そして・・・・(魔王・勇者サイド)
ポチはクンクンと鼻をならし、狩人のタカシが銃口を向けたゴリラの方へ歩いて行き、尻をゴリラの顔に向け、右の後ろ足で顔に蹴りを放った。
セナ「銃を撃たなくてよかったな。あんた、危うく勇者殺しになるとこだったぜ。」
セナがそう言った瞬間、ポチは腹にパンチを喰らい、2メートル程吹っ飛んだ。
「このバカ犬が!!主人の顔に蹴りを入れやがって!!」
セナ「ゲッ魔王様!!ポチ、間違えてんじゃねえよ!!」
タカシ「・・・・魔王で当たってたじゃん。」
街の男「あの巨体のケルベロスを一撃でぶっ飛ばすとは。しかも、回復力が魔王は早すぎる。」
勇者ケンイチは、意識を取り戻しつつあったが、まだ立ち上がれずに寝ている。
しかし、魔王はもう立ち上がって、デビルタウンに向かって歩き始めていた。
セナ「魔王様、ポチがよろけてます、それに勇者にとどめをさすチャンスです。」
魔王「あんな犬知らん、放っておけ、勇者はまた今度だ、公衆の面前で、飼い犬に蹴りを入れられて恥ずかしいわ、魔王の威厳台無しだ、今日はもう帰る、キャバクラに金を払っておいてくれ。」
セイジ「ケンイチ、大丈夫か?」
セイジは、まだ横になっているケンイチのところにしゃがみこみ、話しかけた。
ケンイチ「俺は負けたのか?」
セイジ「いや、相討ちで引き分けだ、ダブルノックアウトだ。」
ケンイチ「・・・・そうか。すまないがセイジ、回復魔法を頼む。」
セイジ「ああ、分かった。」
セイジの中途半端な回復魔法で、ケンイチは少しだけ回復して立ち上がった。
街の男1「あいつ、さっき楽しそうに勇者を蹴ってたぜ。」
街の男2「ああ、見た見た。」
セイジは気まずくなった。
ケンイチ「セイジ、だからお前は勇者になれないんだよ、キャバクラに金を払っといてくれ、それから明日は朝7時に出発だ。」
そう言ってケンイチは、少しよろけながら宿屋の方へ歩きだした。
セイジは悔しかった。
「くそ、勇者とはいえ、ゴリラに見下されるとは。回復なんかせずに、殺しておけばよかった。」
セナとセイジが、キャバクラに金を払いに来た。
レイコ「魔王さんと勇者さんによろしくね。」
レイコは、大した金を払わない魔王や勇者なんて、もう来なくていいと本心では思っていたが、つい商売がら、そんな言葉が出てしまった。
セナは、セイジに話しかけた。