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◆ボツ文たち  作者: ワイヤー・パンサー
『易しい世界』(新版?)
6/57

エピソード群01


◆型◆

■要約


; 視点: 一人称<刃沼>

; 場所: 




結界魔法と魔道具

■要約

魔道具

「魔道具って、魔法が使える道具のこと?」

「ざっと云えば、そういうことですね」

「なるほど、なるほど、作った」

「……え!? 作った!?」


「これこれ」

 取り出したのはコルク栓

「これに、私の結界魔法を詰めた」

「な…なんで、よりによってコルク栓なんかに……」

「目の前にあったから」


「さぁさぁ、使ってみて」

 シャノンは使ってみた。

「本当に、ハヌマさんのものと、同じ結界が張れますね。これは使い切りの魔道具ですか?」

「魔力の残量がある限り、繰り返し使えるよ」

「魔力の残量?」

「このコルク栓から、結界を出したり、そして、戻すこともできる。結界に込めた魔力は、結界を張っているときに消費する。結界が攻撃されたときは、なおさら魔力を消費する」

「ああ、はい。使い切りではなく、再回収ができるのですね」

「そういうこと。そして、魔力を全て使い切ると……」

「使い切ると……?」

「普通のコルク栓として使える」

「それは分かってます」


    *

「ほら、シャノンが云ってたじゃん。私の結界魔法は、他人に見せない方がいいって。そこで考えたんだけど。

 その魔法は、魔道具のおかげってことにすれば、いいじゃない、なんて」


     *


「ちなみに、魔道具開発の過程で、こんな危険物が出来ちゃったりして」

 差し出したハヌマの手にあるのは、見るからに危険色の赤色で点滅する缶詰。

「な、ななな、なんですか!? このビカビカ光っているのは」

「私の魔力を極限まで詰め込みました。名づけて、『ほしはかいばくだん』」

「この星ごと滅ぼす気ですかっ!?」

「それほどの威力はない」

「どれほどの威力があるんですか……?」

「お国を一つ、消し飛ばすくらいなら……」

「なんて、物騒なモノ、作ったんです!?」

「冗談冗談。本当は、爆発させてみないと、どれほどの破壊力か分からない」

「絶対、爆発させませんからね!?」

「じゃ、やる。プレゼント」

 ほい、と缶詰ほしはかいばくだん渡す。

「ひえ、は、ふ」

 シャノン、汗、ダラダラ。

「さぁさぁ、誤爆誤爆」

 シャノン、首をブルンブルン振る。

「んじゃ、さっさとアイテムボックスに収納しておくことだね。異空間に放り込めば、とりあえず安全さ」

 シャノン、すぐさまアイテムボックス展開。そっと、『ほしはかいばくだん』を入れる。

「ふうううぅううう……」


「落ち着いた?」

「……」

「ちょっと来て」

 シャノンの手を引く。

 ある一室のドアを開けると――


 シャノンはうつむいて、ぐったり倒れてしまった。


 部屋の中には、缶詰が山積みになっていた。もちろん、危険サインを赤く点滅させて幻想的だった。


「おや、まぁ、シャノンには、まだ刺激が強すぎたか。――鬼さん〜!」


「はっ、なんでしょう」


「これ全て、鬼さんのアイテムボックスにしまっといて」


「分かりました。……つかぬことをお聞きしますが、この、見るからに おどろおどろしい代物は、いったいなんでしょうか?」


「聞きたいなら教えよう! これは『ほしはかいばくだん』と云って、私の全身全霊の力を詰め込んだ――」


 鬼さんは、私の解説を聞いているうちに、ウキウキしたのか、手を震わせながら、缶詰を回収していった。

 鬼さんの顔は、笑顔で固まっていた。

 いいプレゼントだ。


結界魔法は

発生させた結界は、ダメージを受けないと長持ち。

ワーム戦のときにハヌマが作った結界は、丸一日持つと云ったが、それはワームたちの攻撃を受け続けた場合。

攻撃を受けなければ、もっと長く持つ。そもそもが尋常ではない結界だったので、半永久的に持つ。




楽園へ行きたかった

■要約


; 視点: 一人称<コウ>

; 場所: 現実世界


 現実世界が嫌いだった。現実逃避がしたかった。


 私は、毎晩、願った。

 楽園に、天国に、生きたい、と。

 楽な、楽しい、世界に、行きたい、と。

 眠る意識の中、何度も祈った。


娘様の力の確認

■要約


; 視点: 一人称<コウ>

; 場所: 覇王城跡?


