30話目 大精霊との会合 後編
「アーティファクトは我々大精霊が作り、各種族に適当に持たせた。
持った者はそのような力があるとは知らない。
適当な者に持たせても、巡り巡って、使徒の元に届くことはわかっているからな。
これも一つの運命の会合だからな。
輪廻の会合に集いし者とはそういう星の元に生まれ付いたものだと思っている。
そのように必要な人と物が周りに自然と集まってくる。
それが顕著なのがシュウだな。
今度よく見てみたらいいぞ。
どれだけの使徒と巫女、そして2つの世界に散らばったアーティファクトが寄ってきているか、それでけでもやつの運命の会合を起す力がわかると言うものだ。
話は変わるが、アーティファクトに封印された大精霊の力を使うためには各属性の使徒がその力の使用に目覚める必要がある。
やみくもに大精霊の力を使われても迷惑だからな。
そして、完全に使いこなすには、使徒としての使命に目覚める必要があるんだ。
我々大精霊は誰が使徒と巫女であるかはだいたいわかるのだが、どうやったら覚醒するかは知らんのだ。何せ初めてのシステムだからな。
お前はジュラが魔族軍に囲まれたときに彼への思いからその力に目覚めたようだな。
そうだなナタ婆ちゃん。」
「アクア様、その通りです。あの時の取り乱し様ったら。
今は澄ましていますが、ぷぷぷっ、恋する乙女そのものでした。ぷぷぷっ、」
絶対こいつも灰にする。
できないかもね。何せ大精霊の力を宿すアーティファクトですもの。
代わりに、Gを切って、切って、切りまくってやる。
そして、ゴマ粒ぐらいになるまでみじん切りにしてやる。
「ちょっとあんた、切り刻んだ後に儂でナタ婆さんの歯をふき取るつもりじゃないよなぁ。」
一度マントでふき取ってから、クリーンをするので大丈夫よ。
私は当面マントは着けないわよ。100回ぐらいクリーンをしないとね、
「やっぱりふき取るつもりじゃ。」
「Gをどうやってゴマ粒ほどに切り刻めるかは知らんが、とにかく、お前は使命に目覚めるところまで来ている。
完全に目覚めるには、お前がこれからどうしたいのかに関わっているんだろうな。
お前のやりたいことはわからんが、使徒として完全に目覚めるためには、風の使徒、ソニアちゃんのように、光の公女、月の女王、そして中心にいる者の志を理解し、それを手伝うことを己の志とするか、或いは、人類だけでなく、エルフ族、魔族までも種族の衰退から守ろうと決心をしなければならないんだろうな。
この二つの目指すところはそう変わらんと思うがな。
人類だけを救いたいのか、全種族を救いたいのか。そこがお前の覚醒の分かれ道じゃないのかな。
まぁ、ここで直ぐに決めろと言うわけでもないので、今の話をそこの傀儡Gと一緒によく話し合ってはどうなんだ。
お前の使徒としての力を目覚めさせてくれた巫女と共にな。」
「もう一つ聞いてもいいですか。」
「なんだ、この際だから何でも聞いてみろ。」
「光の公女、月の女王、そして中心にいる者は誰だかわかっているのですか。」
「月の女王は覚醒、或いはそれに近い状態にあることはわかっているが、どこのどいつかは知らんな。
光の公女はエリナちゃんだ。まだまだ覚醒はしていないがな。
あいつもシュウのケツを追いかけまわしてばかりではだめだな。
そして、中心にいる者はシュウだ。
奴はその使命を十分に理解し、もう動き始めている。」
「他の使徒は誰ですか。」
「風の使徒はソニアちゃんだ。彼女は力にも使命にも覚醒して、光の公女と中心にいる者の手伝いを既に始めているぞ。
巫女は駄女神だな。あいつがソニアちゃんの役に立つのか。
すでに足を引っ張りまくっているそうだぞ、エルフ領で。
他にわかっているのは炎の使徒だな、まだまだ覚醒には遠いな。
でも巫女が常に側についているので後はきっかけかな。
その辺りはよくわからんな。
あっ、そうそう、シュリちゃんはお前の巫女だから。仲よくしてやんなよ。」
「シュリが私の巫女。」
「そうだぞ。お前とどのような関わりが出てくるかは今後によるがな。
あの呪詛の実力はお前以上かもな。
黒魔法を鍛えてやったら属性アーティファクトを持たなくても相当の戦力になるかもな。
この間呪われて、四苦八苦したぜ。なぁ、ノームちゃん。」
