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琴葉姉妹と珍妙な仲間たちと巡る異世界珍道中  作者: 絶華 望(たちばな のぞむ)
青森県八戸市蕪島
9/11

蕪島神社防衛戦1

読み方

「」普通の会話

()心の声、システムメッセージ

『』キーワード

<>呪文


「聖域は取り戻しましたが、魔晶石が残っています。これを破壊しない限り、魔物は何度でも復活します」

「そうなんですね。じゃあ、すぐに破壊するんですか?」

「そうできたら良いんですが、簡単にはいかないんですよ」

「なんでですか?」

「魔晶石は魔力の結晶です。神の力を否定し、世界の法則を捻じ曲げる力の塊、これを破壊するには時間がかかるんです」

「なるほど、どれぐらいかかるんですか?」

「最短で1時間です」

「結構長いですね」

「そうなんです。それと、茜さんと葵さんは、ここで帰って頂いても構いません。ここから先は本当に命がけの戦いになりますから……」

「え?ウータン丸が居れば大丈夫なんじゃ?」

「ウータン丸様は戦えません」

「なんでですか?」

「魔晶石の破壊は、主天使ドミニオン以上の天使じゃないと出来ないんです。しかも、破壊するまで動くことが出来なくなります。その上、魔晶石を守るために魔物の大群がやってきます」

「危険だから帰れやて?冗談やないで、ここまで一緒に戦った仲間や、途中で放り出すなんて出来ひん」

「お姉ちゃん!危険だよ!」

「危険は百も承知や、でもな葵、遠足は帰るまでが遠足っちゅうやろ?冒険も一緒やキッチリ終わらせなあかんで」

「お姉ちゃん。例えは的外れだと思うけど、分かったよ。私も戦う」

「ありがとうございます。では、いったん戻って作戦の説明と夕食と休憩と準備を終わらせましょう」

「いったん離れでも大丈夫なんですか?」

「ええ、魔晶石の破壊を開始しなければ、魔晶石を守っていた魔物が全滅した事は魔王に伝わりません。なので、ちゃんと準備してから破壊に向かいます。とはいえ、1日放置したら、倒した魔物が復活するので、今晩中には決着をつけますけどね」

「分かりました」

「それで、どこで休憩するんや?」

「この先に、飲食店が何件かあるので、そこで休憩しましょう」

「分かったで」

「その前に、宝を回収しましょう」

「宝?ってなんや?」

「ボスを倒した報酬ですよ。ほら、そこに置いてあります」

 アランが指示した先には真っ赤な宝箱が置いてあった。

「おお、いつの間に、出現したんや?」

「ボスを倒したので出現したんですよ」

「なるほど、そんで何が入っとるん?」

 茜は、遠慮なく箱を開けた。すると、箱の中にはお守りが人数分入っていた。

「お守りが報酬なんか?」

「そのようですね。ですが、ただのお守りではありません。このお守りは防具として機能します」

「へぇ~。どうやって使うん?」

「ただ持っていれば機能します。攻撃を受けた時のダメージをお守りが吸収してくれるんです。ですが、これも回数制限があるので気をつけてください」

「無茶は禁物っちゅうことやな。分かったで」

「取るものも取りましたし、移動しましょう」


 5人と1匹は、海岸線を進み海沿いのカフェに入った。夕方になっていたので夕食を食べながらのミーティングとなった。

「さて、これからの作戦なのですが」

「アランさん。ちょっと待ってもらって良いですか?」

「どうしました?葵さん」

「えっと、さっきのボス戦で気になっていることがあるんですけど」

「何でしょう?」

「ウータン丸の『汝かわいいに触れる事なかれ』って私とお姉ちゃんとウータン丸にしか発動していないようなんですけど、何か理由があるんですか?」

「ああ、それは可愛いの定義があるからですよ」

「え?定義?」

「そうです。ステータスのCHRが15以上というのが条件です。ウータン丸様とお二人は条件を満たしているので発動しています」

「なるほど、分かりました。もう一つ、状態異常『不死』ってなんですか?」

「あれは、アンデットの特性で、行動不能になった時に自動で発動し時間が立てば復活するという厄介なものです。解除するには『聖なる力』が必要になります」

「なるほど、分かりました。ありがとうございます」

「いえいえ、他に疑問が無ければ進めますね」

「ええで」

「では、魔晶石を破壊するには1時間以上かかります。破壊を開始すると、魔王が検知するので、魔晶石を守るために魔物の大群を送り込んできます。魔晶石を破壊し終えるまで魔物を倒し続ける必要があります。ですが、普通に戦っていては多勢に無勢なので、有利に戦うために私が結界を張ります」

