season 2 アヅチ町(勇者サイド)
アヅチ町は、屋根瓦の丸い形の住居が建ち並び、町の奥に、これまた丸い、ウエディングケーキのような形をした屋根瓦の城があった。ケンイチが町中を歩いていると、3人のサムライ達が近寄って来た。
サムライ1「おい、ゴリラ、お前は羽根と触覚がついてるから魔物だろ、魔物はこの町に入ったらいけない決まりなんだよ、さっさと出ていきな。」
サムライ2「お前は悪い魔物じゃないかもしれないが、この前、グラスランドシティーが魔物達に破壊されてな、そういうことになったんだ、悪いが出て行ってくれ。」
サムライ3「あ、ゴンドウさん、ネテタさん、魔物がうろついてるんで、今から追い出すところてす。」
ゴンドウ「悪いな、ゴリラの兄さん、知ってのとおり、この町は人間しかダメなんだ、悪いが他をあたってくれ。」
ケンイチ「今、着いたばかりなんだ、明日には出て行くから、一晩だけでもこの町に泊まらせてくれないか?」
ネテタ「ダメだな、今すぐ出て行ってくれ。」
ケンイチ「嫌だと言ったら?」
ゴンドウ「嫌だと言うのなら、このコテツで斬らなければならないなあ。」
ケンイチ「コテツ?」
コテツは、ケンイチがゴリラになってから、売ってしまった刀だ。
ゴンドウ「そう、幻の刀、コテツだ。今宵のコテツは、血に飢えている。」
ネテタ「ゴンドウさん、まだ昼ですよ。」
ゴンドウ「ハハハハッそうだな、どうする、ゴリラの兄さん、コテツの餌食になるかね?」
ケンイチ「ゴリラパンチ!!」
ケンイチは、いきなりゴンドウの顔を殴り、ゴンドウは吹っ飛んで気絶した。
サムライ達「この野郎!!」
ネテタ「待て!!俺が相手をしよう。」
ケンイチ「お前らを全員ぶちのめして、コテツをもらうことにする。」
ネテタ「ほう、残念だがゴリラ、お前は俺には勝てない。」
ケンイチ「逆だ、お前が俺には勝てない。なぜなら、お前は剣の闘い方しか知らないからだ。」
ケンイチは、ネテタに背中を向けて走り出した。
ネテタ「な、待て、このゴリラ野郎!!」
ネテタは、ケンイチを追いかけた。ケンイチが左に曲がったのを見て、ネテタも左に曲がったが、ケンイチはいなかった。
ネテタ「あのゴリラ、どこに行きやがった!!」
ネテタが、しばらくキョロキョロしていると、背後から声がした。
ケンイチ「おい、ここだ!!」
ケンイチは、丸い鬼瓦の建物の屋根の上にいた。
ケンイチ「喰らえ、瓦手裏剣!!」
ケンイチは、屋根の上から10枚ぐらい瓦を、手裏剣のように投げた。
ネテタ「クッなんて姑息な奴だ!!山攻撃破剣!!」
ネテタは、ケンイチの投げた瓦を全て、なんとか刀で打ち落とした。
ケンイチ「心眼剣みたいなもんだな。」
ケンイチは、三日月刀を抜いて屋根から降り、凄まじい気迫でネテタに歩み寄った。
ネテタ「凄い気迫だが、隙だらけだ、必殺!!三段突き!!」
ネテタが三段突きをすると同時に、ケンイチもネテタの左鎖骨辺りに三日月刀を振り下ろした。ネテタの三段突きは全てケンイチの胴体に当り、服に穴が開いたが、血は1滴も出ずケンイチは倒れなかった。逆にネテタの左鎖骨は砕けて、ネテタは右膝をついた。
ネテタ「なぜだ!!俺の三段突きは全て決まったはずだ!!」
ケンイチは、服をめくり、瓦を20枚ぐらい地面にばらばらと落とした。
ネテタ「汚い奴だ。」
ケンイチ「峰打ちだ、お前程の相手となると、斬り合いは避けられないからなあ。だから、汚い手を使った。」
ネテタ「まだだ、まだ勝負は、グハッ」
ケンイチは、ネテタの顔面を殴り、ネテタはその場に倒れ気絶した。
ケンイチ「さてと、コテツを奪いに行くか。自分で売っといて奪うなんて、やってることは魔王だな、まあ、実際、魔王なんだが。」
サムライ3「ネテタさん!!このゴリラ野郎!!」
サムライ3が、刀を抜いて斬りかかって来た。




