23 苦渋の決断
ごめんなさいm(_ _)m。今日は時間が無かったので、次から絶対に本編に進みます。
「『レイン』『フリーズ』」
アルの広範囲の魔法は、火力はそこまで無いが、雑魚を一掃するのにはもってこいだ。まぁ別にサンドランナーはその間で雑魚ではないが―
なぜだ?確かに確かに敵は皆一掃され、血の海が出来ている。なのに何だろこの気持ち―。
「へぇー。やって暮れるじゃないのぉ」
刹那―俺達の目の前には、狼が居た。いや違うな。これは狼であり、狼ではない。これは人狼だ。昔ステフのお母さんをやったのと同じ系統の『怪人』。
銀色の毛皮に人の様な二足歩行。顔は完璧に狼のものである。そして服はズボンの身であり、毛皮に埋もれた上半身からでも、その筋肉を目視することが出る。
彼が喋り終わる頃には、風が遅れてやって来る。第1層の逃げて来た人達は1番手前に居たせいで暴風に身を飛ばされる。
こいつがヤバいのはあまり感の良くない俺でも分かった。ド派手な登場をしてくれたからか?―いや違うな。こいつを一言で表すならば『殺意』だ。
人には人の『個性』がある。これは誰もが1度は聞いたことあるのでは無いだろうか?
『ヒーロー』と呼ばれる人然り、
『悪人』と呼ばれるもの然り。
どんな人間でも個性がある。その点で言えばこいつの個性のジャンルは間違いなく『悪人』となるであろう。
だけどそれだけでは無いのだ。こいつの『狂気』はそれだけでは無い。もし仮にこいつを無理やり『悪人』のジャンルに収めるならば、それは突出したカリスマとなるだろう。
そして今その人狼からの問に、誰も応えようとしなかった―居。誰も喋れなかった。
最強のヒーロー。それは俺の世界で皆を魅了し、子供たちの憧れであった。
そこらの有象無象の悪人が、最強のヒーローを目の前にした時どうなるであろうか?まずその悪人は、その正義の前になす術なく逃げるであろう。
そう。言うなれば『カリスマ』だ。
Q:だが、もし仮にこの『カリスマ』が悪人の者になったらどうなるであろうか?
A:答えは簡単だ。ヒーローが悪人に正義を刻むのであれば、悪人もまた然り。悪人の権化である、こいつで言えば『殺意』を人々に刻み込むであろう。
そう。圧倒的な悪の前に人は恐怖する。この人狼レベルの殺意になると、そこらのベテラン冒険者でさえも、有象無象と何一つ変わりはしない。
言える事は一つ。こいつは強すぎるのだ。俺が過去に戦った相手。『獸力のポワナ』奴は確かに、『悪人』であろう。だがこいつと人狼を比べては行けない。
そんなの勇者と一般人を比べているようなものだ。
「貴様に聞こうかぁ。一人前の正義も持つ者よぉ」
人狼は一瞬で、全身銀が甲冑で覆われている冒険者、この市でお山の大将をしていた男『ケリオス』。
「きっ、お前に...教える訳など...」
ケリオスはかろうじて、口だけ動ける様だ。流石だ。噂によると、ケリオスはこの市代表の冒険者らしいからな。
「ほぅ?貴様はただの有象無象の『正義』では無いな。その正義はかなりいい素質だ。だが我と貴様ではいな。貴様は人としてアホだ。だがその正義は『正しい』ものであるぞ。経緯を表し、貴様を生かしてやろう。これに耐えられたらな」
これ?とは何だ?凄く嫌な予感しかしない。それも、「死」に直結するであろう何かに。
「それでぇ?貴様は何のつもりだ?」
人狼は俺の顎に手をかける。さっきまで数十メートル先に居たのに...。
「貴様は『正義』では無いない。この我でさえ計り知れない潜在能力を持っている。圧倒的な力を。貴様は既に動けるのであろう?」
「まぁなっ!」
俺は黒剣を抜き、人狼に斬りかかった。
「遅せぇ」
「なっ!?」
人狼は回り込み、後ろから俺の首に鎌をかける。その鋭い爪で。
「それにしても珍しい街だぁ。我を前にして、行動をとる者が2人も居るなど。それに1人は我に件を振るう。実に不愉快だ死ね」
俺の首から爪を下ろし、俺達に背中を向け、帰って行った。
「何だ?」
男は指を鳴らすと、白い狼の群勢が一斉に俺達の元に向かってきた。俺の予測だが、これはサンドランナーの上位互換の上位互換って所であろう。
俺は頭で考えるよりも先に体が動いていた。俺は向かってくる狼の群れに対し、全速力で走る。まだ距離はあるが、このペースなら。あと一分後にはここに着くだろう。
「おい!李依!俺の前に土の障壁を作れ」
「えっ、でも...」
「いいから早く。願いを聞くって約束だろ?」
「ぐっ...分かったわ...」
李依は、苦渋の決断で俺のすぐ後ろに、分厚くでっかい壁を作った。巨人かな?と思うくらいに。
「やってやるよ!」
俺は駆け出す。
次は動きますよ!