「結界?」

「まあ、正確には迷宮を作るんですけどね」

「迷宮を作れるんですか?」

「ええ、魔晶石の周りにある回廊を流用して、区画を作り、属性を設定し、罠と兵士を配置するんです」

「罠と兵士はどこから調達するんですか?」

「この天使のカードを使います」

 そう言ってアランはテーブルの上に数枚のカードを置いた。カードには様々な絵が描かれていた。燃える炎の絵が描かれたカードを指さしてアランは説明を始めた。

「このカードは、属性カードです。区画に属性を与えます。このカードは火の属性を与える効果があります」

 次にアランは、四角い落とし穴が描かれたカードを指さした。

「これは、罠カードです。その区画に罠を設置します。このカードは落とし穴です。区画に侵入した魔物に無条件で発動します。ただし、空を飛んでいる魔物には効果がありません」

 次にアランは、鎧に身を包んだ騎士が描かれたカードを指さした。

「これは、兵士カードです。その区画に兵士を設置します。このカードは騎士です。その区画に侵入した魔物を2体足止めし、かつ魔物にダメージを与えます。さらに、同じ部屋の兵士に向けられた攻撃を代わりに受けてくれます。これらのカードを迷宮の区画に配置して魔物の大群を迎撃します」

「なるほど、タワーディフェンスゲームみたいですね」

「その通りです。カードで召喚された兵士は死んでも問題ありませんが、茜さんと葵さんは死んだら取り返しがつきません。最初に言っておきますが蘇生魔法は存在しませんから、危なくなったら逃げてください」

「なんで、蘇生魔法は無いんですか?」

「神が、防いだんです」

「防いだ?」

「そうです。蘇生魔法が存在した場合、魔王を倒せなくなってしまうからです」

「どういう事です?」

「天使は魔法と魔術が使えないのです。私とミリアは堕天しているので、魔法と魔術を使えますが、ウータン丸様とユーは使えません。天使が使えるのは神から与えられた力のみなのです。そして、天使たちに与えられる力には蘇生は存在しません。蘇生の奇跡を起こせるのは神のみです。

 対して、魔法や魔術は、天使以外は誰でも使えます。魔王が、そう定めたからです。なので、蘇生魔法があった場合、天使と魔物の戦力差が覆せないほど広がってしまうので、神は蘇生魔法を防いでいるんです」

「なるほど、分かりました」

「それと迷宮では、茜さんと葵さんは、この図の位置から魔術を使って魔物を倒してください」

 そう言ってアランが示したのは以下の図だった。


□□□

□◆□

葵□茜

 □

 □

 ア□□□入口


「分かりますか?」

「えっと、菱形は神社であっていますか?」

「そうです。神社の左右に茜さんと葵さんが居るかたちです」

「なるほど、高い場所から魔物を狙い撃ちする作戦ですね」

「その通りです。神社に続く階段は私とユーとミリアで守ります」

「えっと、海から直接魔物が登ってきたらどうするんですか?」

「それはありません。結界の効果で決まった入り口からしか入れないんですよ」

「なるほど」

「それと、茜さんと葵さんの護衛に兵士の騎士を2体づつ付けます」

「なんで2体何ですか?もっといっぱい配置出来ないんですか?」

「結界は色んなプラスの効果を与えてくれるんですが、制約もあるんです。一つの区画に入れる人数が3人に制限されるんですよ」

「なるほど」

「あと、MPは気にせずに魔術を使ってください」

「MPが切れたら、お菓子で補充するんですね」

「いいえ、結界の効果で魔力は魔晶石から奪います。魔術を使えば使うほど魔晶石を破壊しやすくなるのでバンバン使ってください」

「分かりました」

「ということは、ある意味花火大会やな」

「お姉ちゃん。また微妙な例えを……。それだと汚い花火大会になるじゃない」

「ええんやで、汚ねぇ花火だと言いたいだけやからな」

「……。そう」

「作戦は以上になります。他に質問が無ければ夕食を済ませて、移動しましょう」

「ええで」「分かりました」


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