第八話「思い出の場所前編」(回想編)
―桜の下の約束―
第八話「思い出の場所前編」(回想編)
二人は奥に進んだ。奥の道には満開の桜の木が何本もあり広々とした
円状の空間が広がっていた。左右にはベンチがあり、その先は二つの分かれ道になっていた。
この先は普通の公園のような造になっている。
ブランコ、滑り台、ジャングルジムなどがあった。
みちると千草は昔の事を思い出していた。
それは小学校三年生の春の事だった
毎年恒例の家族みんなでお花見をした。渉、みちる、千草とその両親みんなが
集まり、この桜の木の下でお花見をしていた。
絶景の桜が見える位置にシートを広げてそれぞれの両親の手作り弁当を
見せ合い交換したり、家族ぐるみの話で盛り上がっていた。
だが、あいにく、その日に限り忙しくて飲み物を持ってこなかった。
買出しに行こうか皆で相談をしていたけど、その買出しの役目を千草が行きたいと
言い出したのだ
「私も一緒にいくよ」というみちるの言うことにも耳を傾けなかった。
親たちは一人では行かせられないと思ったが、どうしても一人で行きたいと
千草は駄々を捏ねたので仕方なく一人で行かせることにした。
自動販売機までの距離もそんなに遠くはないため安心していた。
「それじゃ、行ってきます」
元気よく手を振り人混みの中を行ってしまった・
「私もやっぱり一緒にいけばよかったかな」
みちるはそう思ったがすぐに帰ってくるだろうと思いそのままにしていた。
しかし、十分経っても、三十分経っても千草は帰って来なかった。
さすがに心配になった親とみちる達
「私、探してくる!」みちるはそう言った。
「俺も行くよ」「それじゃ私も」「皆さん迷惑かけてすみません」
千草のお父さんが皆に頭を下げた。
こうして一家総出でみちると渉と千草のお父さん
みちるのお母さんの四人が公園内を探し回った。
つづく