「娘様、一応、ご自身の力の確認をした方が良いかと、進言させていただきます」

「力?」

「覇王様と一体となったその力量は、想像をはるかに超えるものと思われます。大いな力は事故を伴うもの。ですからにシミュレーションが大事かと」

「ふうん……そー、ですか。じゃあ、練習試合でもしますか? でも、私は戦闘経験ありませんし、ちょっと怖いですね」

「い、いや、とんでもございません! ワタクシらが娘様の相手にはなりますまい。死んでしまいます! 怖いのはワタクシめの方です」

「そんなにですか、私の力というのは」

「どうやらご自覚がないようで……、ですから、これを」

 鬼さんは、太い丸太を軽々と持ってきた。そして立てるように置く。ドシン! と。

 その上さらに、鬼さんは金属製の盾を持ってきた。

「これは人族が使う、割と上物の盾です」

 それを、丸太にくくりつけた。


「さあ、どうぞ、拳をふるってください」


 私は丸太に近づいて、そこにくくりつけられた盾めがけ、思い切り正拳突きをした。


「!?」

 その拳は、やすやすと盾を貫き、丸太も貫いた。そののち、盾は、ヒビが広がるようにして、割れて落ちた。自分でも驚いた。


「……その拳を受けては、大抵の者は助かりますまい」


 今度は丸太に触れた。そして握りしめる。と、硬い丸太も、千切り取れてしまった。

 握力も超人的らしい。さらに拾った石を握り潰してみたが、当然のように粉砕してしまう。


「こんな馬鹿力で……、人の中で生きられますか」

「力のコントロールが問題です。大丈夫です。娘様なら出来ます!」



異世界へ来た。そして旅に出たい

■要約


; 視点: 一人称<コウ>

; 場所: 


 異世界に来た。(娘様の器に戻ったということでもある)

