突然の告白……夏目 奏
後片付けは手伝わなくていい。
その知らせを聞いた時は、
本当に腹が立った。
頼まれたことを途中で投げ出すなんて…
というのはタテマエで、
多分、
やっぱり、
きっと、
春原に会えなくなるのが
嫌だったんだと思う。
チームメイトを説得して
ようやく今日の約束を元に戻した。
もしかしたら…
淡い期待を胸に、
早めに家庭科室へ行くと、
運命のように君がいて。
俺は初めての恋に大胆になった。
「春原」
今日が終わったら、
俺たちの接点はなくなる。
だから…。
そっと春原に近づいて、
腕に触れた。
「俺、春原が好きだ」
春原は、
ぽかーんとした顔をしている。
まるで俺が宇宙語を
話し始めたかのような。
いや実際、
言葉の意味を理解してないのだろう。
「春原が、好きだ」
もう一度、
言い聞かせるように言う。
「ええっと…。私たち、ほとんど話をしたことないと思うんですけど…」
思考停止状態から立ち直った
春原が言う。
「だから、これから春原のことを知っていきたい」
「…なんで、私なんですか?」
「それは上手く説明できない」
強いて言えば、
笑顔が可愛かったから。
でも多分それだけじゃない。
やっぱり上手く説明なんてできない。
それでも、
どうしても、
君が好きだから。
「うちの部は男女交際禁止だから、今すぐってわけにいかないけど…。俺がプロ入りしたら、付き合ってもらえませんか?」
「⁉︎」
今度こそ、
春原は本当に、
宇宙人を見るような目で俺を見つめた。