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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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season 2 デビルマリンタウンのマーメイド(キャバクラサイド)

無数のハンバーガーのような形の建物から、丸い棒状の石でできた柱が海に向かって伸びている。ここは、海人が住む街、デビルマリンタウン。海人達は、尾びれや背びれを使って、空を飛んだり、海に潜ったりしている。夜9時、上半身が人間で、下半身が魚のマーメイド・ユキナは、他のハンバーガーの建物より、少し高い所にあるキャバクラ・竜宮城に出勤していた。


ユキナ「今日も海王来るのかなあ、嫌だなあ。」


タコ子「良いじゃないの、海王様に気に入られるなんて、羨ましいわ。」


タコ子は、顔がタコで体が人間だが、手と足がタコで合わせて8本ある。どれが手でどれが足かは特に決まっていない。


イカ子「ユキナは人気あるからね、最近、引っ越したの?」


イカ子は、顔がイカで体が人間だが、手と足がイカで合わせて10本ある。タコ子と同じくどれが手でどれが足かは特に決まっていない。


ユキナ「人間のストーカーがしつこいから、海の中のマンションに引っ越したの。」


タコ子「マンションいいなあ、私はこの間、一戸建てのタコツボ買ったからなあ。」


イカ子「私の家は巻き貝よ、ヤドカリのゲンさんから巨大な巻き貝の貝殻をもらったの。」


タコ子「あんた、それ、ヤドカリみたいになっちゃてるじゃん。あっハッチャンいらっしゃい。」


ハッチャンは、タコ子の常連でたこ焼屋をしている人間だ。


ハッチャン「なあ、タコ子、俺は究極のたこ焼を作りたいんだ、だからお前、俺に焼かれてくれよ、俺のたこ焼になってくれよ。」


タコ子「またその話?嫌よ、私はまだ死にたくないの、じゃあね、ユキナ。」


タコ子は席を立ち、ハッチャンと奥の席に座った。


イカ子「あっサブロウさん。」


サブロウは、世界の祭を回り、出店をしている人間だ。


サブロウ「なあ、イカ子、今度セニョール市で祭があるんだが、イカ焼きをしようと思うんだ、頼むよ、俺に焼かれてくれよ、俺のイカ焼きになってくれよ。」


イカ子「またその話?嫌よ、私はまだ死にたくないの、じゃあね、ユキナ。」


イカ子は席を立ち、サブロウと奥のタコ子の隣の席に座った。


ユキナ「そろそろ来る頃かなあ、嫌だなあ。」


海王「よう、ユキナ、会いたかったぜ。」


ユキナ「いらっしゃい、海王様、今日も来てくれて嬉しいわ。」


ユキナは商売がら、心にもない言葉が口から出た。海王は、全長2センチほどのタツノオトシゴだ。


海王「なあ、ユキナ、俺の女になれよ、俺の女になったら、この海はお前のものだ。」


ユキナ「海王様、私はデビルタウンが欲しいわ。」


海王「デビルタウン?」


ユキナ「そう、私は月に行きたいの。」


海王「デビルタウンが、月に行く唯一の船だという噂は俺も聞いたことがあるが・・・・ユキナ、お前は月に行きたいのか?」


ユキナ「うん、だって、働かなくていい楽園なんでしょ、地球はちょっとしんどいわ、私的に。」


海王「楽園かどうかは分からないが、月に行ったら地球に帰る気がなくなるみたいだな。」


ユキナ「そうそう、きっといい所よ、ヘブンよ、ねえ、海王様も一緒に月に行きましょうよ。」


海王「そうだな、ユキナと一緒なら、月もいいかもな。」


ユキナは、本当は海王なんかと一緒に行きたくなかったが、ついつい商売がら、口から言葉が出てしまった。


海王(ユキナは、たぶん俺のことが好きだな。)


海王はそう確信して、ユキナの手の中に入った。これは、海王からすれば、ユキナの手をさりげなく握ったという行為であった。

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