 鬼さんと、小鬼さんたち、喜ぶ。


 私は聞く。

「何か、私にやってほしいことがあって、連れてきたのではないですか?」

 それに対して鬼さんと、小鬼さんたちの返事。

「いいえ、ワタクシたちは、娘様が戻ってくださっただけで、念願が叶いました」

「娘様のご命令に従います! 何なりと」


「私は旅に出たいです。一人で」

「お一人で、ですか……。ワタクシめも同行させていただけませんか? 色々とお役に立ってみせます」

他の小鬼も云う。「自分も!」、「このワタシめも!」

「じゃあ、鬼さん一人だけ、連れて行きます」


「それで、つかぬことをお聞きしますが――、何用で旅立とうと?」

「とくに明確な要件はないです。ただ、私はこの世界のこと知りませんし、興味あるしで……、じゃあ、あちこち行ってみよう、と」




鬼さんと馬車

■要約

・やはり鬼さんは人に恐れられる。


; 視点: 一人称<コウ>

; 場所: 野外


 鬼さんを従えて、旅立った。

 人の街に行きたいなと思った。

 ふと、気になって鬼さんに問う。


「鬼さん」

「はっ! 何でありましょう」

「鬼さん、もしかして、人に怖がられますか?」

「それほどでもないと思います」

 それほどでもないそうだ。


 まもなく、馬車が通りかかる。それを見て、「止めたいな」、と呟くと、「お任せください」と、鬼さん。

 鬼さんは道の ど真ん中に立ちふさがった。その巨体を大の字にして。


 馬車は止まり、その中にいる人々が、「魔物だ!」、「それもオーガじゃないか!?」と、どよめきたっている。武装した人たちが出てくる。

 そして、私を見かけるなり、助けるように「早く、こちらに逃げなさい!」と、馬車へ誘う。

 私は、悠々と馬車へと入りながら云う。

「あの鬼さんも、一緒に乗せてくれませんか?」

 馬車の中の人、怪訝な表情をするので、さらに私は言葉をつぐ。

「あれは、私の仲間です」

 私は鬼さんに向かって手を振る。鬼さんも同じように手を振り返す。


 鬼さんが馬車へと乗り込む。その間中ずっと、馬車内の皆さんは、こわばった表情をしていた。

「まさか魔物使いのお嬢ちゃんだったとは」、と誰かが云った。

 魔物使い――とは、魔物を従える人のことだろう多分。そういう理解で、こちらも尋ねてみた。

「魔物使いは珍しいのですか?」


「いんや、それほど珍しくはないがね。ただ、これほどの上位の魔物を従えるのは……、あまり見ないだろうなぁ」

 続けて別の人が口をはさむ。

「この魔物はオーガに似ているが、違うな。何なんだ?」

 オーガという魔物がいるらしい。

「言葉も使えるようだし、魔族の一種のようだが」

 魔族というのは、言葉を使える魔物のことかな?

 鬼さんが答えた。

「自分は、ジパング・オーガという種族です」

 皆さん、きょとんとした。

「ジパング・オーガ……? 初耳だな、それは」

「オーガの上位種に相当するか、と」そう鬼さんは答えた。

 目を見開いた方が云う。

「オーガですら相当の魔物なのに、そのさらに上位種か……。お嬢ちゃん、いったいどうやって、このお方を従えたんだ……?」

 私は答えずに微笑むだけにした。



覇王の部下たち

■要約

・覇王の部下たちが話し合う様を試しに書いた。


; 視点: 