「あれはやばいのじゃ。お前たちも呪われないように機嫌を取った方がいいのじゃ。」
「それほどまでの実力ですか。
まぁ、彼女は私と同じ第1小隊なので、このまま2人で一緒に修行ができるかと思いますが。
こいつはなんか役に立ちますか。この傀儡Gは。」
「ぷぷふぷっ、お前、のろけるのも、いい加減にしろよ。
そんなに自慢したいんか。そいつのことを。」
「言っている意味が分かりませんが。怒」
「お前のやりたいことを一番理解して、そのために自分を犠牲にするやつだとわかっているくせに。
全くシャドウちゃんの関係者はどこか捻くれているよな。なっ、ノームちゃん。」
「その通りじゃ。我らがそいつを傀儡Gと言うとこめかみが引きつっているのが見え見えじゃ。自分では平気で傀儡Gと言っているのにな。」
「あっ、シュリちゃんはいい子だぞ。
お前らでひっかきまわして、ひねくれた子にすんなよ。」
そうなんだ、気が付かなかった。
やっぱりこいつは私のものと言う無意識な感覚があるのかしら。
「ここまで話したんだ、後は、シュウともいろいろ話してみろ。
輪廻の会合では結局、シュウが最後の判断をしなくちゃなんねぇ。
シュウがどんな情報を持っているか、輪廻の会合をどうしていきたいのか聞いておいても良いと思うぞ。」
「シュウはちなみにエルフ領にある風の神殿にむかっているところじゃ。風の大精霊に合うためだじゃ。
風の大精霊は情報の扱いにたけているので、儂らが知らんことも、特にエルフ族と魔族についてはかなりの情報を持っていると思うのじゃ。
闇の使徒としてはその情報を知らねばなるまいのう。」
「最後に俺たち大精霊の願いだ。
人類とエルフ族、そして魔族もゆっくりと滅亡の危機に向かってている。
それを救ってほしい。
特にお前は魔族には大いに含むところがあるかもしれんが、そこを乗り越えて闇の使徒として覚醒し、本来の使命を果たしてほしいんだ。」
「二人で、いえ、ナタ婆さんとマンタ爺さんとも一緒に私が何をすべきか考えたいと思います。
私は人類が魔族に滅ぼされることを恐れていました。
また、魔族の攻撃で不幸になった者たちをどう幸せにできるかを考えていました。
今日の話で、エルフ族も魔族もまた滅亡の危機の下であがいていることを知りました。
私はだかれの役に立つことを望んでいます。
それが人類以外にも、魔族にもそういう気持ちが出てくるかはわかりませんが、ちゃんと向き合ってみたいと思います。
ありがとう、大精霊様たち。
ありがとう、ナタ婆さん、マンタ爺さん。
傀儡ちゃんは後でお仕置ね。」
「なんで俺だけお礼じゃなくてお仕置なんだ。」
「今日は何も役に立たなかったから、当たり前じゃないの。
原液一気飲みは確定よね。」
「今、死にました。俺は土の大精霊様の下で死にました。探さないでください。」
「アクアちゃん、こいつを地下ダンジョン100階を作って封印していいじゃろうか。」
「ノームちゃん、俺が深海に沈めてこようか。」
「やっぱり原液で行きます。」
「「「飲むんだ。」」」
「あっ、最後にもう一つ、個人的な頼みなんじゃが、いいかのう。闇の使徒よ。
だれかれを救ってくれなどという大げさな願いではないのじゃ。
極ささやかな願いじゃ。」
「ノーム様なんでしょうか。」
「遠からずエルフ領に行き、風の大精霊に会うと思うが、風の大精霊の片割れのシルフィードちゃんに会ったら、チンチクリンズの一員になるようにそっと説得してくれんかのう。」
「チンチクリンズですか。」
「そうなんだ、そうすれば、風、水、土の大精霊の強固な連絡網ができるぞ。」
「お前もここに出入りできるようになったのじゃから、いつでも遊びに来てもいいのじゃ。その時にいろいろ情報が入ってきた方がいいじゃろ。」
「だから、シルフィードちゃんをチンチクリンズに入るように説得してくれよ。
あっ、ソニアちゃんには内緒にしてね。」
かなり胡散臭いわね。この話。シュウに確認してみてからね。
「ノームちゃんやったぞ。これでシルフィードちゃんはチンチクリンズだ。」ボソ
「やったのだ、アクアちゃん。」ボソ
全部聞こえてますよ大精霊様。
活動報告に次回のタイトルと次回のお話のちょっとずれた紹介を記載しています。
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