閑話
「ここがわたしたち天使の仕事場兼住居よ。」
三葉に案内された場所は豪華絢爛な神殿……ではなく101〜206までのアパート1棟と木造平屋が3棟だった。おそらく平屋の2棟は三葉ともうひとり神のお付きというひとのものなのだろう。
優馬は正直に困惑していた。天使が木造平屋は絶対に合わないだろう。アパートも新しいものではなくどちらかというと管理人さんと浪人生の恋物語が始まりそうな雰囲気だ。そしてやはり最初に思っていたことだが……
「三葉さん、天使って女の人しかいないの?」
「ええ、そうよ。最初に連れてきた天使が女性のわたしだったからね。その後連れてくる天使も必然的に女性になったわね」
どうやら天使8人は全員女性らしい。だからこそあんな管理人さんが未亡人で犬に旦那の名前を付けているようなアパートに住んでいるのだろう。
「じゃあ三葉さんたちの仕事場に案内してくれる?」
「ええ、そうね。その前に……シイル。いい加減戻ってきなさい。」
「………あれが男………意外と……」
「……はぁ、ごめんなさいね優馬ちゃん。シイルは男性と話すのに慣れていないのよ。……手なんか握っちゃって、おそらく初めての体験だったんでしょうね。そっとしておいてあげて。」
「うん。わかった。じゃあ先に仕事場行く?他の天使の人達もそこにいるの?」
「……相変わらず軽いわね。そうね。今ならみんな仕事をしてるはずだからちょうどいいわ。行きましょう。」
いまだにブツブツ話しているシイルを置いて、優馬は三葉に連れられ木造平屋、他の2棟に比べて少し大きい1棟に入る。
「……ねえねえ、この書類ってどうすればいいの?とりあえず神に渡しちゃう?」
「あたしに聞かないでよ。そこの三葉さんにチェックしてもらう書類に突っ込んどけば?」
「あーい、そうするー」
「……ここ、間違ってる。多分備品の数の桁が全部1つ多い。」
「…っえ?……あああぁ、数え直しだあああ」
「………………」
「…あのー、起きてくださーい。ここチェックしてもらわなきゃムイの仕事が終わらないんですぅ……」
「…なるほど、個性的な方々ですね。」
「……いつもはこんなんじゃないのよ。ほんとよ?」
まずは寝てる人を起こすことから始めようかな…と、優馬は考えるのだった。