CLIMAX PHASE
GM:君たち3人が次の部屋の中に入ると、まず目に入ったのは……牛頭の魔族の後ろ姿。
雫:あぁ。ハゲンティか。
GM:早ェよ(笑)……だが正解。魔族の名はハゲンティだ。今は机に向かって何か作業をしてるみたいだね。コトコトという何かを煮込むような音と、腐った卵のような刺激臭が漂ってくる。
叶実:そこ臭いのかよ!?(笑)
GM:紫色の煙が漂ってるね。
叶実:イヤそれ思ったよりヤバそうじゃねーか!??(一同爆笑)
雫:絶対吸ったらアカンやつや(笑)
叶実:媚薬の比じゃないな(爆笑)
GM:(笑)…まぁ、臭いってだけで特に何かデバフがかかるワケじゃないから大丈夫だ。……さて、君たちが近づいてきたことに気づいたハゲンティがようやく振り返ったね。
叶実:あ、しまった。不意打ちすりゃよかった。
GM:もう遅い。…イヤ、どっちにしろ絶対やらせなかったけど(笑)……えーと、ハゲンティは君たちの姿を認識すると、「フン」と荒い鼻息を吐き、口を開いた。
「オルゴーレムたちは失敗したようだな……ギルマン共は役に立たんし……全く。使えない連中だ」
雫:……ギルマンたち?
GM:水の部屋の真ん中の島にいた奴ら(一同爆笑)
雫:俺ら会ってねえええええええええええ(爆笑)
叶実:ギルマンメイジは倒したけどな(笑)
GM:イヤ、それとは別に色々いたんだよ…。まぁそれは別にいいや。ハゲンティは続けてこう言うよ。
「やぁ君たち、私の研究所へようこそ」
叶実:研究所?初心者用のダンジョンじゃなかったのかよ。
GM:「それは少し前までの話だ。今は私が研究室として使用している。…この洞窟に来る冒険者たちは新米ばかりなのでな。実験対象とするにはもってこいだったのだ」
雫:実験?
GM:「爆発とか毒ガスとかあっただろう?」
雫:あああっ!??なんかやたらと同じトラップばかり集めてると思ったらそんな理由だったのか!??
GM:「あとは媚薬とか粘液とか」(一同爆笑)
叶実:アレもお前のせいかよっっ!??(爆笑)
雫:イソギンチャクなんか作り出して何がしたかったんだ(爆笑)
GM:「まさか百合パが来るとは……僥倖であった」(一同大爆笑)
雫:僥倖てなんだ僥倖て!??
叶実:お前…牛のクセに人間の女が喘いでる姿に萌えたりするのかっ!??(一同爆笑)
GM:(笑いながら)ま、まぁ…とにかく。入り口にセキュリティシステムがいたのも、初心者向けのハズなのにエティンとかがいたのも、全てはコイツがダンジョン自体を改造したのが原因だ。
雫:なるほど。つまり俺らが苦労したのは全てコイツのせいと。
叶実:学術書で殴るぞコラ。
GM:待て待て待て(笑)殺るなら戦闘で殺れ。えと……ハゲンティの台詞の続き………
「……この部屋まで到達できたのはキミたちが初めてだよ。…まさかあの水の部屋をほぼ無傷で通り抜けるとは……全く、恐れ入る」
叶実:はっはー!!ウチの女神様を舐めてもらっちゃあ困るぜぇ??
GM:「そんなキミたちにはご褒美として、私が開発した最強兵器の実験台となって頂こう」
雫:うんデスヨネ。知ってた。
叶実:大丈夫。猿より強いヤツは出て来ないだろうから。
GM:「少しは動揺とかしたらどうだ!??……ま、まぁいい。この兵器を見ればその余裕も消えるだろう。さぁ、圧倒的な攻撃力の前に消し炭となるが良い!!いでよ、『バーサクゴーレム』!!」
雫:?……あ、お前のオリジナルエネミーか。
GM:その通り! 部屋の壁がガシャン!という音と共にシャッターのように巻き上げられ、高さ約5メートルほどの大型のゴーレムが姿を現した!!
叶実:デケェ!!?
