表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クロスロード 〜眠れる獅子と隠された秘宝〜  作者: 杜野 林檎
第四部 王立学院三年目編
190/394

プロローグ

 卒業式が終わり、翌日の終了式が済むと、学院内にある三つの寮から卒業生たちの荷物が慌ただしく運び出されて行く。

 学院の五分の一の子供たちが一斉にここから巣立っていくのだ。正直、寂しくはある。


 どの子も幼さの残る入学当初の面影は薄れ、すっかり大人っぽく、それぞれが王立学院での五年間で立派に成長していったことが分かる。

 こうして卒業生たちを見送ることに、私もすっかり慣れてしまった。



 卒業生と入れ替わりに入って来る新入生のための寮の部屋の改造工事は、この時期の恒例行事となっている。

 この長期休暇の間には、室内からだけでなく、室外からも何やら工事の音が聞こえてきていた。

 私の目の前に建つ東寮の二階にある両端の部屋のベランダに、今年は二つばかり新しい鳥小屋が完成したようだ。



 春を待ち切れなかったのだろうか、少し気の早い子どもたちが何人か学舎(まなびや)へと戻って来た。その子らもどうやら件の鳥を連れている。

 最近は学院に通う子どもたちの間で、鳥を飼うことが好まれているのだろうか?


 それにしても、大空を自由に飛ぶための強く美しい翼を持って生まれて来る鳥たちを、あんなに小さな小屋に押し込めるなど、いったいどう言った了見だろうか?


 大地に深く根を張り、この場所から一歩も動くことのできない私のような老木にとって、空を行き交う鳥たちほど憧れる存在は他に無い。

 小さな鳥たちが私の枝で羽を休めている間に聞かせてくれる他愛もないお喋りを、私がどれ程楽しみにしているか……まあ、人間が知る由も無いな。



 話し相手と言えば、一年前からよくこの中庭を散歩したり、授業中に私の足元でのんびりと昼寝をしていた神獣ティーグルの姿をこのところ見かけていない。

 確か前に、小さな可愛らしい新入生と契約を交わし、その者から新しい名を与えられたと嬉しそうに言っていたが……。

 まあ、心配せんでもそのうちふらりと姿を見せるだろう。


 それにしても、あの神獣と契約を交わすくらいなのだから、あの小さな娘、おそらくは強力な光属性の持ち主に違いない。


 この一年、気付けばずっと学院内の気は澄み渡っている。

 私の調子がすこぶる良いのも、周りの花々が例年より色鮮やかなのも、もしかするとあの小さき娘の恩恵なのだろうか?


 次にティーグルを見かけたら、聞いてみるのも面白いかもしれん。

第4部 学院三年目編 スタートです。

第三学年に進級したアスールと友人たち。それぞれが自分たちの将来について考え始めます。

結婚を控えるドミニク、学院を卒業したギルベルト、自分の生き甲斐を探すヴィオレータ、相変わらずふんわりなローザ、クリスタリア王家の子どもたちの生活にも少しずつ変化が訪れ……。

引き続き楽しんで頂けたら幸いです。



お読みいただき、ありがとうございます。

続きが気になると思って頂けましたら、是非ブックマークや評価をお願いします。

評価はこのページの下側にある【☆☆☆☆☆】をタップすれば出来ます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