SUPERNOVA 素敵な街 デビルタウン
時計台に乗った秀さん、ファージ、シーラ、サファリス、そして魔王の騎士達40名がデビルタウンに着くと、すっかり夜で、街に無数に立てられた高い柱に、巨大な蛍・街灯蛍がとまって、煌々と灯りを照らしていた。噴水広場では、まだ多くの清掃員の人達が、死体を搬送したり、敷石についた血を、棒ずりでゴシゴシとこすって、落としていた。
時計台の2階から、街灯蛍の灯りを、誰もがぼんやりと眺めていた。
サファリス「みんな、着いたぞ!!」
魔王の騎士達「おお!!やっぱりデビルタウンはいいな。」
「ああ。守る勝ちがある街だ。」
ファージ「やっと戻って来たな、素敵な街だ。」
シーラ「ほんとですね。この世界のどの街よりも、デビルタウンは綺麗です。」
秀さん「いい光景じゃのう。」
サファリス「これより、時計台、着陸します。清掃員の皆さん、清掃ご苦労様です。ちょっと危ないんで避けて下さい。」
サファリスは放送をし、人々が、着陸位置周辺にいないのを確認して、時計台を着陸させた。
魔王の騎士達は次々に降り、サファリスも降りて、時計台に残っているのは、ファージ、シーラ、秀さんの3人だけとなった。
ファージ「なんとか帰って来たな、デビルタウン(ここ)へ」
シーラ「早速、最近できた家庭料理キャバクラ"山の幸・海の幸"へ行こうと思うんですが、よかったら隊長も一緒にどうですか?」
ファージ「あの店はやめとけ。全然、家庭料理なんかじゃないらしいぞ。」
ファージ(シーラ、本当は、そんな夜の街になんか興味ないくせに。お前が夜の街に出かけるのは、剣や魔力を高める修業をするためだ。お前が街の片隅で、木刀で素振りを何百回としているのを、魔王の騎士達は知ってるんだよ。)
秀さん「ハハハハッ家庭料理なんか、もう何年も食べてないのう。」
ファージ「じゃあ、そろそろだな。デビルタウンも見れたことだし。秀さん、こんな事に巻き込んで、すいませんでした。」
シーラ「秀さん、俺が弱いばっかりに・・・・すいません。」
秀さん「気にせんでええ。あんな大きな巨木を2本も切れたんだ。わしは大満足じゃ。あんたらも山師にならんか?わしが一人前に仕込んでやるぞ。」
ファージ「山師か・・・・それもいいかもしれませんね。」
シーラ「いや~、俺は厳しいのはちょっと。優しく教えてもらえるならいいかな。」
秀さん「わしは優しいぞ。ハハハハッ」
シーラ「ほんとですか?なんか厳しそうですよ。ハハハハッ」
ファージ「ハハハハッ。」
3人がなかなか降りて来ないので、サファリスは時計台に入り、2階に上がった。窓の景色を見ながら、立ったまま動かない3人にサファリスは話しかけた。
サファリス「いつまでそこにいるんですか?早く帰って、今日は寝ましょう。」
2階の片隅にいた秀さんの召喚人・斧の妹子が言った。
召喚人・斧の妹子「3人は既に死んでいます。吸血木・ジョリーを切ろうとしたあたりで、3人は死んでいたのですが、秀さんの山師最終奥義・魂縛りで、無理矢理、魂を体に縛りつけていたのです。デビルタウンに帰って来るまでの期限付きでした。」
サファリス「そ、そんな・・・・じゃあ、3人はもう・・・・。」
召喚人・斧の妹子「はい。残念ですが・・・・うぅ・・・・私も秀さんが、まさか死ぬなんて・・・・あの人は、世界一の山師でした・・・・うわああああああ!!」
斧の妹子は泣き叫んだ。サファリスは、項垂れたまま黙り込んだ。
斧の妹子「では・・ヒック・・私は・・ヒック・・これで。」
斧の妹子はそう言うと、どこかへ消えていなくなった。
サファリスは、夜空の満月が少し欠けた月を見ながら呟いた。
サファリス「月までが遠い、遠すぎる・・・・。」




