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エピソードエレン  作者: 暁辰巳
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突然

 後日。

 オレはいつも通りの学屋生活を送っていた。

 先生が教室へ入ってきたので、

 これから授業が始まると誰もがそう思って、賑やかだった教室が静まり返ったが、そうではなかった。


 「突然ですが、今から転入生を紹介します」っと、

 先生が言った後、一人の少女が扉を開けて教室へ入ってきた。

 転入生は紫色の短髪姿をして、青空のように青い瞳をした女の子だった。


 多くの生徒が転入生へ注目する中、オレは転入生を見てから妙にもやもやしていた。

 もやもやするのは、転入生とどっかで会っているような感覚があったからだ。だから余計にもやもやする。


 

 転入生を見ているクラスメイトたちを見ていると、

 二人だけ、転入生を見て驚いている人に気がついた。

 



 (―あの二人は!)

 

 二人を目にした直後、心の中で思わずそう言う声を出した。

 口に出して発言しなかったのは幸いだった。

 

 転入生を見て驚いていた二人は、魔族の子供をいじめていた二人だった。

 どうやらあの二人も、学屋へ通っていたらしい。

 幸いな事に、オレと二人の席はかなり離れていた。


 ―もしや! っと思い、オレは再び転入生の方へ視線を向けた。



 「初めまして、 シータ・プラクトです。よろしくお願いします」


 シータの声を聞き、姿を見て、オレはようやく思い出した。

 シータは昨日、

 あの二人にいじめられていた魔族の子供だった。



---------

 

 オレとシータは初めての友達になった。

 学屋でオレは友達がなかっ作らなかったし、シータは自分が魔族であることもあって、友達を作れなかった。

 シータは一目見ただけで、オレがいじめから助けてくれた恩人だと分かったらしい。


 シータと友達になって以降、毎日大変な学屋生活が楽しくなった。

 シータも魔法が使えることもあって、馬が合った。


 




 楽しくなった学屋生活は、四ヶ月経った。


 学屋で過ごす日々が楽しくなったためか、

 母さんの助けを借りずに、はぼ勉強が出来るようになった。

 だけど勉強が苦手であることには変わりないので、勉強の成果はまあまあだけど。


 シータ以外に、数人友達ができた。

 シータと比べると、完全に馬が合うほどではないが、一緒にいると、心から“楽しい″と思えた。


---------


 今日も学屋の授業を終え、いつも通り走って家へ帰った。




 ドタン!


 「―え?」


 扉をあけた直後、母さんがオレの目の前で倒れた。

 唐突すぎて、訳が分からなかった。

 「母さん!! 母さん!!」っと、大声で泣きながら叫び、必死になって母さんを呼び掛けた。

 母さんの体をいくらたたいても、大声で呼び掛けても、母さんはクスンとも反応しなかった。

 


 オレの叫びが聞こえた大人達によって、

 お医者さんがすぐに駆け付け、すぐに母さんの治療がおこなわれた。


---------





 母さんは助からなかった。

 お医者さんが治療しようとした時、母さんは既に死んでいたらしい。


 

 お医者さんは、

 何故母さんが死んだのかを調べたが、何も分からなかった。


 母さんの体に、異常を示した痕跡は一切見られなかった。

 いたって母さんの身体は、若くて健康的な体をしていた。

 


 お医者さんは、

 「何の役にも立てず、申し訳ございません」っと、頭を下げて誤った。



 「―なんでだよ!!」


 誤ってるお医者さんに対し、オレは逆ギレした。

 逆ギレしているオレを、

 大人が二人係で、オレをお医者さんから遠ざけた。



---------


 後日。

 この町の教会で、母さんの葬式がおこなわれた。


 教会内では、

 オレと同じく、母さんの死を悼む町の人達が沢山来ていた。

 

 オレの父さんはかつてこの町(アウル)で、

 『お医者さん』として、町の人たちに慕われていた。

 だからこの葬式に参加した人たちは皆、父さんの妻である母さんの死を悼んでくれている。



 ■


 葬式は終わった。


 母さんが死んで、身寄りが無くなったオレは、おじいさんとおばあさんの元へ引き取られた。

 本来なら、

 オレは『孤児』として、教室へ引き取られる予定だった。



 母さんと共に過ごしてきた家を離れたくないオレの嘆きを聞いたおじいさんが、

 母さんと共に過ごしてきた家ごと、貰い手になってくれたからだ。

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