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幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた  作者: 久野真一
第2章 幼馴染と恋人になったばかりの私たち
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第5話 修ちゃんと恋人になった事を周りに打ち明けた件

「ふわぁ……」


 あくびが出そうになるのをこらえて、窓際の席につくなり突っ伏す。

 やっぱり、この感触が心地いいんだよね。


百合(ゆり)ったら、またそうやってだらだらして……」

「別にいいいでしょ?のんびりしたいの、私は」


 高校に入ってからの友人である(さき)ちゃんが話しかけて来る。

 あ、そういえば、せっかくだから修ちゃんとの関係打ち明けておこうかな。


「咲ちゃん。修ちゃ……修二(しゅうじ)と付き合うことになったから」


 まるで事務報告のように、あえて淡々と話を済ませる。


「ええ?池波(いけなみ)君と?おめでとー、百合!」

「うん。お祝いありがと」

「やっぱり、長年の恋だったんだねー、感動だよー」


 ああ、ええと。やっぱりその誤解が来るんだ。

 全く間違いでもないけど、ずっと恋していたかというと……。


「咲ちゃん、だからそうじゃなくてね」

「皆まで言わなくてもわかってるって。言い出せなかったんだよね」


 咲ちゃんは自己完結してしまってる。

 しかし、長年の恋、という言葉にふと、考えてしまう。

 いつから私達は両想いだったんだろう、って。


 小学校の時?仲の良い友達だったけど、それ以上じゃなかった。

 中学の頃?修ちゃんの事は異性と意識していたけど、うーん。

 高校に入ってからは既に今のような関係になっていた。

 じゃあ、何か劇的な意識するような出来事は……思い浮かばない。

 相性が良かったので、なんとなく好きになってた。

 そうとしか言いようがない。


 ひょっとしたら、修ちゃんの方は少し事情が違うのかもしれない。

 放課後にでも聞いてみよっと。でも、その前にお昼休みかな。

 恋人ならではの奴「らしい」ものも作って来たし。


 午前中の授業を聞きながら、お昼休みが楽しみになってきた。


「修ちゃん。お昼、一緒に食べよー?」


 私はBクラで修ちゃんはAクラ。歩いてすぐだ。


「あー、行くかー」


 席を立ち上がりそうになる修ちゃん。


「そうじゃなくて……今日は作ってきたの!」


 思いっきりドヤ顔をしてみる。

 おかげで今朝はいつもより早起きだった。


「作ってきた?って、まさか……」


 どこかしら期待するような目つき。


「そう!恋人同士の定番!彼女の手作り弁当!」


 恋人になって翌日。やってみたかったのだ。

 修ちゃんの反応はというと。


「ぷ。面倒くさがりのお前がな……」


 なんか平静を装っちゃってるけど。


「た、たまにはいいでしょ?」


 何やら遠慮したのか、修ちゃんの隣の席の子が空けてくれた。


「はい。彼女の手作り弁当、堪能してねー」


 わくわくしながら、反応を心待ちにする。

 恋人同士ってやっぱり楽しい。今までよりももっと。


「おお!……ご飯、唐揚げ、卵焼き。いつの間に……」

 

 そこにあったのは早起きして作った手作り弁当。

 久しぶりだったけど我ながらうまく出来たと思う。

 

「たまには、私だって早起きすることはあるんだよ!」


 ふふんと胸を張ってみる。


「じゃ、いただきまーす」

「私も、いただきまーす」


 久しぶりの自作弁当を味わう。うん。結構美味しくできてる。


「相変わらず美味いな。ほんと器用なんだから」

「でしょ?褒めて褒めて」


 ノリで頭を差し出してみる。


「はいはい」


 少しはにかみながら頭を撫でてくれる。

 恋人じゃなかったら出来なかったこと。

 本当に幸せ。


「堀川さんたちの様子見てると癒やされるんだけど」

「男として悔しいけど、お似合いだな」

「付き合って二日目なんて、思えないよねー」


 周囲が何やら囁いている。

 癒やされる、のかなあ?少し実感が湧かない。


 ほのぼのとしながらお昼ごはんを済ませて、放課後の授業。

 考えていたのは、修ちゃんとのこと。

 抱きしめ合ったり、キスしたり、頭撫でられたり。

 少し授業に身が入らないけど、こういうのもいい。


 午後の授業も終わって、放課後の帰り道。


「ねえ、修ちゃん」


 疑問に思ったことを聞いてみることにした。


「ん?」

「いつから私のこと好きだったの?」


 私自身がわからないのに、なんて苦笑してしまう。


「んー……いつだろ」


 やっぱりきっかけが思い当たらないらしい。

 頭に手を当てて考え込んでいる。

 少しペットっぽいなんて思っちゃった。


「やっぱり、思い当たらない?」

「あえて言うなら、だけど」

「ふんふん」


 修ちゃんはきっかけがあったらしい。なんだろ。


「中学に上がるとき。ちょっとだけ考えたんだよな」

「何を?」

「その内、お前と恋人になるのかなーって」


 少し照れくさそうにしながら、でも、はっきりとした言葉。

 その内、か。


「私もそうだったのかも」

「お前も?」

「このまま行ったら、なんとなく恋人になってるのかなーって」


 その時は、全然実感が湧かなかったけど。

 でも、他に相手が思い浮かばなかった。


「類友っていうか、似た者同士だよな」

「そうかも。でも、修ちゃんが友達で居てくれて良かった」

「俺もだって。居なかったら全然違う人生だっただろうし」


 何気のない言葉だけど、嬉しくなってしまう。

 好きって言われるよりも、もっと嬉しい言葉。


「私達、そのまま、将来は結婚してる、かも?」


 付き合いたてなのに、そんな事まで妄想してしまう。


「今更別れるとかいう話にならないだろうし」


 でも、修ちゃんはいつも望む言葉をくれる。


「ありがと。私も、だよ」


 少し見つめ合っては視線をお互い逸らし合う。

 お互い照れ臭くて恥ずかしいけど、嫌じゃない。

 やっぱり私は修ちゃんが大好きなんだなー。


「ああ。これからも楽しくやっていけるといいな」


 私と修ちゃんの関係は摩訶不思議だ。

 身を焦がれるような激しい恋をしたわけでもない。

 強く惹かれる出来事があったわけでもない。

 でも、一緒に居て、楽しいし居心地がいい。


 そんな友達同士の関係から一歩踏み出した私達。

 まだまだ付き合いたてで、ドキドキする事もあるけど。

 でも、こういうのも恋愛の醍醐味なのかもしれない。

 恋人同士の実質初日の出来事でした。

 早くもラブラブしてる二人を楽しんでいただけたら嬉しいです。


 楽しめた、ほのぼのした、ニヤニヤしたなどあれば、評価やブクマいただけると嬉しいです。

 感想もいただければ「もっと書いてやるぜい!」な気持ちになります。


 第3章は熱々カップルぷりがもっと(?)加速します。

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― 新着の感想 ―
[良い点] あえて言わせてもらおう! なぜ付き合っていなかった! [一言] 体調に気を付けてください!
[良い点] 作者様の作品は何時もの安定感。 幼馴染みの妻を持つ身として安心して読めます。 [一言] これからも幼馴染みラブラブで頑張って下さい。 応援しています!
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