよかったと思った同時に、羨ましく思った。


 オレは母さんとずっと二人で暮らしてきたから、あの親子を助けたかったんだと思う。




 

 数日後。


 完全に回復したオレは、ユイさんと一緒に(アウル)から少し離れた所へやって来た。

 ここに来たのは、ユイさんと一対一の模擬戦をするため。


 ユイさんがオレの元へ来た目的は、試験管として魔法学園から派遣されたため。

 オレの実力を確かめるため、摸擬戦自体が試験となっている。

 

 


 「いきますよ!」

 「どこからでも来なさい!」



 模擬戦を始める前に、お互い軽く体の準備運動を済ませた後、戦闘態勢へ入った。

 お互い戦闘態勢に入った後、一言交わした。

 一言交わし終えた後、少し場が静まり勝負が始まった。




 「フレイムブラスト!」

 「ゲイル!」


 初手でオレ自慢の魔法である中級炎魔法(フレイムブラスト)を放ったが、あっさりとかき消された。

 オレ自慢の魔法攻撃をかき消されたオレは驚愕した。

 オレにとって、向きである火属性魔法は他の属性より威力が高いからだ。


 「なら!」


 オレは氷結系中級魔法の『フリーズランク』を放った。

 オレの向きとする属性は、炎と氷の二属性。

 その為、今放ったフリーズランクはフレイムブラスト同様に強力だが、少し多めに魔力をこめて放っている。


 万が一かき消されたとしても、多少のダメージは与えられるはずだ。



 「これだけ強力な中級魔法を放つなんて、流石は師匠(エリナさん)の息子ね。

 これで終わりなわけないんでしょ?」

 

 「―当たり前だ!」


 ユイさんが炎属性らしき魔法でフリーズランク(中級氷結魔法)を防いだ後、両者の目が合った。

 さっき放ったフリーズランクの真の狙いは目くらまし。

 遠距離から放った魔法を防がれるのなら、近づいて撃てばいい。

 

 ちょっと鈍ったと思うが、速く走ることくらいオレにだって出来る。

 毎日魔法の鍛錬を始める前によくやってた身体の基礎トレーニングのお陰で、速く走ることができるようになったからな。

 体力が少ないため、短距離でしか速く走ることが出来ないのが難点だが。





 (…は?)


 勝った! っと思い、ユイさんに再びフレイムブラストを放とうとした瞬間、

 オレは突然強風に襲われ、後ろへ飛ばされた。


 「中々やるようだけど 実線はまだまだのようね」


 ユイさんの左手をよく見ると、左手から魔法を放っている仕草が見れた。


 「私はエリナさん(貴方のお母さん)弟子よ。 エリナさんと同じく、私も左手と右手を交互に魔法を操ることくらいできるのよ」


 そうだった。

 ユイさんは母さんの一番弟子だ、なんでこんな当たり前のことを忘れていたんだオレは。


 「次は私の番だね」


 そう言い、ユリさんは両手で魔法を放った。

 右手には水属性の魔法で、左手の方は雷系の魔法。

 異なる二つの属性魔法を、一つにして放った。


 この魔法をオレは知っている。

 ゛合成魔法゛だ。

 母さんが冒険者の頃、よく使っていた強力な魔法だ。


 ユイさんの放った合成魔法を受けてしまったオレは、大ダメージを負って地面に倒れた。


 「はあ……はあ…」


 エレンは立ち上がった。

 ユイの合成魔法の一撃を受け、全身にできた傷口から来る痛みで苦しいのに、

 エレンは気合いで痛みを誤魔化し、今にでも倒れそうなのに立っていた。


 「もうやめなさい。それ以上のやせ我慢は身を滅ぼすわよ」



 ユイはエレンを気遣い、言葉をかける。

 無論、ユイが放った合成魔法は手加減してある。

 


 この模擬戦の目的はエレンの実力を図るためのもの。勝つことが目的ではない。

 それはエレンもユイも良く分かっている。


 「まだ…だ…」


 エレンはユイの忠告を無視して、右手に残ったすべての魔力を込める。

 今の自分では、ユイには勝てないことをエレンは身を通して良く分かっている。

 勿論、大ダメージを受けたあのまま倒れ続け、負ける手もあった。


 しかし、エレン自身がそれを認めたくなかった。

 もしあのまま素直に降参いれば、引きこもり生活を送っていた、あの頃の自分に戻りそうだったからだ。


 せめてユイに一矢報いるため、エレンは残った魔力の全てを費やして魔法を放った。


 「フレイム…ブラ…ス…ト…」


 魔法を放ったエレンは力を使い果たして倒れた。


 「スパイラルウォーター!」



 エレンが残った全ての魔力を使って放った魔法は『中級炎魔法(バーニングブラスト)』ではない。

 上級炎魔法『バーニングブレス』。


 これが分かっていたからこそ、ユイは上級魔法で迎え撃った。

 魔力を使い果たしてまで放ったためか、同じ上級魔法で、炎属性に強い水属性魔法でも防ぎきれなかった。


 

 「最後にここまで強力な魔法を放つなんて、

 アレ(••)まで使ってないといいけど.....」

 

 

 

 エレンが最後に放った魔法をくらいはしたが、ユイはなんとかしてエレンの魔法攻撃を防いだ。

 結果的に、エレンはユイに一矢報いることには成功したのだ。

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