006.覇王へ忠誠を誓う
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006.覇王へ忠誠を誓う
; 視点: 一人称<幸>
; 場所: ギルドの解体所
「それでは、よろしくお願いします」
用の済んだ私たちは、立ち去ろうとするが、さらに声をかけるドルメンさん。
「幸様、宿の方は、もうお取りになりしたか?」
「いいえ……、そもそも、私、無一文ですので…… 今日は野宿することになります」
「心配するな、ワシの家に来い。
コウは命の恩人だ。多少なりとも恩義を返したい。
好きなだけ、泊まっていけ」
と、ダイオードさん仰ってくださった。
しかし負けじとドルメンさんが云う。
「このギルドでは宿も経営しておるのです。
ギルドのすぐそばですぞ。便利ですぞ。
宿泊代はワタクシが出します。何日泊まろうと、何か月泊まろうと、全て私が代払いさせてもらいます!
是非、こちらにご宿泊下さい!」
と、力強く迫るドルメンさん。
私は疑問を口にする。
「あの……、なぜ冒険者にもまだなってない私に、そこまで入れ込むのです?」
そう云うと、ドルメンさんは しばし口を噛みしめる。その様子は、云いたいことも云えない有様を思わせた。
ポン、と手を付いたドルメンさんは、さわやかに云う。
「貴方の将来性に投資します!
…………と、いうことでどうでしょう?」
あからさまに もっともらしいことを云ってのけた。
が、そういうことにしよう。
「宿を提供して下さるのはありがたいです!」
都合良い返答をした!
*
; 場所: ギルドのロビー
「ドルメンさんは少し変わった方なのですか?」
率直な感想をダイオードに云った。
「いや、今日の奴は、いつも以上に変わっていた」
「いつもは、あんな感じではなく?」
ダイオードさんは思い出す素振りで述べる。
「んん――以前、不祥事やらかして御偉方が直々に来たときに、今回のような挙動になったか」
外に出る。
もう暗くなった空の元、私はダイオードさんと別れた。
また中に入る。
*
宿泊の際は、受付での方で名乗れば良い、とドルメンさんから云われている。
「コウと申しますが、宿泊について聞いていますか?」
受付嬢の方へ尋ねる
「コウ様ですね、承っております」
と、受付嬢が云い、さらに横から別の職員が、
「こちらへどうぞ」
と、案内開始される。
「あ、どうも」
会釈して、職員の後を付いて行った。
*
; 場所: ギルドの宿&食堂
「それではコウ様、ごゆっくり ごくつろぎ下さい」
パタン、と部屋のドアが、背後で閉まった。
案内された大部屋は、見るからに豪勢な内装だった。のみならず、窓からの景色も良かった。
私は豪奢なソファに寝そべったり、華やかで柔らかなベッドに寝そべったりした。
高級すぎるその場所は、庶民的な自分には落ち着かなかった。
ありがたいが、なぜこのような特別待遇を……?
しばらく部屋で休んだのち、食堂に呼ばれて、夕食を用意された。
「お金、持ってないので、払えませんよ?」
「大丈夫です。既に頂いておりますから」
とのこと。
食べたら、部屋に戻って、寝た。紅の髪がベッドに広がった。
*
翌日、食堂で朝食を食べているとき、周囲の会話が耳に入る。
「覇王の斧がなくなってた、って話は聞いたか?」
「そうなのか? 封印が解かれたときには、まだ斧は残っていたと聞いたが?」
「その後でなくなったらしい」
「よく見ていないだけじゃないか? 砂ボコリに斧が紛れたのだろう?」
「いやいや、しっかり見たって話だ。一人ならずな。これは確かだ。確かになくなった」
「そうなると、覇王が戻って持って行った、って訳か? ア、忘れてた、って具合に?」
「まー少なくとも、覇王以外が持っていたってのは考えづらいよな」
……覇王の斧を取り出しにくくなった。
*
朝食を終えて、部屋でくつろいでいた頃、訪問者が来た。
それはドルメンさんだった。
「どうもコウ様、……今、お時間よろしいでしょうか?」
「はい、良いですよ」
快く部屋に迎え入れる。そしてすかさず尋ねる。
「この部屋、立派過ぎはしませんか? 私はもっと安い部屋で良かったのですが」
「何を仰りますか! 世界の頂上に立つ方。これでもまだ身分不相応なくらいです!」
世界の頂上って、何でしょ? と、こちらから聞く前に、ドルメンさんひざまずいた。
どうかなされた?
「覇王様――! 貴方なのですね……!
お姿は全く変わられましたが、ワタクシには分かりました」
「覇王……? 封印されていた、あの? どういうことですか?」
「そういえば覇王様は、記憶喪失だと聞きましたが――、本当に覚えてなさらないのですか……?」
「んと、少なくとも、覇王になった記憶はないですね」
「しかし、貴方は覇王様なのです……!」
「いえ……、私はコウという人間で、しかも見た目に違って、おじさん――」
「覇王様……! なぜ、ワタクシが覇王様だと断定できるか、ご説明しましょう!」
「えっと……、はい、んじゃ……、どうぞ、お願いします」
ドルメンさん、楽しそうだな、と思い、お話に付き合うことにした。
「それは昨日、貴方が巨大アイテムボックスを開いたときに、ハッキリ分かりました!」
「ほう~」
「まず第一に、そして決定的に! あのとき覇王様独特のエネルギーかつオーラすなわち――、覇気が現れていたのです。
普段のコウ様、いえ、覇王様は――」
「あの、覇王と呼ばずに、コウって名前で呼んでくれませんか?
