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デビルタウン物語  作者: 明日こそはシンデレラ
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MOON'S QUEEN  盗人哲学



     一 デビルタウン 1ヶ月後 一



天気がよく、青空が広がる午前8時過ぎ、コジローは、地下のシボレの部屋にいた。


シボレ「そろそろ月に行くのか?まあ、月までは10秒ぐらいで行けるけどな。」


コジロー「なんで月まで10秒で行けるんだ?天竺まででも、2時間ぐらいかかるのに。」


シボレ「私はモニカとリンクしている。この宇宙は、モニカの意思であり創造だ。だから、この宇宙内なら、モニカに頼めばどこでも10秒で行ける。」


コジロー「天竺に行くのにも、モニカに頼めば良かったな。」


シボレ「たぶん、自力で行けるような所には、モニカは移動してくれないだろう。モニカは、気まぐれだしな。」


コジロー「そうか。月の輪熊の像もセットしたし、魔王の騎士も補充したし。シボレ、早速、月に移動してくれ。」


シボレ「じゃあ、今から街に放送を流す。出発は5日後の午後12時だ。いきなり出発すると、街の人々がと惑うといけないし、それなりの準備もあるだろう。ケンイチはどうする?」


コジロー「出発時にいなければ、放って行く。」


シボレ「冷たいなあ。一番弟子だろ?」


コジロー「これは俺の勘なんだが、アイツは、月には行かない方がいいような気がするんだ。」


シボレ「ふう~~ん。」



     一 ゴリラの里 早朝 一



ミラクル・アマゾンの奥地にあるゴリラの里で、ゴリラ人間のコウジとトモキは、ゴリラの里の最長老と、臼緑色の泉の側で話をしていた。


コウジ「長老、まだ信じてもらえないんですか?」


トモキ「俺達は、本当にゴリラ王に会ったんです。」


長老「お前達、またその話か。ゴリラ王様は月に行ったのだ。ミラクル・アマゾンに帰って来るわけないだろ。さあ、山師の(まさる)さんの護衛に行った行った。こうしている間にも、吸血木の被害が至る所で、でているんだぞ!!」


コウジ「長老、信じて下さい!!」


トモキ「長老!!」


長老は、コウジとトモキを無視して、泉に向かって立ちションをし始めた。それを見て、コウジとトモキはハアッとため息をつき、護衛の任務へと、ミラクル・アマゾンに出かけた。


長老(コウジ、トモキよ。ゴリラ王様は、10年以上この里の秘密の地下室にひきこもって、ゲームをしているのだ。私は毎日、そのゴリラ王様のゲームの相手をしている。今日もサッカーゲームをして来たところだ。今のゴリラ王様は、ガリガリの痩せ細ったゴボウのようなゴリラになっているのだ。)


長老は、立ちションをした泉を見ながら頭を抱えた。


長老「王様があんなんで、ゴリラの里に未来はあるのか。」



       一 地獄 昼過ぎ 一



ケンイチは、サキヤマとともにエメラルドの採石をしていた。


バイト・サキヤマ「いよいよ今日で、お前は退職か。」


バイト・ケンイチ「はい。サキヤマさん、いろいろとお世話になりました。」


バイト・サキヤマ「寂しくなるなあ。退職金、少しでも貰ったのか?」


バイト・ケンイチ「俺は派遣だから、そんなものないです。」


バイト・サキヤマ「だよな。お前、ここから鬼王の所まで歩いて行く気か?」


バイト・ケンイチ「はい。」


バイト・サキヤマ「バカか、お前は!!歩いてなんか行ってたら、1週間以上かかるぞ!!よし、今日の夜8時に、荷物をまとめてこの採石場に来い、分かったな!!」


バイト・ケンイチ「明日の朝までは、寮にいてもいいと言われたんですが。」


バイト・サキヤマ「いいから俺の言うとおりにしろ!!」




   一 地獄 天使の糞 採石場 夜8時前 一



ケンイチは、三日月刀を背負い、リュックに10数個の缶詰とポカリやドリンク剤を詰め込んで、採石場に向かった。採石場に着くと、サキヤマがパドルシップに乗って待っていた。


盗人・サキヤマ「来たか、ケンイチ。さあ、パドルシップ(これ)に乗って行け!!」


無職・ケンイチ「サキヤマさん、パクったんですか?」


盗人・サキヤマ「あたぼうよ。俺の本職は泥棒だ。それから、これも持って行け!!」


サキヤマは、自分の財布から5万円を引き抜いて渡した。


盗人・サキヤマ「その金は、今日の昼休憩のとき、与作の財布をスリして奪ったものだ。噂では、お前が1回召喚される度に、アイツの懐に5万入っていたらしいじゃないか。だから、それはお前の金だ。ほんとは、お前にもっと金を渡してやりたいが、アイツの財布にはこれだけしかなかった。さあ、行け!!明日になれば、お前はパドルシップと与作の金を盗んだ盗人だ!!地獄で盗みをするとは、大胆不敵な奴だ!!」


盗人・ケンイチ「何を言ってるんですか!!これはサキヤマさんが勝手に・・・・。」


サキヤマはケンイチを遮って叫んだ。


盗人・サキヤマ「ケンイチ!!お前はこれから、鬼王を倒しに行くんだろ?これからお前は、大悪党を倒しに行くんだ!!だったら、それを越える大悪党になって行かないとダメだ!!ほんとは2・3人誰かを殺して行けと言いたいが、命ってのは大切だから、盗人で勘弁してやる。」


盗人・ケンイチ「そんな無茶苦茶な!!」


サキヤマは叫んだ。


盗人・サキヤマ「おーい、誰か早く来てくれ!!ケンイチがパドルシップと現場監督の金を盗んで逃げたぞ!!」


盗人・ケンイチ「な、サキヤマさん!!なんてことを!!」


盗人・サキヤマ「じゃあな、ケンイチ。これで、お前は2度とここへは戻って来れない。前進あるのみだ!!」


大悪党・ケンイチ「サキヤマさん、分かりました。じゃあ、これから世界一の大悪党になってきます。」


盗人・サキヤマ「じゃあな。ケンイチが逃げたぞ!!コイツはクズの中のクズだ!!コイツは今まで、いい人ぶってたんだ!!」


サキヤマが叫ぶなか、ケンイチはパドルシップに乗り、物凄い勢いでパドルを漕いで、その場を離れた。

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