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突然の告白……春原日菜子
高校最初の文化祭は
瞬く間に過ぎていった。
「楽しかったなぁ〜」
文化祭の数日後。
そう呟きながら、
最後の後片付けにかかる。
今日は洗って乾かしておいた
臼と杵を返しに行くのだ。
優香と舞のいるE組は
まだHRが終わっていないようで、
家庭科室には、私1人。
「春原!」
「ななな、夏目先輩⁉︎」
ぼーっとしてたから、本当に驚いた。
「今日はお手伝いなしになったって、連絡ありませんでしたか?」
最初は後片付けも
お手伝いいただく予定だったけど、
臼と杵を返すだけだし、
野球部の皆さんも練習があるって言うから
今日は剣道部だけでって話になったはず、
だったのだけど…。
先輩のいないところで決まった話だから、
伝えておいてもらえるよう、
お願いしてたんだけど。
「そう聞いたけど、やるなら最後まで手伝った方がいいと思って。他の奴らも後から来るよ。それに…」
先輩が少し口籠ってから続ける。
「今日を楽しみにしてたんだ。また春原に会えるって」
まったく想像していなかった言葉に、
返す言葉が見つからない。
「春原、」
先輩が近づいてきて、
その大きな手が私の腕に触れる。
「俺、春原が好きだ」