魔王のビルへ(勇者サイド)
シルビア「カッパを着て下さい。」
シルビアは、ビルの入口に置いてある籠から、カッパを5つ取り出し、みんなに手渡した。
カイワレ大根のビルに入ると、緑の液体の滝が、上下に何本も流れていた。
セイジ「外から見えた緑のラインて、これだったのか。」
ケンイチ、シルビア、セイジ、リョウ、カンダの5人は、カッパを着て、緑の液体の中に入った。
シルビア「5階にお願い。」
シルビアは、液体に向かって言った。
セイジ「このビルの中を移動する度に、カッパを着ないといけないんですか?」
シルビア「はい、別に濡れてもいいなら、着なくても大丈夫です、この液体は水ですし。カッパを着たり脱いだりするのがめんどくさい人は、水着を1年中着てます。」
5階に着き、緑の液体から出て、シルビアは、1番奥の501と書かれた壁を触った。白い壁は、ぽっかりと人が1人通れるぐらいの穴を開けた。
ケンイチ「ここが、俺の部屋だな。」
シルビア「はい、魔王様以外の方は、明日から病院の方で入院してもらうので、ひとまず今日は、この魔王様のビルに泊まっていただきます。」
それからシルビアは、セイジ、リョウ、カンダをそれぞれ502、503、504に案内した。それぞれの部屋は、1LDK で、居間とリビングの広さは、だいたい10畳ぐらいだった。
ケンイチは、部屋の入口にある籠の中にカッパを脱いで入れ、服入れのロッカーから適当に、Tシャツと短パンを選んで着た。部屋を見ながら昔を懐かしんでいると、シルビアが入って来た。
シルビア「魔王様、失礼します、旅で疲れていると思いますが、聞いて下さい。実は、天狗アリの昆虫人の新婚が、シリモチピカリに食べられているらしく、何とかしてほしいと依頼がありまして。」
ケンイチ「新婚で、空中浮遊しながらエッチしている最中に食べられるんだろ?前もそんなことがあったなあ。空中浮遊しながら、エッチするのをやめて、アリ塚の中でするように以前にも言ったんだが。」
シルビア「空中浮遊しながらの方が、天狗アリの昆虫人は、妊娠しやすいそうです、私もヤンキー時代の友達に、青かんじゃないと興奮しないからダメって人がいました。」
ケンイチ「そうなの?じゃあ、天狗アリの昆虫人は、青かんが好きなのか。」
シルビア「フフフッそうかもしれませんね。」
セイジは、どうなんだろう、あいつはデリヘル野郎だから、インドア派か?ケンイチは、ふと思った。
ケンイチ「じゃあ、明日の昼にでも、ジョニーも呼んで3人で、天狗アリの所に行ってみよう。あ、それから、三日月刀を用意してほしいんだが。」
シルビア「分かりました、羽根アリの羽根は?もし闘うことになれば、空中戦になるかと。」
ケンイチ「たぶん、明日目が覚めると、ゴリラに戻ってると思うんだ、ゴリラはでかいから、羽根アリの羽根で、飛行するのは無理かなと。」
シルビア「分かりました、明日は半分恐くて、半分楽しみです。」
セイジは、ベッドで横になって休んでいると、横腹が少し痛かったが、退屈なので、隣のリョウのいる部屋、503に行こうと部屋を出た。すると、ケンイチの部屋、501からシルビアが出てきた。
セイジは、シルビアさんは、ケンイチの女か、いや、たぶんセフレだなと思った。ケンイチは魔王なんだから、セフレは何人もいるはずだ、シルビアさんもその内の1人にすぎない、クソッいい女を魔王って奴は、次から次へと弄びやがって許せん。俺も男の娘を抱いて、早く勇者にならなければ。勇者になって、まずは魔王のケンイチを倒してやる、などと思っていると、シルビアが話しかけてきた。
シルビア「セイジさん、明日入院するんで、今日はおとなしくしていて下さいね。」
セイジ「はい。」
と、言いながらも、壁を触ってリョウの部屋に入ろうとしたが、壁は開かなかった。
セイジ「おーい、リョウさん。」
セイジは壁を叩いて、リョウを呼んだ。
リョウ「あ、セイジさん、ごめんなさい、横腹が痛いのと、今日はもう休みたいから、また明日ね。」
壁越しにリョウの声が聞こえた。
セイジ「そうか、じゃあ明日。」
セイジは、ガクッと落ち込み、自分の部屋に戻った。




