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第70話 同期の男女二人組(1)

 先日、同期の崎山(さきやま)君に口説かれた。

 そこまで悪い人ではないと思うんだけど。

 でも、これからも関係を知らない男の子から口説かれると少し困る。

 そんな時、ふと脳裏に閃いたキーワード。


「あ!ペアリング!」


 すっかり忘れていた。


「ペアリングがどうかしたのか?」


 隣にいる修ちゃんが眠そうな目でこちらを見てくる。


「あれ、またつけた方がよくない?」


 そう。高校の時に買ったペアリング。

 ※第7話参照

 大学に入ってからは実はつけていない。

 入学していきなりペアリングをつけているのも目立つだろうからと二人で話しあった結果だった。

 でも、男子避けにリングをつけるという女子の話をネットで見たことがある。

 

「そうすれば百合が口説かれることもなくなるよな」


 うんうんと嬉しそうな旦那様。

 私が口説かれるのがそんなに嫌だったらしい。

 つい口元がニヤけてしまうのが止められない。


「うん?なんで百合が嬉しそうなんだ?めちゃくちゃニヤけてるけど」

「だって、私が口説かれてたのに嫉妬してくれたんだよね」

「嫉妬……いやまあ、そうといえばそうだけど」

「別に照れなくてもいいのに」


 嬉しさの余り、胸板に頭をこすりつけて甘えてしまう。

 

「ふにゃーん」

「なんで猫なんだよ」

「前に猫みたいって言ったでしょ?というわけで撫でて撫でて」


 ああ、なんか些細なことが凄く幸せだ。私。


「百合も仕方ないなー」


 自慢の髪を梳くように優しく撫でてくれる。

 なんか本当に猫になった気分。


「ところで、修ちゃん。私が髪型変えたらどう思う?」


 ずっと肩くらいまでの長さで来た髪型。

 でも、最近はちょっと短くしてみてもいいかなと思い始めている。


「今ので似合ってると思うけど……どうしたんだ?」

「ちょっと短くしてみようかなーって。どう?」

「なら、首が見えるくらいまでとかも合うんじゃないか」


 首までかー。


「こんな感じ?」


 髪をささっと結わえて持ち上げてみせる。


「そうそう。身軽なイメージあるからいいんじゃないか?」

「じゃあ、そうしてみよっかなー♪」


 結婚してから、もっと好きになってもらおうと色々と考えてしまう。

 

「あ。でも、長さはそのままでポニーテールとかもいいな」

「もー。どっちなの?」

「じゃあ、やっぱり長さはそのままで。ポニーにしたのが……見たい」

「わかった。旦那様の要望なら仕方ないな―♪」


 でも、修ちゃん。私の扱いが以前よりうまくなってないだろうか?

 ま、いっか。眠くなってきたし。


「ふぁーあ。そろそろ寝よっか。明日からペアリング忘れずにね?」

「俺も……って当然か」

「そうだよー。私だけ嵌めてたら寂しいし」

「悪い悪い」


 こうして、いつものようにじゃれあいながら眠る夜が過ぎていくのだった。

 


 翌日。


「おはよー、優ちゃん。宗吾君」


 今日は朝にある必修講義。

 そういうときは四人で集まるのが定番だ。


「おはよう。優。宗吾」

「……あれ?百合、指輪つけてる?」


 さすがに優ちゃんはすぐ気づくよね。


「高校の頃買ったペアリング」


 考えてみると、大学に入ってからしていなかったわけで。

 なんだか夫婦って感じがしていいかもしれない。

 結婚指輪はまだだから、仮って気もするけどね。


「あー。百合が男避けなんてするようになるなんて。ぷっ」


 笑われてる。常識人の優ちゃんにしてみれば、今更ってことなんだろう。

 今までの自分がなんか子どもっぽかったように思えて少し恥ずかしい。


「優ちゃんより恋人歴……夫婦歴なら先輩だからね?」

「なんで急にマウント取ってくるのよ」

「さっき笑ったから」

「だってねー。あの百合が成長したなーって思うわよ。修二君も同じよね?」


 と視線を旦那様の方に向けてくる。


「確かに成長っちゃ成長かもな。それで困るところもあるんだけどな」


 そう嬉しそうに言われると、何のことかわかってしまう。

 朝っぱらにあーいう時のことを思い出させないで欲しい。恥ずかしいから。


「なんだよ、それ。のろけか?」


 宗吾君も何やら気づいたのか絡んでくる。


「いや、別にのろけじゃないって」

「どう考えてものろけでしょー」


 講義が始まるまで大教室の隅でそんなことを喋っていた私達だけど。

 

「なんかリアル充実してていいよなー(ボソッ)」

「理学部は女子少ないし(ボソッ)」

「つーても、妥協して理系話が通じない女子とか合わないって(ボソッ)」

「そんなだからお前モテないんだよ(ボソッ)」


 なんて囁きが少し遠くから聞こえてくる。

 それと。


「百合さんたち、ほんと仲がいいんだな」


 微笑ましそうに私達を見る高田(たかだ)君。

 先日知り合った、優しそうというか色々度量の広い男の子。


「そうだね。でも、私たちも……」


 先生の間違いを見つけると目の色が変わる、

 ちょっと変わった花守(はなもり)さん。


「うん?」

「別になんでもない」

「思わせぶりで気になるんだけど」

「いいから。そろそろ授業始まるよ?」


 時々話すくらいの関係になったけど。

 まだまだ決して親しいとは言えない。


(あの二人、どういう関係なんだろう?)


 なんだか花守さんが高田君に気がありそうにも見えるんだけど。


(あの二人。後でご飯でも誘ってみない?)

(いいけど。どうしたんだ急に)

(ちょっと面白そうだから)

(また百合は……ま、いっか。とりあえず講義に集中な)

(うん!)


 というわけで、お昼を楽しみに授業を適当に聞き流した私だった。

 だって、やっぱり気になるから仕方がない。

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