表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/15

MIDDLE PHASE 6

GM:さて、これがミドルフェイズ最後のシーンだ。


雫:あれ?思ったより早いな。


GM:早く感じるのはお前らが1つ前の部屋すっ飛ばしたせいだよっ!!(一同爆笑)……さて、今君たちがいるのはラスボス部屋の前に位置する空間だ。さっきの水の部屋ほどじゃないけどそれなりに広い。


叶実:ほうほう。


GM:辺りは薄暗いが……視界が遮られるほどではない。そしてそれ故に君たちは気づいた。10mほど前に何やら強そうな奴らが三体いることに。


雫:お?イキナリ戦闘か??


GM:そうだね。この部屋にはとくにこれといったギミックは仕掛けられていない。名付けるなら『中ボス部屋』といったところだね。


叶実:まじか。あの猿たちが中ボスですらなかったとは(一同爆笑)


GM:…まぁ、エティンたちは中ボス並みに強かったと思う(笑)


雫:まじかよ(笑)……さて、それじゃあエネミーたちについて説明よろしく。


GM:あぁはいはい。えーと、三匹の容姿はそれぞれ『鉄の獣』『おもちゃの兵隊』『ガイコツ戦車』……って感じかな。


叶実:全くもって統一感の無い連中だな(笑)


GM:そうなんだよな(笑)エネミー名は『メタルビースト』『オルゴーレム』『ボーンチャリオット』!三体の間にコレといった関係性は無い。だが、戦闘プランはしっかりと組み立ててあるからな。覚悟しとけよ。


雫:うわぁ…面倒くさそうだなぁ……とくに『オルゴーレム』が。アイツ《ジョイフルジョイフル》使うんだよな。




その通りである。


『オルゴーレム』は6レベルエネミーであり、三体の中では最も弱い部類に入るが、その支援スキルを侮ることは決して出来ない。

むしろこの『オルゴーレム』は、PCたちを倒すために無くてはならない存在なのだ。



□■□



さて、もちろんPLには秘密だが、読者の皆様にはここでこの三匹のエネミーたちの戦術をお教えしよう。



まず注目するのは、鉄の獣こと『メタルビースト』である。


このエネミーは行動値がやけに高い上に範囲攻撃が使えるのだ。


それによって、PCたちが移動してバラバラになる前にエンゲージに飛び込んで全員にダメージを与えることができる。


しかし、これは現代人2人と女神にとっては大した問題ではない。


何故なら、2人はフェイトや《トリビアリスト》で回避し、女神は《プロテクション》でダメージ軽減すれば大した被害は出ないからだ。


GMもそのことは分かっている。だからこのメタルビーストは、実は『囮』としての役割が強い。


メタルビーストが初っ端からエンゲージに突っ込んでくれば、PCたちは範囲攻撃を繰り出すこのエネミーを『脅威』と認識するだろう。


つまり、雫、叶実両名の攻撃をメタルビーストに集中させることができるのだ。


まぁ、…例えそうはならなかったとしても、『エンゲージから離脱したときは5mしか移動できない』というルールがある以上、少なくとも1ターン目には耐久の低い『オルゴーレム』に白兵攻撃ができなくなるので、それはそれで良いだろう。



そして、その隙に動くのがガイコツ戦車こと『ボーンチャリオット』である。


コイツの攻撃はなんと、ダメージ軽減ができない。

つまり、《プロテクション》が通じないのである。


本来なら最優先撃破対象となるハズのエネミーであるが、十六夜もフラマンもそのことを知らない。


そこで、メタルビーストが攻撃を引きつけている間にノーダメージ状態で接敵、各個撃破して行くという作戦をとるのである。


さらにそこに『オルゴーレム』の《ジョイフルジョイフル》が乗り、ボーンチャリオットが『未行動状態』に戻れば………




ーーーPC陣営は、少なくとも1人は確実に倒れる。




……という算段である。



この完璧すぎる戦法を練り上げた時、GMは暗い部屋の中でニヤニヤしまくっていた。


ボーンチャリオットの攻撃を防ぐことのできる《インタラプト》や《アフェクション》などの切り札級スキルをクライマックスフェイズ前に切るか否か悩んでいるPLの姿が目に浮かんだからだ。


おそらくエネミーたちがこの戦闘に勝つようなことは無いだろう。

しかし、PCたちは確実に疲弊する。

そしてその状態でクライマックスフェイズに出てくるあの『超攻撃特化型エネミー』に立ち向わせるのだ!


