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クロスロード 〜眠れる獅子と隠された秘宝〜  作者: 杜野 林檎
第三部 王立学院二年目編
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閑話 テレサ・シドゥラーの独白

 私はテレサ・シドゥラー。十四歳。シドゥラー伯爵家の長女ですわ。

 現在はクリスタリア王立学院の第五学年に在籍しております。つまり、第二王子のシアン殿下と同じく最上級生ということです。

 とは言え、殿下と同じクラスになったことは一度もございませんけれど。



 先日、私はアリシア第一王女様のお別れ会を兼ねて、王宮で盛大に開かれた舞踏会にお呼ばれ致しましたの。

 本来でしたら、まだ学院に在学中の私が舞踏会に参加することは叶わない筈なのですが、その舞踏会が未来の王妃を選定する場になるとの噂を聞きました。

 ですから私、お父様にお願い致しましたの。どうにかその舞踏会に私も参加できないかと。

 国王陛下はお父様の申し出を直ぐに快くお受け下さったそうですわ。数日後、学院経由で私のところへ舞踏会の招待状が届きました。


 どうやら私一人を特別扱いすると、私が悪目立ちしてしまうのではと心配して下さったようで、学院の同学年の皆様のところにも招待状は届いたそうですわ。

 まあ数名の方々はドレスや宝石の手配等が間に合わないらしく、折角の王宮からのご招待ですのに、ご辞退なさった方も多いようでしたけど。

 お気の毒なことね。



 舞踏会は、それはそれは素敵でした。

 皆様とても華やかに着飾って舞踏会に参加されていて、今後新しいドレスをオーダーする時に参考にしたい装いが数点目に留まりました。

 中でもアリシア様のドレスはとても豪華で美しいものでした。やはり王族は特別上等な生地や、本当に繊細で美しいレースを手に入れることができるのでしょうね。

 私も王家に嫁ぐことが叶えば、ああいった豪華な装いを常にできるのかと思い胸が躍りました。



 第一王子のドミニク殿下は、前に学院でお見受けした時よりも更に逞しくなられていて、日に焼けて……。まあ、見るからにお強そうですわね。

 そういえば、ドミニク殿下のお母上の祖国であるガルージオン国の、何番目だかの姫君が舞踏会に参加されていました。

 ドミニク殿下とガルージオンの姫君のお二人はガルージオン語で話されていたので、私にはお話の内容は分かりませんが、おそらく他に誰も言葉が分からない姫君にドミニク殿下が気をつかって仕方なくお相手されていたのではないかと推察致します。

 特にお話が盛り上がっているとも思えませんでしたし。



 私としては、第一王子のドミニク殿下よりも、第二王子のシアン殿下の方が気になっております。

 シアン殿下は学院でもとても成績優秀で、先生方からの信頼も厚いです。誰に対しても公平に対応され、とても親切で、いつも笑顔を絶やさず、すごく好感が持てます。

 ですが舞踏会の間中、シアン殿下は皆様とお喋りはするものの、誰ともダンスを踊ることはありませんでした。

 おそらくシアン殿下はダンスがお得意ではないのでしょうね。



 この日は参加されていませんでしたが、王家にはもう一人王子がいらっしゃいます。

 第三王子のアスール殿下です。アスール殿下はまだ学院の第二学年生。まだまだ小柄で頼りない印象もありますが、あのお血筋ですから、将来的にはかなりの有望株であることは間違い無いでしょう。

 私とは三歳差ですわね。今の年齢ですと随分と年下な感じがしてしまいますが、三歳くらいの差はもっと大人になればどうと言うことは無い気も致します。

 今後のアスール殿下の成長次第では、旦那様候補として残しておいても良いかもしれませんわね。

 あくまでも今後を見てみないと判断はできませんが。



 あら。私が王子殿下たちとダンスをしたかをお聞きになりたいのですか?

 もちろん致しておりませんわ。

 第一王子は異国の姫君との会話に忙しく、第二王子はダンスが苦手。第三王子に至っては参加もされていませんもの。私が踊れるはずもございませんでしょう?


 侯爵家と伯爵家の数名の方とはダンスのお相手をして差し上げましたが、私としては今後彼らとお付き合いをする予定はございません。

 申し訳ないとは思いますが、やはり王族とは格が違いますでしょう?



 私はいつ王家主催の舞踏会や晩餐会にお声かけ頂いても良いように、自分磨きに徹しようと思っておりますわ。

 皆様も精々お励み下さいませ。

お読みいただき、ありがとうございます。

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