MOON'S QUEEN レイコ・レインコート
心機一転・ケンイチ(名前からして、シャカって、仙人みたいな感じかと思っていたが、ただの喧嘩バカじゃないか。見た感じ、30過ぎぐらいのオッサンだし。)
ミチルは、シャカに向かって言った。
ミチル「ってかさ、アンタ馬鹿なんじゃないの?オッサンが学ラン着てタイマンだとか言って。いったい、いつの時代よそれって感じ。」
シャカ「黙れ!!今すぐ、お前のその減らず口を言えないようにしてやる!!うおおおおおおおお!!」
シャカは雄叫びをあげて拳を握りしめ、ミチルに殴りかかった。ミチルは、得意の少林寺拳法で応戦し、2人の乱打戦が始まった。
シャカ「なるほどな。その動きからしてお前は、今、流行りのアンドロイドか。ならば、サンダーボルトパンチ!!」
シャカの右拳から電撃が流れ、それを左手でガードしたミチルは全身が痺れて動けなくなった。
シャカ「フフフフッどうだ!!動けまい。ん?」
辺りの景色が変わり、ただ草が生えていただけの空地が、いつの間にか風俗街になっていた。そして、すぐ側で金縛りのように動けなくなっていたミチルの姿はなくなっていた。
心機一転・ケンイチ「この街並みは天竺。あの女が一瞬で、天竺を作り出したと言うのか。」
シャカ「おい、そこのゴリラ。お前はゴリラのくせに、天竺へ行ったことがあるのか?」
心機一転・ケンイチ「ああ。まあ、一度だけ。ところで、さっき言ってたダイヤルってのは何だ?」
シャカ「ダイヤルってのは、この大陸の最先端の北側にあるチャンネルのことだ。金庫を開けるときに、ダイヤルを回して鍵を開けるだろ、あれの大きいバージョンだ。」
心機一転・ケンイチ「よく分からんが、そのダイヤル式の鍵みたいなのが、この大陸の最先端にあって、そのダイヤルを合わせれば、月へ行けると?」
シャカ「そうだ。そのダイヤルは、曜日ごとに違うんだ。そのダイヤルが書かれたメモ用紙を、俺が持っているというわけだ。いつも肌身離さず、この学ランのポケットに入れて持ち歩いている。」
2人が話している側に、レーザー光線が飛んできた。
シャカ「ゴリラよ、話は後だ。すぐ片付けるから待ってろ。そして次はお前の番だ、すぐ闘えるように準備体操でもしとけ。」
そう言うとシャカは、レーザー光線が飛んできた方向へ走って行った。
心機一転・ケンイチ「これは長引きそうだな。」
一 月 ピリューエル 一
コジロー達デビルタウン一行は、月人の墓地で少し休憩をして、再び地下街に戻り、スーパーコンピューター・イザナミを目指して歩き始めた。
シボラ「レイコ・レインコートを買って行くから、あそこの雑貨屋に寄ってくれ。」
魔王・コジロー「レイコ・レインコート?なんだそれ?」
シボラ「月の女王・レイコは、ハートの雨を降らす。その雨を浴びた者は、人ならキャバクラに嵌まり、死ぬまでキャバクラに通い続ける。アンドロイドなら、レイコの僕になってしまうのだ。」
コジロー「月にキャバクラがあるのか?」
シボラ「ある。この街の中にもほら、あそことかあそこに。」
シボラが指を指した所に何軒もキャバクラがあった。
デビルタウン一行「ホステスはアンドロイドなのか?」
「女性もキャバクラに嵌まるの?私、女の人に興味はないんだけど。」
「お、あそこにホストクラブがあるぞ。女は、ホストクラブに嵌まるんじゃないのか?」
シボラ「月にいる人間達は、金持ち連中だけじゃない。たまに発生する亜空間に巻き込まれたり、ランダムゲートを通って来たりと、普通の一般庶民の人達もいるんだ。そういう人達は、働かないといけないから、月にも働く場所があるんだ。というより、作ったんだけどな、地球の真似して。」
デビルタウン一行「なんだよそれ。結局、月も地球と一緒じゃないか。」
「幻滅したぜ。子供の頃から俺は、月は働かなくていい所って教わってきたのに。」
「ひょっとしたらこの宇宙には、働かなくていい星なんて、ないのかもしれないな。」
「お前、そんな夢のないこと言うなよ!!俺はきっと何処かに、働かないでいい星があると信じてるぜ。」
「俺もだ。」
「私も。」
コジロー達は、銀の三角形の建物・雑貨屋の前で立ち止まった。
シボラ「コジロー、レイコ・レインコートを155人分買って来てくれ。」
魔王・コジロー「分かった。そのカッパは1ついくらするんだ?」
シボラ「10000円だ。」
魔王・コジロー「はあ?1つ10000円てお前、155人分だったら155万じゃないか!!」
シボラ「頼む。」
魔王・コジロー「チッ今月は、晩飯は茶漬け三昧だな。」
コジローは、しぶしぶ雑貨屋の中へ入って行った。




