父上の愛
毎回1000字程度で投稿しています。文章量が少なくて申し訳ありません。
父上の目がまたこちらに注意を向ける。今度は憎悪に加えて少しの殺意までが入り混じっている。まるでお前が私にそれを聞くのかと俺に問いかけてくるように、じっと深く俺の中を覗き込むように見つめてくる。いつもの父上より異常さがました父上と目を合わせ続け、なぜだか気圧され右足が半歩後ろに下がる。憎々しげに歪んだ父上の顔は例え若々しく戻っていたとしてもあの時を感じさせるような気迫、怨念、憎悪を含んでいた。身の危険を感じ、左手も後ろに下がった時、
ゴトッ
左手に机の上にあった何かがあたりそれは床の上に転げ落ちた。それは兄上の目の色と同じ薄く淡い緑色の綺麗な石だった。その石が落ちた瞬間、父上は狂ったように俺を床になぎ倒した。その石を庇うように抱きしめ、俺にわめきちらした。
「カトリーナ!!!!貴様またもやジュリアンヌを害そうとするとは、、!!!」
初めて聞く名前。ジュリアンヌは俺と兄上の母上で昔病弱で亡くなったときいていた。だが、カトリーナって誰だ。けれどその時ジュリアンヌが母上ではないのかもなと思い至った。俺の髪の色は兄上と父上と一緒の金髪。だが、瞳は快晴の空のように澄んでいるクリアブルー。俺は母上の遺伝をあまり継がず、父上のサファイアの瞳と同じ遺伝を継いでいると思っていた。だが、母上が違うとしたら、、俺の瞳は母上譲りだとしたら、?
少し立ち止まった俺の肩に父上の拳があたる。鋭い痛みが肩に走り、うずくまる。その時、父上の大声が聞こえたのであろう。父上の側近たちが父上をなだめる。そして俺を憎々しげにみつめ頬をぶつ。
「国王陛下になにをいった!!」
肩や頬が痛い。ただただぼんやりと呟く。
「カトリーナ、、。」
その呟き声が聞こえなかったのだろう。側近はいらいらとした表情でもう一度拳を振り上げている。
「カトリーナって、、、だれ、、?」
今度ははっきりと聞こえたのだろう。側近の動きが止まり、瞳孔が開いた状態で俺をみて今度は父上を見る。父上はまだ冷静になれていないようでぶつぶつと
ジュリアンヌ、ジュリアンヌと呟いている。その様子をみた側近たちはいたわしげに父上をみて、俺には以前として憎しみの瞳を向けて、それから父上の寝室か
俺を追い出した。全身あちこちが痛く、やっとのことで自分の部屋に帰ってくる。ツキタチはずっと俺の部屋に控えていたのだろうか。俺が帰ってくるとすぐさま駆け寄り、支えてくれる。
「ヨシュア様!!大丈夫ですか!!」
ツキタチが心配してくれることが嬉しいのと全身の疲労もあって俺はツキタチの腕で気を失う。その間中ツキタチがずっと俺の名をよんでいた気がした。