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輪廻に囚われし者  作者: 烈火
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新しい環境  教室編

朝早くから疫病神に追われていたナギではあったがうまく疫病神を巻いて逃げる事ができたようだ。

一方、疫病神ギルはナギを追う事を諦め、クラス分け表を眺めていた。そして叫ぶ。

『ウソだろっ!!ナギとルナ達と同じクラスじゃないかっ!!しかも美少女メンバー勢揃いとかマジかよ?!』

ギルは空高く両手を拳にしてガッツポーズしている。

『ウソだろ…。何かの間違いであってくれ!!ギルがいなければハッピーエンドだった筈なのに…。これから地獄の学園生活がはじまってしまうんじゃないのか?!』

ナギは頭を抱えながら絶望していた。そうしている内にこう思った。これは素直に受け止めるしかない。そうナギは悟ったのである。

仕方なく自分の名前が書いてあるクラスに向かう。当然まだ誰もクラスの教室にはいない。だが疫病神はくるのは時間の問題だろう。クラスの教室には席順があらかじめ決められていた。それを確認するとホッと一息をつく。ギルとナギは席が随分離れていたからである。そうしている内に前にあるクラスの扉が勢いよくかけられる。ギルはナギの姿を見て悔しがっていた。

『くそ〜。一番だと思ったのに。さすが我がライバル!!油断も隙間ない。だが俺はこれから、のしやがってやるんだからな!!そしてここにエデンを作り上げてみせる!!』

こいつポエムでも語ってるのか?!

『前から言ってるが、俺はライバルだと思ったことは一度もない。』

呆れてつい吐いた言葉だった。次の瞬間、ギルに関節技をこれでもかというほど決めさせられた。本人にとっては、ナギの上だという事を示したいのだろう。まぁギルの攻撃などそこまで喰らう必要はないのだが、クラスのメンバーに不快感をギルが与えないようにするには疲労させて動かなくさせておく事が先決である。そしてその作戦は大成功をおさめることとなる。


ギルが疲労困憊のなか、続々と人がやってきた。俺達は先程の戦闘で疲れていたこともあり、頭を伏せた状態で大人しく自分の席に座っていた。クラスの男子がクラスに入ってきた女の子を見て言う。

『このクラスの女子。レベル高すぎ。ハーレムになれるんじゃねぇ?!』

『あの子。メッチャタイプ?!後で近づいてみようかな?!』

一方女性陣はというと男性陣を見ては

『あの男の子頭おかしんじゃないの?わざとらしく胸元開けてるけど全然体もぽっちゃりしてるし。』

『あの男子。この前告白してきたんだけど。なんで同じクラスになるのかなー?災厄だよー。』

言われた男性陣は今にも消えそうな空前の灯火である。見た感じ男性陣と女性陣には大きな壁が立ちはだかっているように感じる。もはやベルリンの壁ほどに。

確かに美少女が多いというのは事実であるとナギも思った。だが、クラス分けでは一般と推薦がごちゃ混ぜになっている事が多い。クラスごとに実力を見て先生達が吟味しているからである。それでも美少女が固まっているのは何か思惑でも何かあるのだろうか?

とりあえず、貴族の人に変に突っかかるような事をすれば厄介なことになるのは間違いない。いくら学園で貴族としての権力を禁じていても権力を振り回すものは必ず現れるからである。

ナギはだんだん体力が回復してきたので机で伏せていた疲れていた重たい体を持ち上げる。そうするとすぐに横から2人の子猫が親を見つけた様に近づいてきた。

『おはよう。ナギくん。同じクラスだったんだね!実は席隣だからこれからよろしくね!』

『おはようナギ。私はあなたの前の席だからよろしく。』

まるで凄い勢いで尻尾を振っている2人の子猫を見ている気分だった。

『ああ。よろしく。でも俺が授業中に寝てても起こさないでくれ…。』

ルナと白蓮は顔を見合わせてこう言う。

『ナギくんダメですよ!!授業はちゃんと受けないと!!寝てたらすぐに起こしてあげますから!!』

『私もルナに賛成だけど…。落書きしちゃうかも…。』

ルナは必死に訴えている天使、反対に白蓮はまるで悪巧みをしている悪魔という印象だった。

『白蓮が寝てたら俺もルナと一緒に白蓮の顔に落書きしようかな…。』

『絶対にさせるものですか!!』

まるで威嚇している子猫のように白蓮は毛を逆立てている。

そんなところにギルが乱入しようと試みていた。

『ナギ!!ずるいぞ!!俺もボンキュッボンの美少女達と有意義な時間を過ごしたい!!混ぜてくれよー。俺の最高のライバル〜!!』

そう言った瞬間にルナと白蓮はナギの後ろにものすごいスピードで隠れてギルを睨んでいる。

『ギル。お前の残念なところは欲望丸出しで突っ込んできた所だと思う。俺はもうお前をフォローすることのできない次元まで潜ってしまったんだと思う。現に2人とも逃げたし…。』

ギルは寮長の女将に受けた精神攻撃の2倍以上の超絶ダメージを受けた。そしてその場に崩れ落ちる。おそらく、もう挽回することはできないだろう。だが助け舟を出さないのも悪い気がする。

『ギル。お前は確かに普段はダメダメのやつだが、剣の技術だけは本物だから気にするな…。』

ギルはナギの慰めを真摯に受け止める。

『ナギ。やっぱりお前は最高のライバルだ。』

今更きずいたのだが…。…まさかこいつ…親友というところをライバルと言ってしまっているではないかと感じたナギであった。そして改めてギルはアホなのだと再確認した。


そうしていると

『さぁ。ガキ共ー。席につけー。ホームルームはじめんぞー。』

そこに現れたのは、ロングヘアでアホ毛を生やした黒髪の美女。年はあまりにも若かったため本当に教師なのかという声も上がってくる程のものだった。

ナギとギルはギョッとした。それは地獄を思い出すような訓練を施した人物そっくりの声だったからである。ナギは呟く。

『なんで…。ここに…。あいつがいるんだ…。』

ギルはというと

『もうダメだ。俺もう孤児院に戻りたい…。』

ルナと白蓮はその言葉を聞いて何を言っているのかわからないと言った雰囲気だった。他の生徒達同様何がなんだかわからないが席に着くことにした。

そのうち私達はその恐ろしさを知ってしまうだろう。ナギとギルが乗り越えてきた訓練の苦難を…。


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