ブラックレイン(キャバクラサイド)
リームは席を離れ、窓際にへばりついて闘いを見ていた。リームが元々座っていた席からでも充分見えるのだが、つい熱がはいってしまった。
リーム「いいぞ、魔王はもうおしまいだ!!な、そんな・・・・。」
シリウスの魔法で、空からバスケットボールぐらいの大きさの、超大粒の雨が降り始めた。その雨は粘っとしたとりもちのような雨で、それに当たったアリ達は、身動きができなくなった。
魔王「なんとかギリギリ間に合ったようだな。」
魔王達は、軍隊アリ達の下から這い出た。魔王とポチには、魔法は効かなかったが、セナは雨に当たり動けなくなった。魔王は、セナをポチの背中に乗せ、シリウスの元へと走った。
シリウス「魔王様、遅くなってすいません。セナ、この飴を舐めろ。」
シリウスは、飴をセナの口の中に放り込んだ。セナが飴を舐めると、とりもちがとれ、セナは動けるようになった。
フリン・アリ「さすが魔王軍団ね、どう?私と不倫しない?」
フリン・アリも飴を舐めていた。
フリン・アリ「まさか、"マリア様はご機嫌斜め"の魔法を使うとはね、こんなときのために、"マリア様のご機嫌とり飴"を持っててよかったわ。さあ、相手は私ひとり、あなた達は私を殴れるの?女を殴れるの?」
魔王「・・・・」
フリン・アリ「不倫も浮気もできない、女を純粋な清き透明の水のような生物だと思っているあなた達に、女を殴れるの?」
魔王「ゴリラパンチ!!」
フリン・アリは、3メートル程ふっ飛び、倒れた。
セナ「さすが魔王様、女にも容赦なしですね。キャバクラばかり通ってるから、女には甘いのかと思ってました。しかも、なかなか綺麗な女でしたし。」
魔王「セナは分かってないなあ、俺がその気になれば、レイコだって殴れるんだぜ!!」
セナ「またまた~。」
シリウス「魔王様は、暴力の都よ。ん?」
シリウスが後ろを振り返ると、フリン・アリがふらふらしながら立っていた。
シリウス「魔王様のパンチを食らっても立ち上がるとは。なかなか見上げた根性だな。」
フリン・アリ「魔王・・・・あなたなら・・・・きっと・・・・不倫が・・・・できる・・・・はず・・・・よ・・・・。」
そう言って、フリン・アリは倒れて気を失った。
カオル「レイコ、その気になれば、あんたも殴れるって、魔王が言ってたわよ。」
レイコ「フフフッ冗談でしょ。」
レイコは一瞬思い出した。エルフのイケメンの彼氏が、いつも玉虫を捕ってくれるので、その度に笑顔で「ありがとう。」と言っていたが、ある日とうとう言ってしまった。
レイコ「こんな玉虫なんか貰ったって、お金にはならないの、私はお金が欲しいの、分かる?」
今思えば、悪いことをしたなあ。と、思う。イケメンで優しくて性格のいい彼。しかし、今は、ゴリラの魔王とゴリラの勇者に言い寄られて、かなり迷惑をしている。あの人にしとけば良かったのかなあと、たまに思ったりする。
リーム「ちくしょう、俺の軍隊アリがやられるとは。奴らはこの街の地下に住んでいたから、なにかと便利だったのに。こうなったら、俺がいくしかないなあ、手負いの魔王なら、俺の空手で楽勝だぜ!!」




