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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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魔王の実家へ(魔王サイド)

魔王「せっかく勇者に戻ったから、ちょっと実家に帰って来るわ。」


シリウス「ええ?今からですか?もう遅くないですか?」


デビルタウンの時計台は、夜の8時を回っていた。


魔王「8時なら、まだ大丈夫、ツエちゃん、俺の実家まで連れてってくれないか?ポチも一緒に。」


ケンジャノツエ「分かりました。」


シリウス「行ったこともない場所に、魔法で行くことができるのか?ケンジャノツエは。」


ケンジャノツエ「はい、その場所に、行ったことがある人が他にいれば行くことができます。勇者様、私の手を握って下さい、では行きますよ、勇者様の実家に乾杯!!」


シリウスとセナも、ケンジャノツエの魔法に巻き込まれ、魔王の実家に着いた。


シリウス「な・・・・ここは・・・・。」


セナ「あの世とこの世の境目のようですね。」

  

三途の川がいくつも流れ、どんちゃん騒ぎをしている屋形船が何艘も通っている。人間、魔物、昆虫人、海人、それから見たこともない種族が乗っており、みんな、頭に天使の輪がある。突然、人間が三途の川に飛び込み、そのまま浮かんでこず、また誰も助けに行かなかった。


シリウス「勇者の村があるというのは、本当だったのか、まさか、この世とあの世の境目にあるなんて。」


セナ「単なる噂じゃなかったんですね、一時期、以前の魔王様が勇者の村を捜そうと必死になったことがあったんですが、これじゃあ、見つけれるわけがない。」


シリウス「ケンジャノツエじゃないと、勇者の村には行けないというわけだったのか。」


勇者の村は、他の三途の川より何倍も大きい川の上に、花のつぼみのような形をした建物が、いくつも浮かんでいた。あちこちに行けるように、川の上に道が蜘蛛の巣のように敷かれている。魔王達は少し歩き、青い花のつぼみの建物の前に立った。魔王達を建物は感知し、つぼみはゆっくりと開き、花びらとなった。魔王達は、雄しべと雌しべのアンテナがある中央に進むと、中に吸い込まれ、玄関にいた、魔王の母がやって来た。


魔王の母「うわっまさかとは思ったけど、生きてたのね、たまには連絡ぐらいしなさい!!お父さん、タケトが帰って来たわよ!!」


魔王の父「まことか!!」


魔王の父もやって来た。


「タケト、元気にやりよるかのう、お、友達も一緒か、まあ、みんな、上がれや、ポチもおるんかや。」


魔王「親父、なんか食べる物ないかなあ、腹減った。」


魔王の父「おお、分かった、母さん、なんか、うまいもの作ってやってくれや、タケト、腹減っとんやと。」


シリウス、セナ、ケンジャノツエ「おじゃまします。」


魔王の母「ええ?何もないよ、おにぎりぐらいしかできんよ、ちゃんと帰って来るときは、連絡ぐらいしてもらわないと。」


シリウス「いえいえ、我々は大丈夫です。」


魔王達は、リビングに通され、ポチは居間で横になった。


セナ「ここは、川の中なんですね。」


シリウス「みたいだなあ。」


魔王の母が、お茶を持って来た。


魔王の母「ちょっと勇者スーパーで、惣菜買ってくるんで、待ってて下さいね。」


シリウス「いえいえ、ほんと、我々は何もいりませんから。」


魔王の母は買い物に行き、魔王の父がやって来た。


魔王の父「みなさん、タケトがお世話になっております、ツエちゃん、以前は世話になったなあ、タケトをよろしく。ちょっとポチに、ミルクでもやってくるかのう。」


そう言って、魔王の父は出て行った。


セナ「アウェイ感がたまりませんね。」


シリウス「確かに。まあ、でも最近は、勇者の仲間になる魔物もいるから、大丈夫だろ。」


魔王「みんな、俺が魔王やってるっていうのは、黙っててくれよ、勇者が魔王やってるなんて、前代未聞だし、それ聞いたら、親父は脳溢血で倒れるかもしれん。知名度が低い勇者ということで、話を合わせてくれよな。」


シリウス「分かりました、お父様は、今は何を?」


魔王「地獄で守衛をしている、2交代で、週に3日ぐらいだけどね。」


セナ「以前は、やっぱり勇者だったんですか?」


魔王「うん、みたいだね、サタンを倒したとか言ってたなあ。」


シリウス「ええ?サタンをですか、どうりで最近、天空都市を見なくなったわけだ。」


ポチに、ミルクをやり終わった魔王の父が、入ってきた。


魔王の父「タケト、調子はどうだ?勇者の村に生まれたからといって、勇者をしなくてもいいんだぞ、最近はインフレで魔物も強くなってるし、勇者は、危険なわりには意外と儲からないからなあ。」


魔王「ああ、分かってる。」


魔王の父「近所のセイジ君は、地方公務員になったらしいが、勇者には、まだなれてないみたいだ、本人は、勇者になりたがってるらしいが。まあ、タケトが元気なら、わしはそれでええんよ。」


魔王の母「ただいま、たいした物がなかったんだけど、とりあえず買ってきた、この時間は、かなり安くなってるのね。」


魔王の母が、エコバッグを下げて帰って来た。

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