できる人、ミナ(勇者サイド)
ケンイチ達は、羽根アリバイクの目から出るライトを頼りに、夜の草原を突き進んだ。草原には、ライオン人間やハイエナ人間が、所々に獲物を探しているのか、うようよしていた。なので、ケンイチ達は、少し高めに飛んだが、これがいけなかった。
ヨタカ・ガマグチ「おお、あれは、俺の好物の虫じゃないか、頂きだぜ。」
鳥人間のヨタカ・ガマグチは、背後から、羽根アリバイクに乗っているジャイアントパンダのコバヤシに蹴りを入れ、コバヤシを蹴落とした。
コバヤシ「うわああああ。」
ケンイチ「コバヤシ!!」
ヨタカ・ガマグチ「ハハハハッこの虫は頂いてくぜ、あばよ。」
ミナ「魔王様は先を急いで下さい、ここは私が。社会の闇に忍びます、忍者モード!!」
ミナは、黒のテーラードスーツ、黒のハイネックのアンダーシャツ、黒のロングパンツという忍者スタイルに変身した。
ケンイチ(黒装束じゃないんだな、最近の忍者は。スーツかっこいいなあ。)
ミナは、ヨタカ・ガマグチにクナイを投げた。
ヨタカ・ガマグチ「ぐわっ」
ヨタカ・ガマグチは、叙々に下降していき、コバヤシが落ちた所から、少し離れた所に着地した。
ミナ「あのクナイには、毒が塗ってあります、まずは、コバヤシさんを拾って、その後、羽根アリバイクを回収してから、魔王様を追いかけます。」
ケンイチ「一人で大丈夫か?」
ミナ「大丈夫です、私を信じて下さい。」
ケンイチ「分かった。」
ケンイチは先に進み、ミナは、コバヤシが足を伸ばして、座っている所に羽根アリバイクを着地させた。
ミナ「大丈夫ですか?コバヤシさん。」
コバヤシ「イタタタ、右足が折れたみたいだ。」
ミナは、コバヤシに回復魔法をかけた。骨を一応くっつけたが、完治はしていない。
ライオン女1「おや、見たことがない肉がいるわ、みんな、ご馳走があるわよ。」
ライオン女1の一声で、10人程のライオン女達が集まって来た。ミナとコバヤシは、囲まれてしまった。
ライオン女2「何、この白黒のは?毒があるんじゃないの?」
ライオン女3「あんた知らないの?パンダよパンダ、動物人間図鑑に載ってたわ、たまには、本ぐらい読みなさいよ。」
ライオン女1「とりあえず、殺っちゃおうよ。」
ライオン2「賛成。」
ライオン女達は、一斉に襲いかかろうとしたその時、
ミナ「出でよ、ガマ!!」
10メートル程ある巨大なガマガエルが現れた。ミナは、ガマガエルの上に乗り、ガマガエルは、ライオン女1を丸呑みした。
ライオン女達「きゃあああ、なんなの?そんなのあり?」
ガマガエルは、ライオン女2、ライオン女3も続けて丸呑みした。
ライオン女達は、一斉に逃げ出した。
コバヤシ「ミナさん、凄いなあ。こいつは無敵だな、これで、夜の草原は安心だ。」
ミナ「そうでもないんですよ、この子、疲れやすいんです、とりあえず、コバヤシさんの乗って来た羽根アリバイクを見に行くので、私の乗って来た羽根アリバイクのライトで、あの辺りを照してもらえますか?」
コバヤシ「分かった。」
コバヤシは、なんとか羽根アリバイクに乗り、ミナが指を差した辺りをライトで照らした。ミナは、ガマガエルに乗って、照らされた所を探すと、クナイが背中に刺さった、鳥人間の男が倒れていた。しかし、羽根アリバイクはいなかった。おそらく、どこかへ逃げたのだろう。
ガマガエル「ゴー、ゴー。」
ミナ「え?もう疲れたの?」
ガマガエルは、鳴き終わるとすぐに消え、ミナは草原に降ろされた。その辺りは、なぜか草のいい香りがした。
ミナ「いい香り。」
ミナは、コバヤシの方へ歩いて行き、羽根アリバイクに乗った。
コバヤシ「やはり、いなかったか。とりあえず、ヤマタイコクへ向かってみよう、次、なにかトラブったら、ミナさんの魔法か俺のスケッチで、グラスランドシティーへ帰ろう。」
ミナ「そうね、そうしましょう、運転は、大丈夫ですか?」
コバヤシ「なんとか。きつくなったら言うから、その時は代わってくれ。」
ミナ「分かりました。」
ミナとコバヤシは、再び羽根アリバイクに乗って、ヤマタイコクを目指した。




