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エピソードエレン  作者: 暁辰巳
20/22

約束の対決 前編

 「長らく続いた魔導大会も、いよいよ最終試合になりました」


 「「「「ううううううおおおおおおおおおおお!!」」」


 熱気に包まれている観客たちが凄まじく盛り上がっている歓声を上げた。

 今日が決勝戦であるためか、観客たちの盛り上がりは今までの試合の時より盛り上がっている気がする。



 「魔導大会決勝戦。 エレン・ムンド対ラバル・ヒューマ!」



 観客たちの歓声が鳴り響いたと同時に、エレンとラバルは歩いて入場し、舞台へ上がった。

 舞台に上がって対面した時、エレンとラバルもお互いをにつめ合った。


 「最初に言っておく。 勝つのはオレだ」



 試合になる前に一言いおうとした時、ラバルに先を越されてしまった。


 「いや、勝つのはオレだ!」


 オレがそう言うと、ラバルはクスッと笑った。

 ラバルが笑った直後にオレもクスっと笑い返い返した。


 「試合―」



 エレンとラバルは構えたまま、お互いに相手をジッと見つめている。

 試合が始まった時にどうに備えているのだ。

 



 「開始!」


 試合開始の合図が宣言された。

 試合が始まって早々、ラバルはエレンに魔力の塊を放ったが、エレンも魔力の塊をぶつけることで相殺した。

 そして、魔力同士の激しい激突によって爆風が発生し、舞台は煙に包まれた。


 「――そこだ!」



 煙に紛れて奇襲を仕掛けてきたラバルにエレンはファイアーボール(初級炎魔法)を放ち、ラバルの奇襲に迎え撃ったが、

 ラバルは魔力を放った後、即座にエレンの背後に回り強力な魔力の塊をおみまいした。


 「―ぐはっ!?」


 心の中でラバルは言う。


 昨晩ラプラスと特訓したかいがあった。

 オレより頭が良くてオレの手の内を知り尽くしているエレン(お前)でも、オレの動きにはついては来れない。

 エレンはオレの行動を観察し、気配を感じながらオレの行動を予測しながら対応するだけ。


 それには致命的な弱点がある。

 少しの間でも隙を見せ、そこを突かれて体制を崩されてしまえば、エレンは丸裸の無防備状態になることだ。

 事実、オレの攻撃に対応できなかったエレンはオレの攻撃をまともにくらってしまった。




 (悪いが、このまま終わらせてもらう!)


 すかさず、ラバルは強力な魔力攻撃を畳みかける。

 このまま一気に決めようとし、エレンに魔力弾を連発する。


 連発された魔力弾は次々とエレンに命中していく。

 



 「―なにっ!?」



 刹那だった。

 一方的にラバルの攻撃をまともに受けまくっている最中で、エレンは禍々しい炎を放って反撃した。

 禍々しい炎はラバルの魔力弾を飲み込みながらラバルに近づき、ラバルを焼き尽くした。



 「対策をしているのはオレも同じだ。 かなりの無茶な策で、体にはかなり負担をかけてしまったが、こうしてお前にキツイ一撃を浴びせることができたぜ」



 エレンが取った作戦。それは、確実にラバルへ強力な一撃を浴びせる作戦だった。

 旅で鍛えられたラバルの身体能力と戦闘経験の前には、戦闘経験が足りないエレンにはラバルに一撃どころか、攻撃を当てることは確実に不可能なことだ。


 だが幸いなことに、ラバルとは大会(この日)に向けて一緒に特訓してきたため、対策するのに必要な情報はほぼ収集できていた。

 後は、“どうすればラバルに強力な一撃を浴びせることができるのか″という問題だけ。


 エレンは考えに考えた末、一つの作戦を思いついた。


 これまで一緒にしてきた特訓、そしてこれまでのラバルの試合を見て。エレンはラバルの弱点を発見しした。


 攻撃を畳みかける時、攻撃に熱中しすぎるあまりに思考が停止していしまうこと。

 それがラバルの弱点だった。


 ラバルが攻撃に熱中している最中で合成魔法魔法の闇炎魔法(インフェルノ)を放ち、ラバルに大ダメージを与えることに成功したのだ。



 「やらえたぜ」


 インフェルノに全身を焼き尽くされていたラバルは、全身に力をたぎらせてから解き放つことで、インフェルノを薙ぎ払った。


 「かなりの魔力を込めて放ったが、流石にあのまま倒される訳ないか。 だが、ほぼ力を削ぎながら弱らせることは出来たはずだ」


 右手で自身に回復魔法でダメージを回復しながら、エレンはラバルを見つめる。

 少しの間エレンとラバルは互いに煮詰め合った後、勝負が再開した。

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