それと、もう少し声量を抑えて欲しいです」
「いや申し訳ありません……、承知いたしました、コウ様。
――それで、普段のコウ様についてですが、普段は力を抑えておいでですね?
だからこそワタクシが察知できないほどに、覇気の漏れは少なかった」
「力を抑えると云いますか、力の無駄使いは疲れやすい身体になりますから……」
「そして次に、覇王様だと断定できる、第二の理由です。
コウ様、貴方のアイテムボックスの中には、覇王の斧がありますね?」
「へ~、アイテムボックスって、取り出さなくても、中身は分かるものなんですか?」
「いいえ、そんなことはございません。ですが、あの斧は特別です。斧から漂うオーラは、分かる者には強烈に感じ取れるのです――ワタクシのように」
私はアイテムボックスから覇王の斧を取り出した。
ドルメンは、斧を凝視する。
「じゃア、都合が良いです。これ買ってください」
「ええっ!? 覇王様、今何と」
「あの、名前で……」
「失礼しました、は、は、こ、コウ様。しかし、なぜ、それを手放そうと?」
「なぜって、あまりに話題性があり過ぎるからですよ。私は目立つのが嫌なんです! 有名人になりたくないんです! ついでに云っちゃうと、覇王にもなりたくないんです!」
「な、な、なんと……」
「ですから、別の人を覇王にしてください」
「そ、それは、無理な話です……。覇王様は生まれながらに覇王様なのです。職業のように、適性があれば他の者でもなれる、とは、違うのです」
「ふ~ぬ」
若干のため息を付きながら、重かった斧を床に置こうとするが――
「ままままま待ってください! コウ様! 置いてはいけませぬ!」
「ええっ!? どーしてですか? ただ置くだけですよ? そんなに汚れてませんよ?」
ドルメンさんは冷や汗を垂らしながら、両手の平を正面に「ストップ」のポーズで、慎重に述べた。
「あのコウ様……、その斧の取り扱いは、慎重に慎重を期して下さいまし……。その斧はですな、異常重量なのです」
「異常重量? 異常に重たい」
「ええ、異常に重たいのもそうですが、コウ様にとってはさほど重さを感じないという二重性も――」
「重たいですよ? この斧、私からしても」
「……他の者には、微動だに動かせないほど、重いのです。
それほどの斧を、普通の建物で床に置かれては、どうなるでしょう?
たやすく床は抜け、階下に貫き、地面に埋まるでしょう。その間に斧に貫かれた死傷者も――」
「分かりました! この斧が危険なことは、よーく分かりました」
私は覇王の斧をアイテムボックスにしまった。……もうずっとしまいっぱなしになるかもしれない。――漬物石に使おうかな。超強力プレス機としての使い道もいいかな。
「お分かり頂いて何よりです。フー」
息を付き、額をぬぐうドルメンさん。
ええと、で、何の話でしたっけ?
「そうそう、で、結局、私が覇王と云うことは、なかったということに……」
「そうはいきません!」
話は平行線か――?
*@@@@@@@@@@@@以下、直し
「私が、もし覇王だとして、ドルメンさんはどうするんです?」
「コウ様に忠誠を誓います! コウ様に仕えます! コウ様が世界の覇者となられるよう尽くして参ります」
「…………」
「ワタクシだけではおりません。
覇王様に忠誠を誓う者は、世界の至る所にございます。
皆ひっそりと、陰ながら覇王様を応援し、いつでも助力する用意が出来ているのです。
ワタクシは、覇王様が世界を収めになるためならば、命と引き換えに役目を果たすことも、……その覚悟も出来ております……!」
それは重たい、心理的に。
「まずはワタクシ一応、ここら一帯のギルドをまとめるギルドマスターをしております。その権限を用いて、コウ様のバックアップをさせていただきます」
しばし色々なことを話したのち。
「そうですねー、世界を支配は魅力的ですね」
「その気になられましたか」
「世界を支配するということは、自分の好きなように出来るということですからね」
「コウ様は世界をどのようにしたいとお考えですか?」
「どのように……。社会に腐敗した所あれば、ヒーローが現れて、悪党をやっつけてくれる。――そういうスカッとする世界が良いですね。
そう考えると、ヒーロー組合とか、おっ立てるのも良いですねー。そうそう、ヒーロー組合そのものが腐敗しないようにしないと、ですね。
ヒーロー組合を作るとしたら、それ自体はあまり社会に関与しないようにしましょう。それぞれのヒーローの支援とか、だけで」
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■要約
・ギルドの宿でドルメンさんの代払いにて泊まれることになった。
・ダイオードさんと別れる。
・覇王の斧がなくなっているウワサ。
・翌日ドルメン訪問、覇王に忠誠を誓う。
007. <書きかけ状態になっている>
; 視点: 一人称<幸>
; 場所:
■要約
・
・魔物買い取りの支払いを受け取る。
・冒険者登録。最低ランクから。ステータスチェックをすると全能力マイナス値という異常値が。