GM:その手にはドデカいハンマー!! 心臓部は赤く光り輝いており、頭部の1つ目は君たちの姿を確実に捉えている!
雫:なんか演出が豪華(笑)
GM:当たり前だ!クライマックスだからな!!ハゲンティも興奮してるぞ!「フハハハハ!見よ!!コレが科学の力だぁぁぁあ!!!!」
叶実:あの牛殴りたいんだけど。
雫:いや、アレは無視してゴーレム先に倒さないと。
GM:「ひどいっ!??」(一同爆笑)……さて、ではここでこの戦闘のルールを説明するぞ。
叶実:え?ルール違うの??
GM:イヤ、基本的には同じだ。ただ、戦闘終了条件や特別ルールが追加されるから、その辺の解説をね。
雫:あぁはいはい。それじゃあ解説よろ。
GM:はーい!
クライマックスフェイズ特別ルール
①戦闘終了条件はハゲンティに『止めを刺す』こと!
②ハゲンティはエネミースキル《真の死》を持っているため、通常の方法ではとどめを刺せない。
③ハゲンティにとどめを刺すには、フリーアクションでそれを宣言した後にメジャーアクションでアイテム『ソウルヒーター』を使って攻撃する必要がある。
雫:……ん?そんなアイテムあったっけ??
叶実:いや、持ってないよ。
GM:(←にっこりしている)
雫:(←GMの顔を見て)……あ、まさか……
GM:そう!そのまさかだ!!
④『ソウルヒーター』は、『バーサクゴーレム』からドロップする。
⑤『バーサクゴーレム』のドロップ品決定ロールは、このエネミーが戦闘不能になった直後に行う。
雫:やっぱりかぁぁあ!!!!(爆笑)
叶実:よかった!《派遣販売》は使ったけど、このシナリオの本筋はまだ消え切ってはいなかった!!
GM:ほんとだよ(笑)このギミック入れといてよかった。
雫:…………待てよ?これだと『ソウルヒーター』がドロップしなかったらハゲンティに止め刺せなくて戦闘終われなくね?
GM:あぁ。もちろんその辺は考えてあるよ。
⑥『バーサクゴーレム』は、クリンナッププロセスの時点で『ソウルヒーター』をドロップされていなかった場合、HP60で戦闘不能を回復する。
雫:うわぁぁぁあっ!??面倒くせぇ!!?
叶実:無限ループかよっ!??キツすぎるって!!
GM:だから言ったじゃん。舐めてると死ぬって。
雫:やべぇ。前の部屋と違ってGMが楽しそうだ。
GM:そりゃそうだよ。こいつは《バーサーク》《ソウルヒート》で狂戦士化して《ボルテクスアタック》とか《ブルータルストライク》とか乗っけて殴りまくるタイプだからね。5レベルPCなんて一撃だよ一撃。
叶実:待って。マジで冗談じゃない気がするぞ。
雫:こりゃ本気ださないとな(笑)
GM:OK!それでは戦闘に入りましょう!ここで女神様がハゲンティと相対し、右手を掲げ高らかに宣言します!!
「《ハンズオブライトI》!!!」
□■□
ラウンド1
GM:キミたち3人は同一エンゲージで、そこから5m前方にバーサクゴーレム。さらに5m離れたところにハゲンティがいる。
雫:行動値は?
GM:お前より早いのなんていねぇよ(笑)セットアッププロセスでは女神が《ハイロウコール》を発動。カドケウスを召喚して《アタックハイロウ》!『Aスマートフォン』の効果も乗ってダメージに+24だ!!
叶実:女神様、最後の大仕事(笑)
GM:そうなんだよな(笑)………じゃあ最後だし、一応言っとくか。
雫:?
GM:「お前たち!やーーっておしまい!!」
雫&叶実:アーラホーラサッサーー!!(一同爆笑)
雫:さて、まずは俺の行動だな。ムーブアクションでバーサクゴーレムにエンゲージ!
GM:よし来い。
雫:ゴーレムは魔法に弱いのでマイナーで『聖水』!メジャーアクションは通常攻撃!!命中は(ダイスを振る)…達成値21!
