15 木の匂い
頑張って三千文字書きました。誤字報告お願いしますね。
「―来てください」
「起きてください!」
俺は落下した衝撃で目を覚まし、まだ眠い目を擦りながら、俺をベットから落とした張本人を見る。
「何だ?ステフ。まだ朝だぞ?」
俺は眠りを妨げられた腹癒せをする。
「もう朝ですよ?それで...今日この街から出て行くんですか?」
ステフは少し悲しい表情をした。友達が街から居なくなるんだもんな。
「まだ行かねーよ。まずは旅をするための金を稼がなきゃ行けないしな」
「そうですか。それは兎も角、ご飯で来てるんで来てください」
少しニッコリとした表情で、出ていった。そんなに嬉しいか?まぁ今日はいっぱいステフと遊ぼ。
俺は眠気を覚ますために洗面台に来ている。全くピンクには懲り懲りしてきた。
だが少し気づいた事があった。この世界にもちゃんと歯ブラシがある。歯磨き粉はないが、それでも虫歯予防はちゃんと出来る。虫歯は怖いからな。
でも鏡が無いのか...この世界での自分の顔が見てみたいのに、ステフやアルがちゃんと俺と喋ってくれることからきっと俺の夢見た平凡の顔になっているんだろうな。
オーラが無いのはハッキリ分かるが顔までは分からないからな。
俺は歯磨きを終えたあと、大広間まで来ていた。
「パンだけか...」
俺の皿にはコッペパンが2個だけ並んであった。他の席には皿が無かったので、もうアルとステフは食べたんだのだろう。
「ごめんなさいね。昨日ステファニーがお肉いっぱい食べちゃったから」
苦笑する街長。俺は辺りを1、2回確認した後に街長に聞いてみた。
「なぁ街長。もうステフとは仲直りしたんだろ?じゃあもうその喋り方は辞めにしないか?」
「何言ってるのよ?確かに5年前までの私はまだ男だった。だけど今はもう立派な乙女よ?」
「お、おう。そうか」
人って案外環境に適応出来るものだな。て言うか歳をとると乙女になるってどういう事だよ!
「それで?ステフ達は今どこにいるんだ?」
「多分銭湯に居るんじゃないかしら?」
「サンキューな」
そう言えば俺昨日ステフを助けたせいで風呂に入って無かったな。
「おっ、おい?街長今何時だ?」
「午後3時よ」
忘れてた。きのうステフを助けたせいで寝たのが朝なんだった。ステフに騙されたわー。まぁこのまま夜になったら生活リズムが狂う所だったよ。一応感謝だな。
◇
街長が行っていた通り、冒険者ギルドの隣に銭湯があった。冒険者にとってビールと銭湯は1日の終わりを告げる自分へのご褒美らしい。
いい加減ピンクにも慣れてきたところだ。でもピンクの建物に冒険者ギルドのかっこいい看板が意外と似合ってるのが気に食わない。
俺は銭湯から出るとちょうど、アルとステフが出てきた。俺って意外と早かった?まぁ銭湯の中は、俺のいた世界と全くと言っていいほど同じものだったからかな?
