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エピソードエレン  作者: 暁辰巳
11/22

旅立ち

 おじいさんとおばあさんと向き合い終えて数ヶ月が経った。


 ロゼ魔法学園に通う条件として、学屋からは“学屋で最低限のことを全て学び終えた後、テストを受けて合格する“ことを課せられた。

 テストは言語と算術の二科目で、両方のテストを最低40点以上を獲得した時、入学が認められる。


 オレは毎日必死となって勉強を頑張った。

 テスト勉強に明け暮れた(適度に魔法の鍛錬をしたり、休憩に少し遊んだりした)数か月。

 思えば、辛く苦しくて、投げ出したくなる勉強の日々だったけど、

 ロゼ魔法学園に入学して、母さんやユイさんのような強い魔法使いになるために我慢してテスト勉強に取り組んだ。

 そしてテストを終え、オレは無事テストに合格した。



 思えば、長く苦しい日々との戦いだった…。

 オレが何とかテストに合格できたのは、家族(おじいさんおばあさん)友達の支えが合ったからだ。

 勉強をするたび、何度も“辛くて投げ出したい“っという気持ちに襲われそうになった時、家族(おじいさんおばあさん)と友達が支えてくれなければ乗り越えられなかった。




 ■



 これから最低三年間はロゼ魔法学園で留学するため、家族(おじいさんおばあさん)と離れ離れになる。

 荷物をまとめたオレは家の玄関前で立って、家族(おじいさんおばあさん)と別れを告げようとしていた。


 「本当にいくのね」

 「はい。母さんやユイさんのような強い魔法使いになりたいから」



 おばあさんが心配げに一言いい放った。

 おばあさんの言葉にも一理ある、

 やっとの思いで打ち解けて分かり合えたばかりなのに、離れ離れになろうとしているから。



 「エレン。 話し合いの時にも言ったが、これはお前自身が決めたことだ。ワシらがお前が選んだことを否定はしないし、決めることはせん。

  お前がワシらから離れてまで魔法学園に通うからには、お前の覚悟は相当なものなのだろう」



 できれば家族(おじいさんおばあさん)と友達たち、そして、生まれ育ったアウル(この町)から離れたくない。

 ロゼ魔法学園に通わず、生まれ育ったアウル(この町)で楽しく過ごそうと思ったが、オレは留学することを選んだ。


 「立派な魔法使いになって、ワシとばあさんの元へ帰って来てくれ。

  これが、ワシとばあさんのワガママな頼みだ」

 「はい! 立派な魔法使いになって、必ず帰ってきます!」


 真っ直ぐな思いで家族のワガママを引き受けた。

 オレは家族と少し泣き合った後、笑顔で家族を一目振り向いて後にした。





-----------------------------------------------



 魔車に乗ったオレは、ユイさんと一緒にロゼ魔法学園へ向かっている。

 今は山道の森の中で、自然で綺麗な森の景色を魔車の中で見ながらゆっくり移動している。


 『魔車(ましゃ)』というのは、馬車というものより優れた移動道具で、一種の移動魔動機(マギア)である。


 魔動機(マギア)はその名の通り、魔力を動力源として消費して動かす道具のこと。

 魔力を多く含んだ魔石を動力源として使うことで動かしているらしい。主に魔動機(マギア)の動力源として主に使われるのは魔石らしい。

 魔力さえあれば動くようで、魔力をであれば何でもいい。正し、自分自身のの魔力を使って動かすことも出来るけど、『危険だから絶対に自分の魔力を使おうとはしないで』っと、ユイさんに言われた。



 魔動機(マギア)は滅びた先史時代の遺跡から発掘された遺産を元に開発されたものであるらしい。

 先史時代は魔動機(マギア)を中心に発展した文明世界であることは分かっているらしいが、何故滅びたは不明で、今も調査中だとか。


 一説にでは、かつてこの世界を滅亡まで追いやった邪神によって文明が滅ぼされたんじゃないかと推測されている。

 おとぎ話ではあるが、邪神を倒した勇者様が持っていた神器は少なくとも確認されている為、邪神によって文明が滅ぼされた可能性が高くなった。


 だけど邪神が出てきたのはおとぎ話の中で、その可能性はないと否定している意見もあるのだとか。

 確認された神器自体が本当に勇者様が持っていたものであるとしても、本当に邪神に滅ぼされ(・・・・・・・・・・)かけたのなら(・・・・・・・)


 邪神に対する恐怖と、邪神がこの世界にもたらした災厄の数々を忘れることなく覚えていて、今も世界全体で伝わっているのだとか。


 確かに、勇者様と邪神のおとぎ話を知らない者はこの世界にいない。

 人間であれ、風人(エルフ)であれ、土人(ドワーフ)であれ、竜人であれ、獣人であれ、魔族であれ、

 種族を問わずこの世界で、邪神と勇者に関するおとぎ話は誰もが必ず知るお話である。

 どの種族でも例外なく、邪神が悪で、勇者様が正義の立ち場として語られているのも同じだ。

 

 そして、邪神に対する恐怖は無く、“ただのおとぎ話″として捉えているのも、どの種族も同じ。


 「そうなると、勇者様と邪神のおとぎ話は一体」

 「さあね。 でも、あのおとぎ話が実際に起きたお話であることは間違いないでしょうね。私はそう思っているわ」

 

 魔動機(マギア)についての話は、いつの間にかおとぎ話についての語りに変わっていた。

 おとぎ話はエレンとユイは好きな為か、いつの間にか意気投合していた。


 「前からずっと気になっていたけど、

  ユイさんの名前はどうなっているの?」


 エレンはずっと気になっていた。 『ミヤモト・ユイ』という名前について。


 「私の名前は元々、私が生まれた領地の仕来りでこうなっていね。

  私が生まれた『ファルシナ諸島』では名字が先にするように決まっているの」

 「そうだったんだ」


 「世界は色々複雑かつややこしくてね。

  ドラゴニス大陸とリヴァイア大陸では名字は後に付けるのに対して、ファルシナ諸島では名字は先に付けるのが当たり前になっているの。

 一方、ガイアス大陸では『名字』というものは存在しない。

 ガイアス大陸の主な統治者は魔族である為、魔族の伝統が影響して名字という概念自体がないの。

 ガイアス大陸では、生まれた子供に名前を付けるとき、親の名前から一文字をつけて付ける決まりになっているの」


 ユイさんの説明を聞いてオレは納得した。

 ユイさんの名前を聞いた時から腑に落ちなかった所が分かって解消されたから。

 

 ユイさんの言う通り、

 世界はオレが思ってた以上に複雑で、色々ややこしそうだ。

 

 

 

 

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