GM:クリティカル以外無理………だめ、回避失敗!
雫:《ピアシングストライク》さらにフェイトを3点使用!!!合計8D+38点!!1点でも通れば《放心》だ!!
GM:げ…このタイミングで放心はキツイ……
雫:(ダイスを振る)…66点の光属性魔法ダメージ!
GM:魔法なので全部抜けるね。まだ余裕だけど。
雫:そうか?案外そんな余裕もないとおもうぞ?
ここで何故かほくそ笑む雫 (のプレイヤー)
GM:…ん?いやいやまだ100点以上のこってるし。
雫:そうじゃない!ダメージが通ったって時点で貴様の死は目前まで迫っているのだ!!
GM:……ん?……………あ、ぁぁぁぁぁぁあ!!
雫:そう!行くぞ必殺!!《スティールっ!!》
GM:やべぇ!?素で忘れてた!??
……とは言っても、GMは内心そこまで焦ってはいなかった。
というのも、『ソウルヒーター』のドロップ値は18以上。3Dだと最大値で、4Dや5Dの期待値も上回っている。
つまり、そうやすやすと出るような物では無いのだ。
叶実:《トレジャーマニア》使用!ドロップロールに+1D!!
雫:残りのフェイト使用!さらに+1D!!
これで5D。思ったより遥かに早かったが、GMが想定していた通りの展開が来た。
ここで良い目が出れば即終了!
悪い目が出れば《トレジャーマニア》もフェイトも失って最悪のオチになる。
どう考えても、ここが最大の山場となる。
さて、どうなるか……。
GMが息を飲んだその時
雫:《アーシアン:召喚》を使用!!さらに+2D!!
GM:…………………………ん?
なにやら予想外の事態が発生した。
雫:合計7Dでドロップロール!!
GM:ちょ…ちょっと??
雫:(ダイスを振る)げ、ちょっと低い。達成値20。
GM:……………………………………………………
20………ソウルヒーター
雫:いよっしゃぁぁぁぁぁぁあ!!!(爆笑)
叶実:一瞬でゲットおおおおお!!!(爆笑)
GM:嘘だろっ!??ドロップロールに7Dて……お前らアホか!??(一同超爆笑)
因みに、7Dの期待値は24.5である。
叶実:アホじゃねぇよ!ドロップ品特化のスキル構成にしてあるだけだ!!
雫:その通り!!《スティール》の存在を考慮してシナリオを組まなかった貴様のミスだ!!
GM:ぬおおおおおおおお!!!!!!…仕方ない。
ずぅん!!心臓部を失ったバーサクゴーレムはそのまま地面に倒れ伏した。
雫&叶実:いぇ〜い!
GM:待て待て!!まだ終わらないぞ!!次はハゲンティの行動だが、コイツにはオリジナルスキル《煙幕スティール》を持たせている!このスキルの効果は、『グレネードを使用した攻撃で1点でもダメージを与えた場合、対象と幸運の判定対決を行い、それに勝てば所持品の中から任意のものを奪うことができる』というものだ!!
叶実:うわっ!?なにそれ!!
雫:ウソだろもうフェイトねぇよ!?
GM:因みにバーサクゴーレムは決して戦闘不能になったワケじゃないからな。ハゲンティが『ソウルヒーター』を取り返したら次のイニシアチブプロセスで戦闘に復帰するぞ。
雫:げえええっ!??なにそれ!??
叶実:HPとかはそのまま?
GM:HPとかバッドステータスはそのままだよ。未行動状態ならすぐさま攻撃もできる。
叶実:うわっ!?行動済にならないのか!??
GM:その通り!それじゃあ行くぞ!ハゲンティのメインプロセス!!
「フハハハハ!!科学の力を見せてやろう!!ムーブで雫のいるエンゲージのすぐ側まで移動!!マイナーで《グレネード:ポイズン》!メジャーで投擲!!!命中は………」
(ハゲンティのデータを見て)……げっ!?コイツ命中低い!??(一同爆笑)
雫:確かめとけよGM(爆笑)
GM:……でも、当てるしかない!命中判定2D+9!!(ダイスを振る)…来た!達成値20!!
叶実:高っ!??
