表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エピソードエレン  作者: 暁辰巳
2/22

母と父

 エレンが生まれてから五年が経った。


 エレンは何の問題もなく、すくすく元気に育っている。


 アウルのどこでも見かける木造の二階建ての一軒家。

 私とエレンは、その一軒家の一つで、二人で暮らしている。


 私は結婚しているのけど、我が家に夫の姿ない。

 私が結婚している証拠として、

 私の右手の親指には、夫からプロポーズ(告白)された時に貰った、指輪がはめられている。



 私の夫の名前は、マスミ•ムンド

 

 マスミ君は医者で、町の人達の怪我や病を治したり(時にはタダで)、

  外の世界を冒険しに行く冒険者達に、

 かけたり飲んだりすることで、怪我を治す回復ポーションや、

 飲むことで、魔力や体力を回復するポーションを売ったりして、生活していた。


 そしてマスミ君は、

 『いつも頼りになるお医者さん』として、アウルでは有名な医者として、名を知られていた。

 


 マスミ君とは仲が良くて、共に過ごした生活とても楽しかった。

 けど、そんな楽しい時間はそう長くは続かなかった。


 我が家にマスミ君(父親(夫))がいないのは、

 マスミ君が、一人で家を出て行ったから。

 


 ある日、

 アウルの掲示版に貼られている一つの募集に目にしたマスミ君は、ラシア王国で起きていることが分かった。

 ラシア王国で、新種のウイルスが蔓延して、人々が苦しんでいるらしい。

 マスミ君は正義感が強い人だから、苦しむ人がいれば、誰であろうと放っては置けなかった。

 マスミ君は私に事情を話して、「ラシア王国に行かせて欲しい!」っと、懇願してきた。

 


 だけど、マスミ君が私に話した事情自体が嘘である事をすぐに見抜いた。

 私はマスミ君はとは二年間共に暮らした中で、結婚するまでに何度か交流をしてきた。

 だから私には筒抜けだった。 マスミ君が嘘をついたり、隠し事をするのが下手であることを関係なしに。


 マスミ君が私達(家族)を巻き込みたくない、重要な何かを隠していること事が。

 

 隠している事についてを尋ねたけど、詳しくは話さなかった。

 マスミ君本人は話したくなかったし、隠している事情自体について、私がしつこく言及しなかったから。


 私はマスミ君の思いを尊重して、マスミ君を信じて後押した。

 マスミ君は私と我が子(エレン)の無事を祈って、荷物を持って家を飛び出して行った。

 

 それ以来、私はマスミ君とは一度も会ってはいないし、手紙のやり取りもしてない。


----

 


「ねえ聴かせて。 母さんと父さんが出会った時の話を!」


 私が椅子に座って、窓からさす日の光を浴びながら本を読んでいた時、

 エレンが「私がお父さん(マスミ君)と出会った時の事を話してほしい!」っと、おねだりしてきた。



 「いいわよ。お願いに応えて話して上げる」

 「やったあ!」


 エレンは喜んで、ガッツポーズを取ったままジャンプした。

 

 エレンには、エレンの実の父親についてはあらかた話している。

 我が家に父親がいないのは、遠く離れたラシア王国という国で流行っている未知のウイルスに苦しむ人々を助ける為、家やアウルに居ない事を。


 これは、マスミ君が私に話した嘘の事情そのもので、子供騙しそのもの。

 今のエレンには、ウイルスに苦しむ人々を助けに行った自分の父が(医者な父)が、ヒーローに見えていると思う。

 だからエレンは、私が話したく作り話(嘘話)を信じて疑わなかった。


 時がくれば、エレンは私が話した作り話(嘘話)に疑問を抱いて、私を疑うだろう。

 実の父であるマスミ君が好きなエレンを騙し続けていることは、

 母親として、マスミ君の妻として、とても恥ずべきことだ。


 私はエレンの母親だ。

 エレンを無事に育てることが、母親である私の役目と、マスミ君と交わした約束。

 エレンが自分の父について良い印象させるには、エレンを騙すしかなかった。

 

 もしかしたら別の方法があって、今私が行っている事よりいいかもしれない。

 



