ヤマタイコク(勇者サイド)
ケンイチは、草原を進むと、巨大な10メートル程のイタンポだらけの林につきあたった。その林の中に入ると、着物を着た人間が、黒くて赤い斑点模様がある虫・イタドリハムシに乗って移動をしていた。
ケンイチ(ここがどうも、ヤマタイコクみたいだな。)
ケンイチは、虫に乗っているサムライ風な男に訪ねた。
ケンイチ「この町に、光の味噌汁があると聞いて来たんだが、どうしたら貰えるんだろうか?」
サムライ「うおっお前、悪魔だな、斬るぞ、この野郎!!」
ケンイチ「いや、俺は光の味噌汁を・・・・」
サムライ「うせろ!!お前にやる光の味噌汁はねえ!!」
周りの町民達は、ケンイチを見て、逃げるようにその場からイタドリハムシに乗って立ち去った。
ケンイチ(クソッたぶん、このなりじゃ、誰に聞いても悪魔とか地獄の使いとか言われて、相手にされない、こうなったら、このサムライに無理やり聞くしかない。)
ケンイチは、サムライの胸ぐらを掴んだ。
ケンイチ「おい、光の味噌汁はどこにあるんだ?教えないと、ブレーンバスターを喰らわすぞ!!」
サムライ「うわああああ、悪魔め、本性を現しやがったな、俺はサムライだ、悪魔には屈せん!!」
ケンイチ(さすがサムライだ、こいつは死んでも口を割らないな、聞く相手を間違えたぜ。)
ケンイチは、サムライを離して、その場からイタドリハムシの速度をあげて去ろうとしている、中年の商売人風な男を追いかけた。イタドリハムシの速度は、人間の早歩きぐらいの速度なので、すぐに捕まえた。
中年の男「ヒイッ」
ケンイチ「コジロウはどこにいる?教えないと、脳天から地面に叩きつけるぞ!!」
中年の男「教えます、教えます、コジロウ先生は、ここから真っ直ぐ行った剣道場にいます。」
ケンイチ「ありがとよ。」
ケンイチは、真っ直ぐ道場に向かおうとすると、さっきのサムライが立ち塞がった。
サムライ「この悪魔め、コジロウ先生の所には行かせん。」
ケンイチ(ん?この構えは・・・・。)
サムライ「喰らえ、秘剣!!ツバメ返し!!」
ケンイチ「やっぱりな。」
ケンイチは、背中の羽根を触り、空高く翔んで、ツバメ返しとその斬撃をかわした。
ケンイチ「また今度な。」
サムライ「うおっ空を飛びやがッた!!やはり、俺の目に狂いはなかった、アイツは悪魔だ!!」
ケンイチは、そのまま翔んで、剣道場に向かった。跳びながら周りを見ていると、イタンポは、ビルであったり、家であったり店であったりと、この町の建物であることが分かった。
ケンイチ「グラスランドシティーのカイワレ大根が、イタンポになった感じだな。あれか?」
他のイタンポと比べると、少し高さが低いが、かなり太いイタンポで、ツバメ道場と書かれた立札があった。まだ灯りがついていたので、ケンイチは、そのイタンポの中に入った。
ケンイチ「御免下さい、先生、ケンイチです、昔、グラスランドシティーで、いつも先生に、剣を教えに来てもらっていたケンイチです。」
コジロウは、正座をして、目を閉じて瞑想をしていたが、目を開けて、ケンイチの方を見た。
コジロウ「ん?ん?おお?俺は、瞑想中に寝てしまって、夢を見ているのか?いやいやいやいや、どうも現実のようだな、とりあえず、嘘つけ!!なんで、ケンイチがゴリラなんだ?しかも羽根とか触覚までついてるし・・・・さては、お前、天使だな?」
ケンイチ「はい、天使です。」
コジロウ「嘘つけ、そんな天使がいるか!!とりあえず、お前が何者か分からんが、何の用だ、道場破りか?」
ケンイチ「弟子思いの先生に、頼みがあります、実は、光の味噌汁を分けて欲しいのです。」
コジロウ「・・・・中に入れ、サムライは、心で人を見る、いや、人じゃなかったか、ゴリラか、いや、羽根と触覚がついてるし・・・・まあ、何でもいいや、お前がケンイチというのなら、ちょっと剣を構えてみろ。」
ケンイチ「失礼します。」
ケンイチは、剣道場に入り、剣を中段に構えた。




