season 2 街の種(勇者サイド)
グラスランドシティーの街中は、荒れ果てて何本ものカイワレ大根ビルがしなびれていたが、街中から少し離れた魔王病院辺りは大丈夫そうだった。
ケンイチ(たぶん、シルビアやセイジ達は大丈夫なはずだ、先生やヒミコさん達も、おそらく大丈夫だろう。)
ケンイチは、崩れかけている地下街の入口を見つけて入った。地下街の中は、避難している人が少しいて、多くの人はアリ塚コロニーの方へ避難したようだった。目印の八百屋に入り、談話室のドアを開けると、そこに40代半ばぐらいの男、市長が座っていた。6畳ぐらいの広さの部屋で、机と椅子か1つに、来客用の黒のソファが4つ、テーブルが1つ置いてあった。市長とケンイチは、ソファに座って話を始めた。
市長「魔王様、呼び出してすいません、実は頼みがありまして。」
ケンイチ「市長、久しぶりだな、セニョール市で会って以来だな。」
市長「魔王のあなたが、まさかセニョールで勇者をしているとは思ってもいませんでした。」
ケンイチ「で、頼みというのは?」
市長「はい、実は街の種を買って来てもらいたいのです。」
ケンイチ「街の種、あの勇者の村に売っているという種だな、めちゃくちゃ高いらしいが、金はあるのか?」
市長「はい、街の貯金を使おうかと。」
ケンイチ「なるほど。こんなときだしな、問題は仏だ、俺は勇者に憧れてる魔王だからなあ。」
市長「仏の所までたどり着けて、しかも信用できるのは、この街では魔王様しかいません、ダメ元でお願いします。」
ケンイチ「分かった、とりあえず仏の所まで行ってみよう。」
ケンイチは、市長の部屋を出て地下街の服屋に寄り、特大サイズのジーパンと緑と赤のチェックシャツを買って着た。そして、地下街で魔法使いタクシーを呼んだ。
ケンイチ「ヘイ、タクシー!!」
中年の魔法使いのおっさんが、ゆっくりと歩いて来た。
魔法使いタクシーのおっさん「どちらまで?」
ケンイチ「普通に歩いて来るとは、全然魔法使いっぽくないなあ、仏の所まで。」
魔法使いタクシーのおっさん「悪いな、ゴリラの兄さん。タクシーでは仏の所には行けないんだ、手前のアヅチ町までなら行けるが、どうする?」
ケンイチ「じゃあ、アヅチ町まで。」
魔法使いタクシー「了解、忘れ物はないかい?じゃあ、アヅチ町までレッツラゴー!!」
臼緑色の光に包まれて、ケンイチはアヅチ町に着いた。
ケンイチ(まずは、街の種を手に入れて、街を復興させてから魔王退治だ。そして、デビルタウンを壊滅させてやる!!)
ケンイチは、魔法使いタクシーのおっさんにタクシー代を払い、アヅチ町に入っていった。




