避難場所にて(キャバクラサイド)
黒服の案内でレイコ達ホステス嬢と客達は、カッパを着て順番に緑色の液体の中に入り、1階に降りた。
レイコ「凄い、この犬、緑の液体弾いてる。」
レイコは、ポチに乗ったままカッパを着て非難した。1階に着くと、みんなはカッパを脱いで、月明かりを頼りに裏通りを歩き、非難場所であるアリ塚コロニーを目指した。
「レイコさん、後ろに乗ってもいいですか?」
羽根アリのレイコより少し年下のホステスが、ポチに乗りたいと言ってきた。
レイコ「いいわよ。」
セナ(おいおい、いつからレイコさんの飼い犬になったんだよ。)
「私も」
もう一人、ポチに乗りたいという羽根アリのホステスが現れて、ポチの背中に3人乗った。
「うわあ、ふっかふか、なんかいいシャンプーの匂いがする。」
セナ(ポチは、お手伝いさん二人雇ってて、毎日、風呂場で洗ってもらっているらしいからなあ。)
レイコ「ねえ、そこの石男、あなたもこの犬を見習いなさい、あなた、石の匂いしかしないわよ。」
セナ「悪かったなあ!!俺は、石男じゃなくて、ガーゴイルだ!!」
少し歩くと、無数のアリ塚コロニーがあり、多くの人達が集まっていた。人々は、ポチとセナを見て悲鳴をあげた。
「うわっ魔物がここまで攻めて来た!!」
レイコ「みんな、落ち着いて。私のペットよ。」
中年のおっさんが一人、レイコに絡んできた。
中年のおっさん「ほんとか?おい、姉ちゃん、こいつはペットってレベルじゃないぞ!!」
レイコ「本当よ、ホームセンターのペットショップコーナーで買ったのよ、この犬が2000円で、あっちの石男は600円よ。」
中年のおっさん「最近のホームセンターは、こんな奴等まで売っているのか!!まあ、犬は分かるとして、石男もペットなのか?」
レイコ「そうよ、正確には、石男は漬物石の精霊よ、普段は漬物石で、退屈な人生を送っているの。」
中年のおっさん「そうなのか?おい、石男、お前は漬物石なのか?」
セナ「・・・・はい、私は漬物石の精霊です・・・・。」
中年のおっさん「そうか。」
中年のおっさんは、納得してその場を去った。
ホステス達は笑った。
セナ(こんな屈辱、初めてたぜ、なんで俺は、漬物石の精霊とか言ってしまったんだろうか・・・・。)
レイコ達がアリ塚の中に入ると、羽根アリの昆虫人や人間だけでなく、森に住む巨大なイノシシや、熊までもが何頭か避難していた。イノシシや熊達は、我が物顔でアリ塚コロニーの中を牛耳って、羽根アリの昆虫人や人間達を隅の方に追いやっていた。
レイコ「おいコラッそこのイノシシと熊公ども、この場所は私達が座るから、あんた達はあっちに行きなさい。」
レイコは、ポチに乗ったまま、近くにいた巨大な熊の頭に蹴りを入れた。熊は怒って、レイコに襲いかかろうとしたが、ポチが睨むと怯んで、渋々何処かへ行ってしまった。ポチはどっかりと腰を下ろすと、他のイノシシや熊達もどこかへ行ってしまった。
羽根アリのホステス達ははしゃいだ。
羽根アリのホステス1「凄いケルベロス、さすが地獄の番犬ね。」
羽根アリのホステス2「私もほしい。」
セナ(いいよなあ、ポチは。それに比べて俺は、いいとこなしだなあ。)
レイコ「ねえ、漬物石、ちょっと肩揉んで。」
セナ「はあ?」




