MOON'S QUEEN 脅威の魔王の騎士・副隊長登場!!
一 地獄 一
ケンイチは、3日間、缶詰やポカリを少しずつ飲み食いしながら、採石場から北にパドル・シップを漕ぎ続け、そして、墓石がズラリと並んだ墓地に着いた。墓地の真ん中に、1本だけ細い、幅3メートルほどのコンクリートの道があり、ケンイチは、その細い道上にパドル・シップを濃いで行くと、終点と思われる小学校に
着いた。校門の所に"地獄小学校"と書かれ、その隣に貼り紙がしてあった。その貼り紙には、こう書かれてあった。
"三途の川へ行きたい者は校長室へ"
大悪党・ケンイチ「なんで地獄に小学校があるんだ?」
何人かの人や人型の魔物、昆虫人が校舎の中の廊下を歩いて、1階の校長室に入って行ったので、ケンイチもパドル・シップから下りて、その後について校長室へ行き、中に入った。
校長室の中には、スプライトスーツを着て、黒い髪にリーゼントをし、サングラスをかけた校長と思われる、身長2メートルほどの男が机に座り、その側に秘書と思われる若い眼鏡をかけた、白いスーツに黒のカジュアルパンツを履いた女が立っていた。人々や魔物達は、校長の机の前に1列に並び、次々と三途の川の交通料金・20万円を机の上に置いた。それを秘書の女が数えて、校長の机の、一番下の段の、大きな引き出しの中に入れていった。
金を納めた人々や魔物達は、校長の机から左の部屋へと入って行った。
校長「はい、次。」
ケンイチの番がやって来た。
大悪党・ケンイチ「ない。」
校長「はあ?お前、なめてるの?帰れ!!」
ケンイチは無視して、みんなと同じように左の部屋へ入ろうとしたが、透明の壁に当たって入れなかった。
大悪党・ケンイチ「いてっ」
校長「その部屋には、金を払わないと入れないのだ。金のない奴に、甦る資格はない!!そんな奴が甦ったって、金がないからすぐ強盗や殺人をするに決まっている!!分かったら、さっさとお前の地獄へ帰れ。このゴリラ野郎!!」
大悪党・ケンイチ「俺は、死んでなんかいない!!自分の元の世界へ戻るんだ!!」
校長「なんだと?確かに、お前には天使の輪がないな。」
秘書が、校長の机の一番広い引き出しを開け、資料らしき物を取り出した。
秘書の女「鬼王様、これを。」
校長こと鬼王「ほう。どうやらコイツは、次元の狭間から来たみたいだな。」
ちょうどその頃、デビルタウンでは・・・・。
一 デビルタウン 訓練棟前 一
グランドに、魔王の騎士300名が召集されていた。魔王の騎士達の前には、コジローを始め、新しく魔王の騎士隊長に就任したハルデンと、2人の女と5人の男達が立っていた。コジローが朝礼台の上に立って、話を始めた。
魔王・コジロー「みんなも知ってのとおり、魔王の騎士隊長は、ベテランのハルデンにやってもらう。それから、ここにいる男5人は、俺の剣術道場の弟子達で、向かって左から葵、空、不知火、滝、瑠偉だ。そして、この女が魔法使いの卑弥呼だ。そして、もう1人のこちらの女が、これからお前達の副隊長となる明菜だ。ちなみに、卑弥呼は前職がうどん屋で、明菜はキャバ嬢だ。」
卑弥呼「ちょ、ちょっとコジロー、余計なこと言わないで!!」
魔王の騎士達が、それを聞いてざわめき始めた。
魔王の騎士達「おいおいおいおい、そんなんで大丈夫か?」
「前職がうどん屋とキャバ嬢って。確かにうどんもキャバ嬢も好きだけどよ。」
「俺達は、うどん屋とキャバ嬢の下かよ。ってか、副隊長って、誰でもなれるものなのか?」
明菜「アトミック・レーザー!!」
突然、明菜の両手からアトミック・レーザーが放たれ、魔王の騎士達の頭上を越えて、グランドに落ち、物凄い土煙が上がった。さらに、明菜は魔王の騎士達の中に飛び込み、得意の少林寺憲法の突きと蹴りで、次々と魔王の騎士達を薙ぎ倒し始めた。
魔王の騎士達「グワッま、まじか!!この女!!」
「は、速い!!」
「狂ってる!!」
コジローが見かねて叫んだ。
魔王・コジロー「明菜、ストップ!!ストップ!!月に行くまでに、せっかく補充した魔王の騎士達が全滅してしまう!!」