そう考えてひとりほくそ笑んでいたのだが……


……考えてもみなかった。


まさか、この完璧な作戦の…あんな単純なところに穴があるだなんて………




GM:ここは本気でいかないとまずいからな。戦闘前に女神様が右手を上げ、高らかに宣言するぞ。


叶実:おぉ


GM:「行くわよ!!《ハンズオブライト》!!!」



□■□



ラウンド1




GM:さて、それじゃあセットアップから始めようかな。まずは行動値から提示してくれ。




ーーー実はこの時点で既に、GMが地獄を見るまで秒読み状態となっていた。




雫:あいよ。行動値ね。




行動値


雫…14

メタルビースト…14

オルゴーレム…11

ボーンチャリオット…9

叶実…7

女神…6




GM:(…………………あれ?)


雫:お、メタルビーストと同値か。この場合エネミーより先にPCが攻撃できるんだよね。セットアップのスキルは?


GM:女神が《ハイロウコール》を……


雫:ダメージ+23ね。それじゃあ行こうか。ムーブで接敵、マイナーで聖水、メジャーはもちろん《ワイドアタック》!!


GM:ちょ…待……えええええええええ!????




そう。本当に単純な話だった。




雫がメタルビーストより速かったのである。





雫:命中判定!(ダイスを振る)…達成値22!!


GM:(ダイスを振る)…だめ!全員回避失敗!!


雫:ダメージロールにフェイトと《ピアシングストライク》使用!(ダイスを振る)…お!まぁまぁデカイぞ。66点の光属性魔法ダメージ!!!


GM:えええええええええっ!???オルゴーレム……死ぬんだけどっっ!??(一同爆笑)


叶実:早い(爆笑)


雫:よっしゃあっ!!


叶実:コレ、猿の方が強かっただろ(笑)


GM:(←頭を抱えている)




これでGMサイドは《ジョイフルジョイフル》を封じられた訳だが……問題はそこではなかった。


今雫は敵陣営に突っ込み、範囲攻撃を放った。



………つまり、GMがメタルビーストでやろうとしていたことを先に雫にやられてしまったのだ。



こうなると辛いのはGM本人がよく分かっていた。



GM:(ブツブツと小声で)オルゴーレムに《ヘイスト》でも使わせりゃよかったかなぁ……でもエネミーデータは無改造で出したかったしなぁ…あ!メタルビーストにオルゴーレムを庇わせればよかったのか!?……いや、オルゴーレムがチャリオットをジョイフルするには待機が必要だから無理に庇ってビーストが死んじゃってもそれはそれで最悪だし……


叶実:GM。進行進行。


GM:え?あ、はい。………そうだな…………



こうなったらもう、エネミーたちが取れる手段は一つだけであった。



GM:全力で雫を叩き潰す!!まずはメタルビーストの行動!マイナーで《スマッシュ》メジャーで《連続攻撃》っっ!!!!


雫:なんかGMの目がマジだっ!??




そりゃあGMだって必死にもなる。




GM:命中判定!………げ!?低い!達成値15!!


雫:回避判定は7+3Dで…(ダイスを振る)…5。達成値12で回避失敗。


GM:よっしゃぁぁぁあああ!!!




もはやGMのテンションがおかしい件。




GM:ダメージロールっ!!36+4Dで……達成値51!


雫:うおうっ!?高ェ!! 女神さまっ!!


GM:《女神プロテクションっ!!》6D+8で…………32点軽減。…………………(←頭を抱え始める)


雫:19点通るので……物理防御引いて10点ダメージ。


叶実:さすがは女神様!!(笑)


雫:まだまだ余裕ですなぁ(笑)


GM:まだだまだっ!!(笑)《連続攻撃》2発目!(ダイスを振る)…達成値19!!