「おはよ2人とも」
「それはさっき言って欲しかったです」
「おはよう」
ステフが今日は好戦的だな...。まぁめんどくさいので全部スルーするけど。
「それじゃ行こっか」
「「どこに?(ですか)」」
上手く被さったな。
「行くって...あそこにだよ」
俺はドアの無い建物を通り、独特な木の匂いを再び嗅いだ。
「こんにちはー」
俺は受付のお姉さんに挨拶をした。
「ようこそ冒険者ギルドへ。今日は何しに?登録?討伐?」
そう俺たちは冒険者登録に来ていた。とは言っても俺たちは登録済みなので、登録するのはステフだけだ。
て言うかこのお姉さん食い気味だな。
「今日はこの子の登録に来ました」
俺たちは一斉にステフの方を見る。
「えぇぇぇぇぇぇぇぇ」
「ちょ、うるさいぞステフ。ここまで来て駄々をこねるなんてやっぱりお前は見た目通り幼女なのか?」
「私は立派な16歳です!それに...」
ステフは顔を俯かせた。俺とステフの目線はかなり違うので、顔を見ることは出来ないが、好い顔をしていないのは、分かる。
「それに?お前は過去に振り回されて一生引きこもるつもりか」
「それは...もう知ってるんですね。私の過去」
「まぁな。言っちゃダメかもしれないが、これは街長から聞いた」
「それじゃ、分かりますよね?本当はこの場所、臭い何から何まで嫌いで来たくも無かった」
「でも冒険者には興味があったんだろ?」
「え?」
「俺は話を聞いただけだが、お前の母ちゃんがすごくかっこよく見えた。俺だったら憧れてるね」
「でもやって行ける自信が無い」
「なぁ自身って何だ?」
「それは...」
この問いには答えることは出来ないだろうな。俺も多分同じ質問をされたら分からないと思うしな。
「自身何て俺にも無いよ」
「え?」
「実はな、俺の生まれた所はとても平和で、剣なんて降ったことが無かった。勿論人や魔物を殺した事なんて一度も無い」
「じゃあ何で私の時...」
「それはな、俺にだって自身は無かったさ。でも「ステフを助けよう」それだけを原動力に動けた」
「私は見ず知らずの人の為に命何て掛けられないです」
「まぁそうかもな。俺だって未だに何故お前を助けに行ったのか?って思うことがある。でも今となっては、いい事をしたなと思ってる」
「何で?」
「お前ならもうとっくに分かってるんじゃないか?『人を助ける楽しさ』」
「うん。そうですね。私は確かにフェイくん以上に人を助ける喜び、楽しさ。色々知っています」
「分かってるじゃないか。そうだよ。それが自身の正体。自身って言うのは、初めからある物じゃ無いんだよ。コツコツと貯まる物なんだ。俺も剣を振るう何て最初は自信が無かった。でも、ステフを助ける上で、沢山の自身が着いた。無くなったらまた取り戻せばいい」
ステフの俯いた顔が上に上がると、少しだげ目がうるうるしていた。
「私を...守ってくれますか?」
「ああ、勿論だ俺達は仲間だからな。言葉はあまり上手くなかったけど、俺の言いたいことは全部言えた。これから、俺とアル、ステフで自身を付けようぜ!」
その瞬間一筋の雫がステフの頬を伝う。たが、それをすぐに拭い、俺の方を向いた。
「私、やってみます。冒険者」
「おう!頑張れ!」
登録にしてるステフを他所にアルを見ていると、「何が何だか分からない」見たいな顔をしている。それが俺のツボに入り、吹いてしまった。
「ねぇーフェイくん。私何が何だか分からないんだけど?」
「フフッ。ああそうだな。後でステフから聞くといいよ」
◇
翌朝。俺達は街長の朝飯を食べた後に、外に出ていた。
「それじゃ行っていて来ます」
「ええ。一人前になって帰って来るのよ」
ステフは街長に別れの挨拶をしている。貰わない何て行って冒険者として連れて行くのは失礼なのかな?。
「街長ありがとうございました!」
「ありがとうございます!」
「ええ。気を付けて行って来るのよ。たまには戻って来ていいんだからね」
「はい!」
俺は苦笑しながら馬車に乗る。すると一つの剣の存在に気づく。
「ねぇーフェイくん。この剣使わないんだったら売らない?」
「いやいや。こんな立派な剣売れるわけ無いじゃ無いかぁ〜」
こんな擬似聖剣を売ったとなると、指名手配されそうだからな。俺は剣を腰に指した。
「使うんだったら良いけど、フェイくんの腰にはもう一つ剣があるじゃない」
どうやらこの世界には二刀流が伝って無いそうです。
中間テスト頑張ります!




