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ー裁きへの秒読みー1

 太平洋、海のど真ん中、歩く男、その男を取り囲む戦艦、空母。数は数えられないが、男の進行

方向側は厚く壁のように重なっていた、その先には・・・日本が・・・。男の頭上には数機の戦闘機が

旋回を続けていた。歩く男は水面を波が起ころうとも、その波を踏みつけながら進んでゆく。肩に担

いだ空母にも似た大きさの・・・核弾頭・・・。

この奇妙な男の進行を止められない原因はそこにあった。一艘のボートが近づいていく。男の手前100M位で止まる。

ボートには3名。操縦士と交渉人、そして銃を男にかまえる軍人。交渉人が拡声器を構えて、

「止まりなさい。あなたの目的をなんとか中止していただきたい!!さもなくば最終手段に移らせていただく。これは最後の警告だ!!」

 男は止まった。担いでいる核弾頭はその半分以上が水面下である。

「ふ・・・最後、ときたか・・・ま、そうだろうな・・・話に聞くトキオまではあと60キロくらいか?

これ以上近づけば首都に限らずも被害は出るからな・・・。ま、聞きもせんが・・・。」

 男は首を横に振った、担いだ物の重さもないといった様に・・・。

それを確認したボートの男たちは、一様に見合い、引き返す。旋回でなく、反転ターンでスピーディにその場を去る。

「ふふ、そこじゃ手遅れだよ・・・。なーにを見てたのかねぇ。今まで・・・」

 男は若干腰をかがめると“ズァバー!!!”という凄まじい波涛音を立てて水面下に埋もれていた核弾

頭を水面上に持ち上げ、まるで木材を持っているかのように向きをかえた・・・。反転し、そのまま戻

るボートは軍事用なのだろう、150キロを越えていた。皆、振り落とされまいと必死にしがみ付いていたが、

交渉人がふと振り返ったとき、一瞬、陰ったかと思うと“ドグァアアッッ!!!”男の持っていた

反対側がボートめがけて振りぬかれるかたちになった。人影はもう水上にはない。

ボートもすでに原型はなかった。

 ある空母の一室・・・。通信士が叫ぶ。

「エリック!エリック!?応答を!エリック!!」

「もういい!! 反応が消えている・・・。化け物め・・・。」

「艦長、このままでは日本の想定被害圏に入ります!!ご命令を!!」

「・・・やむをえん。全艦、最終防衛線まで退避。艦載機は総出撃し対象を殲滅せよ。

なお、退避を完了させた艦から援護行動に移行する!!」

 「イエッサー!!!」

 指令はものの一分とかからず全艦隊に伝わったのか、男を取り囲む艦隊は油膜が散るように離

れていった。

離れていくと同時に艦載機が出撃していく、一旦、男の頭上を旋回していた機も離れ、出撃した戦闘機と合流した。

「ははは、やっとヤル気になったんだな。でも、それこそ手遅れだ・・・。アイツもきっと、もうこっちに来てるはずだ。」

 ある戦闘機。5機集まり旋回している先頭の機。

「こちら、マチルダ3番隊、スミス。アタックはトップを切らしてくれ!!ミサイルにブチ当てようが命の代えてもヤローは殺す!!」

「スミス!!落ち着け! 被害を最小限に抑えるんだ。」

「どうしようもないだろ!!攻撃対象より対象付加物の方がデカイんだぞ!!他の戦闘機隊に知らせてくれ。退避しろってな!!」

「お、おい!!スミ・・・!!!」

「・・・すまねぇ、だが、エリック達のお返しがある。核弾頭めがけてアタックすんのはこれが初体験だな、はは」

 「・・・・よろしければ、より貴重な体験をしませんか?断らせませんが。」

【!!!!!】

 スミスは戦慄した。一人乗りの戦闘機。飛行中に聞こえてきた通信とは違う声。

人の習性である。あたりを見渡すと、右翼に腰を掛けているシルクハットに襟を立てたタキシード姿の男が見える。

雲に入ったのか、一瞬消える。メットの中、瞬きを繰り返すスミス。が、翼が雲を切り裂きながらも人影は消えず、

雲を抜けたとき、男は翼に立ちながらも近づいていた。バランサー、他の計器類を確認しても異常はない。

「ふふふ。ご心配なく。まだ、なにもしませんよ。お初に、Mr.スミス。私はメフィスト。メフィスト・フォレスと名乗ります。

実はあなたが攻撃しようとしている彼、私の古くからの友人でして、しかも彼、今、大事な仕事の最中なのです。」

 スミスは深呼吸し呼吸を整えると、

「フン!!化け物の仲間か。どおりで異常なトコで異常なカッコしてると思ったぜ!!」

「どうも」

「ちょうどいいや。今からお前のダチと一緒に遠くに飲みに行くつもりだったんだよ。お前も連れてってやるよ。」

「はぁ、嬉しいお誘いありがとうございます、が、生憎、彼も、私も仕事中ですので、ご遠慮します。」

「いいよ、遠慮すんなよ! 遠くじゃあるがもうすぐだからよ!!」

"ヒイィィィ―――ン!!!”音速の轟音が核弾頭に襲い掛かる。今、スミスの心に様々な思いが広がっている。

『・・・エリック、いまそっちにいくからな。ディック、お前が次にリーダーしろよ。』

『んー・・・それはどうかな?』

 ハっと我にかえるスミス

「お前、まだいたのか?じゃあ行きてぇんだな?」

「はは、残念ながらそれはご遠慮したはず。ただぁ、ディック、という方、きっとリーダーには・・・なれないでしょうね。」

「なんだと?俺以外は全退艦させたはずだぞ?」

[ザザッ・隊長、た、隊長!!コントロール不能!!ど、どうなってんだ!?わかんねぇ!!隊長!!隊長ぉ!!!]

「ディ、ディック!!どうした!どこにいる!速く離れろ!ディ・・・!!!」

スミスは絶句した。ここでようやくセンサーを見たのだ。自分の機体の後ろに連凧のように連なる反応。

「ははははは。気づきましたか?やっと。私、今アクセサリーに凝ってましてね、しかもチェーンの、

繋げるの好きなんですよ。尻尾の方は箒みたいにしときました。どうです?センサー上だとビーズアクセサリー

みたいでしょう?ま、現実もなかなか壮観ですよ?お見せできないのが残念です。」

「な、なぜだ?こんな距離ならアラームが鳴っても・・・」

「ふむ、あなたは少し、熱くなりやすいタイプですね。あなたの機体は既に、私が乗っ取っています。

今、動かしているのは私なのです。あなたはただ乗っているだけ。 

あなたにはこれから掃除をしていただきます。ま、動かすのも私ですが。」

「な、なにをするって?」

「私の造った魔法の箒で路上のゴミを掃き散らすんですよ。さて、早速取り掛かりましょう。、と、その前に彼に挨拶しませんと。」

“ヒュイイイィィ――ン”轟音立てて核弾頭に近づいていた機体は数珠繋ぎとなったまま海面すれすれを飛行している。

速度はないに等しく浮いているのが不思議なくらいである。後ろに連なる機体もなぜか沈む事はなく、

海面に波を立てながら先頭が核弾頭を持つ男の寸前で止まるのと同時に止まった。


狂気の時間が始まる・・・。

とりあえず「1」とあるように、序章ながらもさらにその中で何回かに分けた話になります。不勉強なのでおおざっぱな表現や「そりゃ違うだろう」的な部分があるとは思いますが空気で読んでいただければ幸いです。ちなみに主人公は当分出ません。(笑い

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