 私は読んでいた本にしおりを挟んで閉じて置いた後、私はあの時の事を、懐かしげに話し始めた。



----













 あれは、今から七年前、私が当時22歳の時。


 あの時の私は冒険者を引退して、普通の生活を始めるため、魔車に乗ってこの町(アウル)へ移動していた。


 ある山道の街道

 その森は、アウルへ繋がる山道の一つ。


 その森に生息している魔物は大した強さを持っていない為、駆け出し冒険者(新人)向けの狩場となっていた。

 

 その森に生息する魔物を達を新人冒険者たちが狩り尽くした為、

 しばらくは魔物が現れることはないだろうっと、安全地帯となっていた。

 

 だから私はその山道を移動経路として選んだ。

 あの時の私は、できるだけ魔物の顔や姿を見たくなかったから。

 私が魔物の顔や姿を見たくなかったのは、

 私のパーティ仲間の1人が、魔物に殺されたことがトラウマになっていたから。


 冒険者として、

 パーティ仲間の誰かが、いつ魔物に殺されることは、冒険者である誰もが分かっていて、常に覚悟している事。

 だけどいくら覚悟はしていても、

 目の前で仲間が魔物に殺された時に起こる心の痛みは相当辛い。

 何せ共に戦い、共に友情を分かち合った中だからね。

 その仲間と二度と会えなくなるのはどうしても辛い。



 ◼️






 あれは、移動中の出来事だった。


 アウルへ繋がる山道を魔車に乗って移動中、

 お腹が空いた私は、綺麗で美しい草木に囲まれた中で私は昼食を食べていた。

 私が昼食で食べたものは、町を出る前に銅貨五枚くらいで買った弁当だけどね。

 


 昼食を取る時、私は魔物避けの結界を張って安全地帯を作った。



 いくらしばらくは魔物が現れる事はない山道でも、絶対に魔物が現れないという確証はないから。

 何故ならこの世に、『絶対』はないからね。

 長年冒険者をやっていたせいもあってか、常に魔物に対する警戒心が癖として出ていたから。






  グアアアアアアアアアアアアアア!!!

  ヒイいいいいいいいいいい!!!!



 私が昼食を食べ終えた時の直後だった。

 魔物の威声と人の悲鳴が聞こえたのは。



 「ー!!」


 魔物に襲われている人の悲鳴を耳にした私は、過去にできたトラウマを思い出してしまって、恐怖に苛まれてしまった。

 私はしばらくの間手足を震わせて、トラウマの恐怖に少し怯えていたけど、

 私は何とか勇気を出して、悲鳴を上げた人の現場へ急いで向かった。



 私は微かなながら感じる気配を必死に辿って、現場へ向かった。

 熟練した魔法使いは皆、気配を感じ取ることができるようになる。

 そして人間や魔族達は皆、常に身体から気配を発している。

 私は気配を辿って、急いで現場へ向かった。


 『雷竜(ライバーン)!!』


 魔物が人を襲っている所を視界に入って早々、私は電系中級魔法のライバーンを放った。


 

 人を襲っていた魔物は、ベアーピッグ。

 豚の頭と、クマの特性である、強靭な力と鋭い牙と爪、そして少し強靭な肉体を兼ね備えた魔物。 

 ランク:ビースト(中級者向け)


 ベアーピッグは少し強力な魔物だけど、雷系の攻撃に弱い。

 その為私は中級魔法の雷竜(ライバーン)を放った。

 ベアーピッグは私の雷竜(ライバーン)を受けて倒れた。

 

 間一髪の所、私は何とか魔物に襲われていた人を助けれることが出来た。



 「....うっ」



 私がなんとか助けれたその人は男の人で、全身には爪で引き裂かれた跡が多く見られた。

 全身にできた傷跡をみた私は、トラウマが脳裏に浮んで吐きそうになった。

 だけど私は気をしっかり持って、何とかこらえた。


 「助けてくれて、ありがとうございます」

 「ええ、どういたしまして」


 私が助けれた男の人は、金髪で紅い瞳をしていた。

 そしてその人が、後に私の夫となる人物のマスミ君よ。


 これが、私とマスミ君の初めての出会い。




 

 その後、二人がアウルに到着して、関係を築き出した話を続けて話したが、エレンは寝ていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