; 場所: 世界ファンタジアのどこか


 豪奢な円卓を囲む、幹部っぽい人々が話している。異形の方々。


「覇王様が消失されてから、この世界も生きづらくなりましたなぁ」


「近頃は、魔王サタンが出しゃばっておられるし」


「魔族を従えるのが魔王ならば、その魔王を従えるのが、さながら魔神様。だが、その魔神様も、今は調子がよろしくない」


「人族は、相変わらず好き勝手やっておるし……」


「覇王様……、あなたはどこへ行ってしまわれたのですかっ」



 誰かが叫びながら現れる。


「見つけたぞおぉ! 覇王様を見つけたぞぉーっ!」


「なに! でかした! で、覇王様はどちらに?」


「異世界だ! オーバーワールドの地球とかいう星だ」


「知ってるぞ、地球。しかしまぁ、なんで、そんな辺鄙な所に」


「転生させられたのだ。体も心も弱体化され、無能にされて。早い話、流刑だな」



「弱体化が極められている。生まれた時から生きる力をなくしている。これでは、今まで生き延びていたのが奇跡だ」


「さすが覇王様です……、普通の人間とは違いますね」


「だが! 今の覇王様は、云ってみれば、普通の人間以下なのだ。いつ死んでもおかしくない!」


「は、早く、覇王様の身柄を!」


「うぬ!? これはっ」


「お主も、気づいたかっ」


「覇王様と、覇王の娘様の、魂が、重なっている……?」


「娘様? ――コウ様の魂も……?」


「そうか! 分かったぞ! 覇王様は、娘様に力を託したのだ。二人分の巨大な魂を持つ娘様だからこそ、耐えしのげたのだ」


「だが、今のコウ様の器は、人間の年老いたオスですぞ?」


「神のイタズラか。不一致な器を与え、さらなる弱体化を施したらしい。おかけでコウ様の心が壊れかけている」




残虐な娘様

■要約

・覇王の娘様の残虐非道さを描写。この娘様は、生まれ変わる前の娘様かもしれないし、以前の娘様の性質がよみがえるコウかもしれない。


; 視点: 一人称<コウ・覇王の娘様>

; 場所: 過去のファンタジア


 ある強盗団のアジト。


「こりゃ、やめられないな」

 金銀財宝をこぼしながら話す盗賊たち。


「覇王の名を借りたら、こんな、仕事しやすくなるなんてよ」


「ははははは」

 酒盛りが始まった。



 そこへ、戸を打ち破って、紅の髪の少女が舞い込む。


「なんだお前、誰だっ!」


「このガキ! いったい何だって――」


「待て! この方は――っ、は、は、覇王の…娘様」


「覇王の娘だと!?」



 その娘様が、口を開く。

「そう怖がんないで。今日は遊びに来ただけだから、さ。――ヌフフッ」


 娘様の残像がいくつも見えた。と思いきや、娘様が一人の男を、背後から片手で首を絞めている。


「うぎか、かへ……っ」

 まもなく、その男は意識を失う。そして、捨てるように、娘様は男を投げた。

「弱っちいの」


 周りの盗賊たちが云う。

「いったい、お前、何をした……?」

「俺らに恨みがあるのか?」

「ここにある財宝の半分をやろう。それで手を打たないか?」


 フハぁっ……と笑い声を漏らして、娘様が云う。

「もちろん、宝はもらう、全部もらってくよ。でも、それじゃあ、足りないね」


 娘様が盗賊の一人に詰め寄り、そして蹴とばした。蹴とばされた盗賊は、そのまま、天井に体を打ち付けたあと、落ちて、床にも叩きつけられた。


「……化け物だ」

 誰かが、そう云う。


「化け物?」

 鋭い目つきで、娘様は、そう云った者をにらみつける。


「…………」

 相手は顔がこわばる。何も言えず、じっとしている。


「こんな程度で、化け物呼ばわりなんて、ね……」

 娘様は、じっと、その化け物呼ばわりした賊の一人に向かい、歩み出す。


「まだ私は、ホコリを払うくらいの力しか出してないのに、さ」

 相手となって賊と、間を開けて、娘様は立ち止まる。

 そして、相手の方向へ、一撃の張り手をする。

 空気は圧縮され、なおかつ衝撃波も出した。しかし、直接攻撃はしていない。にもかかわらず、相手は突然に吹っ飛んだ。


 周りの盗賊たち、恐れおののく。


「今のだって、まだ、単なる物理攻撃。――今度は、いよいよ魔法でも使ってみようかぁ?」


「待て。お待ちください。私らが悪うございました!」


 盗賊の頭っぽい大男が、土下座した。

「お見逃しください! どうか、この通りで! 宝はすべて差し上げますたい! 今後、あなたの名前をかたることもしませんし、あなたの視界にも入らないように致します!!」


「へぇぇ〜……。でも、もう、私の視界に入っているんだけど、な」


「い、今すぐに――オイ、お前ら、さっさと退散するぞ!」


「いいさ。他の方法があるもんね」


「え? と、いいますと?」

 何を云っているんだ、という怪訝な表情で、盗賊のボスが尋ねる。


「あんたらを全員、ぶち殺すんさ。死んでれら、もう何もできない。――私の遊び人形になれ……!」


 娘様が飛び立つ。背中に羽根状の黒いモヤを漂わせて浮遊している。

 周囲が黒く染まる。それとともに――


「な、なんだこれ。出られねぇ!」


「くそっ、結界かっ! 結界を張りやがった!」


「仕方ねえ。こうなりゃ、ヤケだっ! あいつを殺す」


「だが、奴は覇王の娘だぞ!?」


「関係ねえ。奴をやらなきゃ、俺らがやられる。死ぬ気で戦え! いくぞォ!!」


 宙から舞い降りてきた娘様を目がけて、盗賊たちがわらわら群れて襲う。


「楽しくなる」

 娘様はゾッとするような笑みを浮かべる。


 盗賊たちの悲鳴とともに、ボチリ、ビジリと、相手の体をもぎ取り、千切りとってゆく。


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