21 実は...
「起きろー」
俺は久しぶりにいい眠りが出来たので、機嫌よく李依の肩を優しく揺する。
〜10分後〜
「起き...起きろや腐れビッチぃ!」
俺はそこにあったスリッパを思いっきり頭に叩きつける。
「痛いわねぇ〜!何すんの?こんな朝早くからぁ〜。ま、まさか夜這いに来たのぉ〜きゃーたーすーけーてー」
「うるせーよ!誰がお前見たいなビッチを夜這いに来るか?ていうか今はもう朝だぞ?」
「夜這いならぬ、朝這いか...恐ろしやー」
「いいから起きろ!」
俺はもう1回スリッパで叩いた。
「それで?ステファニーちゃんとアルは?」
「アルとステフは下でお前を待ってるぞ。絶対昨日アルと何かあったろ?」
「まぁねー。アルはすごいいい子だった。本当にもう可愛くて可愛くて...」
段々と李依の顔がニヤニヤになってくる。正直気持ち悪い。あっ閃いたっ!
「ぬぁ〜李依ちゃんよぉ〜あの事をアルちゃんにぃ〜言ったらというどぅーなるかなぁ〜?」
「ご、ごめんなさいぃ〜」
一瞬で李依の顔は青くなる。表情豊かで面白いな。
「それじゃ俺の言う事絶対に守れよ」
「まぁいいわ。でもエッチなお願いは聞かないからね」
「こちらから願い下げだ」
下に行くとアルが凄く眠そうにしている。ステフはもう居眠りしている。ステフが眠そうなのは納得が行かないな。まぁ子供だからという事で納得しよう。
「それじゃ行きますか」
冒険者ギルドに着くと、もう冒険者達は狩りに行った様だ。いまの時間は5時半と言う、クソ早い時間なのに、この世界は皆早起きなんだな。
「どれに行くか?」
「これ何かどうでしょうか?」
ステフが1枚の紙を持ってきた。
「おーいいな!李依の登録をしたら行くか」
◇
俺達は今北の峠を超え、荒野地帯に来ている。風が吹くと、砂が舞い、すぐに視界が奪われ、砂が目や鼻に入る厄介な地帯だ。だがそのへんは大丈夫だ。なぜなら...
「『プリテクションキュア』」
なぜならステフが居るから。この『プリテクションキュア』と言う魔法は、1度掛けると2時間継続して、キュアが発動されると言う優れもの。視界の問題は解決しないが、これで目や鼻に入る心配は無くなった。
だが問題は...
「居たぞ『サンドランナー』が3体だ」
俺は李依の家から持ってきた小型の望遠鏡で遠くを見た。この望遠鏡は100キロ先まで見ることが出来るので、サンドランナーは100キロ先に居ることになる。
サンドランナーとは二足歩行の歩くトカゲだ。かなりデカい。俺の身長は175cmだがそれでも、俺の胸元までは優にあると言う。
そう。李依の持って来た以来はサンドランナーの討伐だ。いつもは冷静なのに、なぜか最近暴れ出したらしい。並行で調査も行えば、報酬は倍になるとの事。
でも今は金に困っていない。取りありず、サンドランナーを狩りまくって経験値をガッポガッポてに入れるか。
何て考えていると、もうサンドランナーは目で見える距離にいた。
俺は遠距離攻撃が出来ない。なのでここは李依とアルに任せるしかない。
「李依は砂を固めて、氷柱状の物を沢山作ってぶつけろ!」
「アルは水だ。水ならなんでもいい。取り敢えず。砂が浮かないようにしろ!」
「「分かったわ(おけ)」」
俺が指示を出した時にはもう動いていた。アルは詠唱を、李依は地面に手を当てて居た。
「『ウォーターブラスト』」
そう言うとまずアルが魔法を放った。するとアルの手からか〇〇め波の様な物がのも凄い勢いで出た。
「おっ、おい。アル今のは何だ?」
「あーあれよ。水の最上位魔法の『ウォーターブラスト』」
「なにをやってるのよアル〜。私の出番がないじゃない」
前を見てみると地面が数センチ抉れ、砂が湿って、ぐちょぐちょになっている。サンドランナーは跡形も無く消し飛んでいる。
「アルって凄いな加護持ちでも無いくせに強すぎるだろ」
「あはは。その事なんだけどね。実は私加護持ってるのよね」
「え?今なんて」
「私加護持ってるの」
「「「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」」」
俺達の声が何も無い荒野に響き渡る。
「実は私『大魔導』の加護って言って、一流の魔法使いになれる加護持っているのよ」
「なんで隠して来たんだ?持ってると言えば親だってきっとお前が冒険者になるのを反対しなかっただろうに」
「やだわ。お父さん過保護だから、きっと勇者のパーティーに入れるってうるさくなるもの」
俺は心の中で勇者居たの?と叫びつつ、話を続ける。
「『大魔導』の加護ってそんなに凄いのか?」
「凄いなんてもんじゃありませんよ!私の『癒しの加護』2、いや3段階位は上の加護ですよ?勇者の次に強くなる素質を持ってます」
ステフが凄く興奮しながら言っているので、きっと凄いな。
「「え?そんなに?」」
俺と李依は口を揃えて言った。
「まぁあれだわよ。ただ単に魔法使い職の2、3倍の魔力の量をもってて、威力が2倍になるくらいだわよ。そんな大したことないわ」
「大したことないっ言うお前が1番やばいと俺は思う」
「ねぇ〜やばくねぇ〜?何か四方八方から砂煙がやって来るよ?」
「「あっ」」
「おい!アル雨を降らせろ」
「分かったわ。『レイン』」
すると天からではなく、数十メートル上に雲を創り、雨を降らせた。この間わずか3秒。
「李依はさっき作った奴をぶち込め」
「おけおけ...ってレインで砂ドロドロに...」
李依は涙目で言う。やばい。死ぬんじゃね?
「『フリーズ』」
アルがそう言うと、雨が氷柱に変わり、サンドランナーは無残な状態に...勿論俺達の上にも氷柱は降るので、急いで、李依に泥の障壁を作り出させた。
所々氷柱が障壁を貫通してくスリルがもう怖いの一言。
事の事情が終わり障壁を出る。
「な、なぁアル。お前1人で充分強くないか?」
「そんな事ないわよ。怪人と戦う時は少し苦戦するわ」
こうして俺達は疲れてないはずなのに疲れ果て、『ディファレンス』に帰るのだった。
文節が変だったと自負しております。m(_ _)m




