グラスランドシティーへ(勇者サイド)
ため池を囲むように、飲食店があり、ケンイチとコジロウは、サムレス(サムライレストラン)の隣のとなりの店のうどん屋に入っていった。
コジロウ「ごめんよ、おーい、ヒミコ、ちょっとグラスランドシティーまで、魔法で送ってくれないか?」
ヒミコ「はーい、ちょっと待って。」
奥の部屋から、近又白衣を着たヒミコが出てきた。茶髪でユニフォームの帽子を被っているため、髪を後ろに結んでいた。歳は、20代半ばぐらいかな?たぶん。
ヒミコ「今から?」
コジロウ「そうだ。」
ヒミコ「じゃあ、グラスランドシティーで私も買い物するから、ちょっと待って。送り代金は1ね。」
コジロウ「おう。」
コジロウは、グラスランドシティーで、魔王軍団が暴れていることは言わなかった。ヒミコが、行かないとか言い出すと、説得するのが面倒くさくなるからだ。
コジロウ「このうどん屋は、ヒミコの実家で、両親がしてるんだ、ヒミコは手伝いだから、ある程度、自由が利くというわけだ、羨ましい話だぜ。」
ケンイチ「まったくです、やっぱり、働くなら自営業がいいですね。」
コジロウ「儲かるならな。俺の道場みたいに、経営が苦しいと、自営業は地獄だぜ。」
そうこう話をしていると、ヒミコが着替えをして出て来た。グレーのチェスターコート、白の長袖のプリントTシャツ、紺のスキニーパンツ、黒のエナメルシューズを履いて、結んでいた髪を伸ばして、買い物をする気満々だ。
ヒミコ「お待たせ、先にお金をちょうだい。」
コジロウ「ほらよ。」
コジロウは、ヒミコに100円玉を渡した。
ヒミコ「おいおいおいおい。」
コジロウ「しょうがないなあ、おい、ケンイチ、1やれ。」
ケンイチは、ヒミコに千円札を渡した。
ヒミコ「おいおいおいおい。」
コジロウ「まじかよ、ケンイチ、もう一桁ランクアップだ。」
ケンイチは、ヒミコに1万円札を渡した。
ヒミコ「OK、じゃあ行きましょう、はーい、もうちょっと二人とも私に近寄って、せーの、グラスランドシティーに、バキュンバキュン!!」
ケンイチ達は、丸い光の球体に包まれて、グラスランドシティーに着いた。グラスランドシティーは、静まり返っていた。いつも何百匹と飛んでいるはずの羽根アリバイクは、飛んでおらず、カイワレダイコンのビルが、何本か折れていた。
ヒミコ「なんか、いつもと違うわね。」
コジロウ「とりあえず行ってみるか。」
3人が街の中に入ると、魔物達が物を破壊し、人を襲い、金や金品を奪って、1ヶ所に集めていた。シティーナイト団、羽根アリ隊、グラスランドシティーを守る会などの警備隊の連中が、魔物の攻撃を喰らったためか、倒れていた。
ヒミコ「せっかくショッピングに来たのに。」
コジロウ「とりあえず、魔物退治だ。」
ケンイチ「クソッあのゴリラの魔王め、今日こそケリをつけてやる!!」