雫:回避……18で失敗!
GM:「よっしゃあぁぁあ!!当たったぞおお!!」
叶実:喜んでんじゃねーよGM。
GM:あ、今のハゲンティのセリフな(一同爆笑)
叶実:喜んでんじゃねーよ牛ィ!!(一同大爆笑)
GM:「ぬはははは!!我が猛毒を喰らうがよい!」ダメージロールは22+2D(ダイスを振る)今回も高いぞ!!!達成値31点!
「《女神プロテクション!》30点軽減!!!」
差し引き1点の物理ダメージ!!!(一同超爆笑)
雫:物理防御を差し引いてダメージは0です(爆笑)
GM:「おのれ女神!小癪な!!」
「私の壁を破ろうだなんて10レベル速いわ!!」
「くそおおおおおおおおおお」(一同爆笑)
叶実:一人二役てなんかズルい(爆笑)
雫:もはやGMの一人芝居だな(笑)
GM:ぐ…ダメージ通らなかったので《煙幕スティール》は無し!続いて叶実ちゃんの行動!!
叶実:マイナーで最後の『霊水』、メジャーで《エアリアルスラッシュ》&《リゼントメント》!命中は3D+16で(ダイスを振る)……達成値30!
GM:ハゲンティのダメージと同じくらいあるじゃねーか!?(一同爆笑)(ダイスを振る)回避失敗!
叶実:《マジックフォージ》使用!ダメージロール!まずは通常で7D+5、『霊水』で+2、『マナカラーリング』で+2、女神支援+24、《マジックフォージ》が+6D、そして最後に《リゼントメント》+50を加えて……合計13D+88!!
GM:高えええええええええ!??
叶実:(ダイスを振る)…あれ?低くね!??ダイス目43だから…合計131点の風属性魔法ダメージ!
GM:いや十分すぎる!ハゲンティの魔法防御力は5、HPは80!!よってハゲンティ、戦闘不能!!
雫&叶実:よっしゃーーー!!!
GM:マジかよおおおおお(爆笑)ラスボス1ターンキルとか嘘だろおおおおお!??(一同大爆笑)
叶実:猿の方が強かった!
雫:実質ボスはあいつらだったな(笑)
GM:ぐぅ……じゃあ次のラウンドに…
雫:いやいや。まだ女神様の行動があるじゃない。
GM:え?いやあとは止め刺すだけだよ?
叶実:させよ止め。じゃないと本当の意味での1ターンキルにはならないし(笑)
GM:いや…いいの?随行NPCにやらせて。
雫:問題ない。ほぼPCみたいなもんだし(笑)
叶実:それに女神様だしね(笑)
GM:「そ、そう……わかったわ」
女神はそう言って歩きだした。
GM:ムーブアクションでハゲンティにエンゲージ。
雫:途中で私のいるエンゲージ通りますね。ではそこで『ソウルヒーター』を渡します。
GM:マイナーで受け取ります。そしてフリーアクションで『とどめ』を宣言!メジャーアクションで通常攻撃!同時に『ソウルヒーター』を使用!!
『ソウルヒーター』から放たれる淡い光が女神の全身を包み込んだ。
不思議と力が湧いてくる。
女神はその手に握る杖を掲げ、力つきて横たわるハゲンティの姿を視界に入れた。
GM:命中判定は成功。ダメージロールにフェイト1点と《ディーヴァ:ヒーロー》を使用。合計6D+5!
ハゲンティの物理防御は18なので、それを越えれば成功だ。(ダイスを振る)……3、5、5、5、6、6………達成値…35!!
「魔族ハゲンティ。『女神アイム』の名において、あなたを討伐いたします」
カドケウスの杖が眩い光と共に振り下ろされた。
ハゲンティの研究所は眩い光とすさまじい熱風に包まれ、轟音が鳴り響く。
異世界より召喚された2人の女の子たちは、思わず目を瞑った。
……数秒の後に辺りが静けさを取り戻し、雫と叶実はそっと目を開いた。…そこにはもうハゲンティの姿は無く、代わりに目に写ったのは……
「………終わったわよ」
満面の笑みを浮かべた、女神の姿であった……。