雫:回避。(ダイスを振る)…失敗。


GM:ダメージ行くぞ!(ダイスを振る)…さっきとあまり変わらないな。達成値50!!


叶実:あれ?この攻撃って2回目だからもう《プロテクション》使えないんだよね?


雫:あ、そうだったな。


GM:その通りっ!さあくらえ!50点の物理ダメージだ!!


雫:(さらっと)《ナイフパリー》で12点軽減。物理防御を引いて29点ダメージ。


GM:お前そんなの持ってたのかよっっ!??(一同爆笑)


雫:さっきまで俺も忘れてた。




忘れてんなや。




GM:ぐ……だがこの攻撃でお前のHPはかなり減ったハズだ。次のボーンチャリオットの行動で確実に仕留める!!


雫:その前に女神様。《クイックヒール》を。


GM:……………(←しゅんとした顔)(一同爆笑)


雫:イヤ(笑)仕方ないだろう!!女神様は味方なんだからっ!!!(一同大爆笑)


叶実:敵味方兼任とかめんどくさすぎる(爆笑)


GM:ぬぅ……「わかったわ!」と、女神様は元気に返事します(泣)




結果、《ヒール》3D+15に、『カドケウスの杖』+8、『高位聖印』+2D、《フェイス:アエマ》+2の、合計5D+25で放ったヒールは雫のHPを全回復させるに至った。




GM:ま…まだ終わっちゃいない!!次はエネミー陣営のエース、ボーンチャリオットの攻撃だ。


雫:さぁ来なさい。《プロテクション》と《ナイフパリー》で40点は軽減して差し上げましょう。


GM:残念だったな!!このエネミーの攻撃は如何なるスキルやアイテムを持ってしてもダメージ軽減できないのだっ!??


叶実:何イイイイイイイイイイイ!??(一同爆笑)


雫:なにその女神様キラー(笑)


GM:そう!コイツこそ対女神様最終兵器なのだ!!ムーブ、マイナーは無し。メジャーで《突撃戦車》!命中は3D+10(ダイスを振る)…達成値22!


雫:(ダイスを振る)…回避失敗。


GM:ダメージロールっ!!なんとメタルビースト超えの38+4Dで……(ダイスを振る)…あれ?メタルビーストとあまり変わらない(一同爆笑)


叶実:だめじゃん(笑)


GM:そ……それでも51点の物理ダメージだ!!軽減は不可!!


雫:うわっ42点もくらった。まだ生きてるけど(笑)


GM:デスヨネ〜




エネミーたちが雫を削りきれなかった時点で、勝敗はほぼ決まった。


続く叶実は《エアリアルスラッシュ》に《マジックフォージ》、さらに『霊水』を乗せ、13D+30点の風属性魔法ダメージを《マジックブラスト》で二体に飛ばしてきた。


この攻撃によりメタルビーストは戦闘不能に。

ボーンチャリオットも大損害を講じた。



そして続くラウンド2は…


…雫の攻撃がボーンチャリオットのHPを削り切ることで、一瞬で終わった。




□■□




GM:おかしいだろうっ!??何で行動値が14もあるんだよっ!??(一同爆笑)


雫:いや、素の《敏捷》と《感知》は両方とも6なんだが、現代アイテムの『アスリートギア』で敏捷+1あと『iスマートフォン』で行動値自体に+1だから…


GM:それで行動値14か……


叶実:現代アイテム強すぎ(笑)


雫:ヴァーナとかにはかなわないけどな。


GM:十分すぎるだろ……さて、それじゃあドロップ品決めようかな。


雫&叶実:はーい!


GM:倒した順で…まずは『オルゴーレム』から。


雫:ここは《トレジャーマニア》使っちゃおう。


叶実:了解!4Dで…(ダイスを振る)…達成値15!




