19 紅
「ん〜?昔話?」
「そうだ。昔話だ。今俺が喉から手が出るほど欲しい宝物だ。話してくれたら勿論、擬似聖剣の事は黙っておくよ」
「そこまで私の昔話聞きたいなんて...あんたストーカー?」
「ちっげーわ。いいから話せ」
「分かったわよぉ〜」
「これは私が17の時の話ぃ〜。
私はいつもと同じ様に、友達と分かれたあと学校では禁止されているバイトに行ってたのよ。その帰り道に起きたら出来事。居眠り運転で簡単に死んじゃったわ」
「意外と呆気なかったな」
「本当にそれよね。マジ意味わかんないんですけどぉ〜」
「それで生前の特異体質とかあったのか?」
「んー、そうだわねぇー。強いて言うなら、物を無くしやすい体質だったかもね」
「ほぉ?」
「まぁ、そうなるのも無理無いかぁ〜。私の家は父が資産家で、結構なお金持ちでさっ、何不自由無く生きれる筈だったのよ。だけど私はその体質のせいで、服やら何やらがすぐ無くなるの。流石に父も呆れちゃって、私には必要最低限の物しかくれなかった」
「だからバイトを?」
「ええそうよ。バイトではモデルをやっていたの。それが私の唯一の生き甲斐だったかなぁ。子供の時はよくゲーム何かして楽しかったけど...」
「大変だったんだな」
「君には分からないよぉ」
「李依、実は俺も前世では辛い思いをしてたんだ」
俺は李依に前世での出来事を全て話した。
すると彼女は共感してくれたのか少し頷くと、少し微笑み出した。
「それでこの世界の始まりを教えてくれ」
「そうね...特に変わった事は無かったわね。ベルファストの神草原の隣にある、アストレア卿の私有地の森で目覚めたわ」
「へぇー」
そこは違うのか...てっきり、俺は李依もベルファストからだと思ったが。まぁ少しズレたと考えよう。
「それでここからが問題よぉ〜」
「問題?」
「私ね実は自分の能力来た時に、少しだけ理解していたのぉ」
「加護って奴か」
「そうだわね。加護って言うのは誰から言われた訳でもないのに、本人は何故か自覚することが出来る。そこで私は森の中を歩いたの、そしたら森に霧がかかってきて、走ったら洞窟に着いたわ」
「洞窟?」
「そうねぇ。洞窟。私は一旦その洞窟に入る事にしたのよ。そしたら奥に道かあるのに気づいて、進む事にした。そしたら、今はうる覚えなんだけど...読めない字が何故か読めたのよね」
「それって...」
「多分君もその剣を手に入れた時入ったのよねぇ?」
「ああ」
「奥に行くと、聖剣エクスカリバーの元素となる『ガリバー石』なる物があって、私はすぐに『等価交換』の能力ですぐにエクスカリバーに変えたわ」
「じぁ何で」
一歩踏み出す俺に対して、李依は鬱陶しそうな目で俺を見ると。
「駄目なのよ」
「何がだ?」
「エクスカリバーには能力があってぇ、剣を鞘に戻すと、どんな傷も一瞬で癒える。この世界では『カリバーン』と呼ばれる代物よ。それが使えないし、私には重すぎて振り回すことが出来ないのよね」
「重すぎる?これがか?」
俺はエクスカリバー擬を鞘に収めた状態で、ブンブン振り回す。
「え?あんた本気?その体で実はゴリゴリのマッチョなのぉ?」
「んな訳ねぇーだろ」
「じゃぁ何で?」
「分かんねー。俺の運がいいからじゃ無いか?」
「またそれねぇ?」
李依はどこからとも無く出てきたお茶を飲む。
それ俺にもくれよ。と言おうとしたが、ここまで香る、その極上のラベンダーを思わせる香りは庶民には一生飲むことの出来ない高級感が出ていた。そのため俺は身を1歩引く事にした。
「ありがとな。今日は邪魔した。お前は裏表無くていい友達に慣れたよ。またいつか会えるといいな」
俺が地味な友達宣言してかっこよく去ろうとした瞬間、カーディガンの後ろの部分を掴まれた。
「なにするんだ?俺の服はこいつonlyおけ?伸びちゃったらどうするんだよ?」
「まぁ待ちなさいな。ここであったのも何かの縁よ。貴方に私の能力の権利を渡すわ」
「能力の権利?」
「そうよ」
〜十分後〜
「おぉ!これは凄いな!」
俺は今エクスカリバー(擬)を空中で八の字に動かしていた。
「でしょ?私の権能凄いでょ?」
そう李依はさっきエクスカリバーの所有権を俺に譲ってくれた。権能はそのままなので、実質俺が李依の権能を使えるという事だ。
「なぁ李依。この能力があればお前でもエクスカリバーを操れたんじゃないか?」
「それは私も1度考えたわ。何せ私は前世では早稲田高校と言う名門に言っていたもの」
「おお!俺の言ってた開成高校と並び立つ名門高じゃないかぁ!」
「ちっ、負けたわね」
「それで?なんで使えないんだ?」
「分からないわよ。この力に物の重さは関係が無いはずなのに「重い」としか言いようが無いの。アストレア卿の財宝庫に持って行くのも一苦労ね。魔力が一瞬で無くなったわ」
「まぁ、それが持てるのも、俺の運がいいからって所かな?」
「まぁいいわ。そういうことにしておく」
「用が住んだけど...丁度いいから一緒にこの市を回らないか?俺まだよくこの市の事も分かんないし」
「まぁ暇だからいっかぁー。ででもこれじゃデ...」
「ん?何か行ったか?」
「何でもないわぁー!さぁ行くぞぉ〜!」
「お、おー!」
また始まった情緒不安定なテンションだ。まだあって一日も経っていないのに慣れた。この前のピンクの街もそうだったけど、人間って言うのは案外何にでも適応出来るものだな。
その後俺たちはファストフードを食ったり、たわいも無い冒険者話をしたり、服などを買ってまるで、デート...考えるの辞めておこう。勿論金は有り余ってるので俺が払った。
◇
指定の時間になり、俺は冒険者ギルドに戻ることにした。
「俺は待ち合わせしてるけど...李依も来るか?」
「いやぁ〜でも何か気まずいじゃんっ!」
「まぁな。そうかもしれないな」
「え?意外だわね。君ならてっきり「お前に気まずいの感情なんてあるかァッ!」って返して来るかと思ったのに」
「俺どんなキャラだよ...まぁいい行くぞ」
「まっいいか」
時間は経ち、日はもう沈み帰る紅の夕日。日本よりも少し赤いが、日本よりも俺は綺麗に見える。なんでかな?俺の好みの色だから?違うな。多分「友達」が出来て、毎日が楽しくなったからだと俺は思う。