15…マナカラーリング




GM:補助防具だね。魔法ダメージに+2するやつ。


叶実:補助防具は丁度空いてるよー!


雫:お、よかったじゃん。じゃあ次、メタルビースト(ダイスを振る)…12!




12…ディジーナイフ




雫:来たっっ!!


叶実:おお。さっき破壊されたやつか(笑)


GM:まぁ、《放心》はナイフ1本あれば付与するからな。こうなってよかったんじゃない?


雫:いや、ぶっちゃけ猿の辺りで《放心》ほしかった(一同爆笑)


GM:(笑いながら)…じゃあ最後。ボーンチャリオット!


雫:はいさー!…(ダイスを振る)……あ、ちょっと微妙。達成値10!




10……四輪自動車




雫:車ぁぁぁぁぁぁあ!???(一同爆笑)


叶実:チャリからランクアップした(爆笑)


GM:いいじゃん車(爆笑)クライマックスは3人でドライブだ(爆笑)




因みにだが、GMがボーンチャリオットのドロップ品に、16以上で『飛竜』が出るように設定していたのは内緒である。




GM:ほらほら!溜まった荷物とか車に乗せて早くいこうぜ(爆笑)


雫:行かねぇよ!!車は邪魔だから売る!!!


GM:あっはっはそうか売るのか!!




…………………………………売る?





GM:……ん?え??何??売る???どこで?


叶実:フフ……俺たちにはコレがあるのだ!!


雫:ギルドサポート!《派遣販売》を使用しまーす!


GM:何イイイイイイイイイイイ!??(一同爆笑)


叶実:なっはっは!!コレで一攫千金だっ!!


GM:いや待てお前ら!!このセッションのメインテーマはドロップ品をかき集めることであって決して通信販売的なものに手を出すことでは……


雫:知るか!!(派遣販売の店員に向かって)おっちゃん!!『自動四輪車』売りたいんだけどいくらだ?


GM:「じゅ…15万Gになります」(一同超爆笑)

※0の数を1つ見誤りました。正しくは一万五千Gですが、今回はシナリオ終了時まで気づかずに進行しています。大変申し訳ございません。


叶実:5レベルの所持金じゃねえええええ(爆笑)


雫:よっしゃ!!買い物じゃぁぁぁあ(大爆笑)


GM:だから待てって!!お前ら対ドロップ品特化のスキル構成してるってのに店売り品に頼るって言うのか!!!


叶実:あれー?女神様は何も買わないのー?


GM:「買うわよっっ!!!」(一同超爆笑)



この後3人は、《ヒール》でHPを、ギルドサポートの《祝福》でMPをそれぞれ全回復させ、各々いらないものを売り払い、思い思いの装備品を購入した。




セッションのメインテーマが崩壊した瞬間であつた。




□■□



《装備品》

ディジーナイフ/ファインダガー

グリーンベレー

ファインバックラー

アスリートギア


《所持品》

iスマートフォン、自動二輪車、レトルトカレー×3、聖水×5




叶実

《装備品》

手提げバッグ

闘士のバンダナ

黒のローブ

マナカラーリング

学術書


《所持品》

Aスマートフォン、栄養ドリンク、幸運のストラップ、霊水×3




女神アイム

《装備品》

闘士のバンダナ

フェザーアーマー

護りの指輪

高位聖印




雫:おい待て(爆笑)『闘士のバンダナ』『フェザーアーマー』とか、公式ヒロインの格好じゃねぇか!


GM:いいじゃん強いんだから(笑)えーと、あとは道具だが…………………あ。


叶実:ん?


GM:よし、女神様、スマホ買おう。(一同大爆笑)


雫:えええええええええ!??(爆笑)


叶実:女神様が急に現代文化に目覚めた(爆笑)


GM:だって強いじゃーん。《精神》に+1すればカドケウスの効果で《プロテクション》も+1だぞ??


雫:ま……まぁいいんじゃないか?(笑)


GM:やったー!




《所持品》

釣り竿、バックパック、強酸瓶×3、滑剤瓶×3、



…………Aスマートフォン…。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