SUPERNOVA 山師の秀さん登場
ムカデバスの先頭に乗ったセプラインが、右、左と指示を出して、密林の中を突き進んだ。進路を変える方向に、白のボロいタオルを木に巻き付けて、目印にしていた。
ムカデバスに乗って1時間ほどで、木で作った小屋と、木で作ったローラーがたくさんある、狭い平地が見えて来た。
セプライン「着きました、ここが山師の秀さんの作業場です。」
ムカデバスの背中から降りて、作業場に入ろうとすると、身長1.6メートル程の2足歩行で人間のように歩く、長袖のTシャツと短パンを履いた、ケンイチとよく似た2匹のゴリラ人間達が立ち塞がった。
ゴリラ人間1「お前ら、何者だ!!秀さんの仕事の邪魔はさせんぞ!!」
ゴリラ人間2「見たところ、水晶人間じゃなさそうだな。」
ジュウベイ「俺達は、秀さんに頼みがあって来たんだ。秀さんはいるか?」
ゴリラ人間1「いることはいるが、何者か分からないお前達に、秀さんを会わすわけにはいかない。」
ムカデバスの後方から、ケンイチとジョリーが降りて来た。
ケンイチを見た、2匹のゴリラ人間違の顔つきが変わった。
ゴリラ人間1「あ、あなたは・・・・王様!!あなたが帰ってくるのをお待ちしてました!!」
ゴリラ人間2「王様!!帰ってくるなら帰ってくると、緑の小さなおじさんで連絡ぐらい下さい。」
召喚獣・ケンイチ「い、いや、俺は・・・・。」
ケンイチが否定をしようとしたが、ジョリーがすかさず口を開いた。
ジョリー「あなた達、頭が高いわよ。このゴリラはゴリラ王よ!!」
ゴリラ人間1. 2は並んで土下座をした。
ゴリラ人間1.2「王様、土下座が遅れて申し訳ありません。また、ゴリラ王様の知り合いの方達とは知れず、数々のご無礼、申し訳ありません。」
召喚獣・ケンイチ「い、いや俺は・・・・。」
すかさずジュウベイが口を開いた。
ジュウベイ「山師の秀さんはどこだ?急いでるんだ!!」
ゴリラ人間1が、木のローラーの奥の方を見ながら言った。
ゴリラ人間1「あのローラーが並べている先で、木を切っています。」
ケンイチ達がその方角を見ると、1人の小柄なチェーンソーを担いだ、やや小太りの30代前半位、黒い帽子を被った男が叫びながら出て来た。
秀さん「おーい、ゴリラ共。休憩にするぞ!!茶は沸いとるか?」
ゴリラ人間2は、たき火にかけたヤカンを見ながら言った。
ゴリラ人間2「はい。沸いてます。」
山師の秀さんは、ケンイチ達の方にゆっくりと歩いて来た。
秀さん「おお?どうや今日は。えらいお客さんがいっぱい来とるが、わしに何か用かのう?」
ファージ「あなたが秀さんですね。実は、天竺の地下に三蔵法師という吸血木がいまして、それを秀さんに切って欲しいのです。報酬の方は、これぐらいで。」
ファージは、指を3本立てた。これは300万を意味したが、秀さんは30万と受けとめた。
秀さん「吸血木か。最近多いのう。よっしゃあ、わしが切ったる!!今すぐか?」
ファージ「はい。」
秀さん「じゃあ、ちょっと支度するけん、待ちよきや。」
秀さんが木の小屋に入ろうとすると、ケンイチの姿が目に映り、秀さんは小屋に入るのをやめて、ケンイチに近づいた。
秀さん「こりゃまた、大きな見事なゴリラじゃのう。ええ体しとる。あんた、山仕事をわしと一緒にせんか?あんたなら、ええ山師になれる!!」
ケンイチ「え?い、いや俺は・・・・。」
すかさずジョリーが口を挟んだ。
ジョリー「秀さん、この人はゴリラ人間の王様、ゴリラ王よ!!」
秀さん「まことか!!どうりで、風格が違うと思たわい。やけど、あんたはええ山師になれると、わしは思う。」
そう言いながら、秀さんは小屋の方に向かった。
召喚獣・ケンイチ「ひ、秀さん、俺は・・・・。」
ファージがすかさず口を挟んだ。
ファージ「ケンイチさんて、本当にゴリラ人間の王様だったんですね。いやあ、実は王様だったんだ。」
召喚獣・ケンイチ「い、いや、だからファージ、俺は・・・・。」
ジュウベイが叫んだ。
「水晶人間の生き残りが、あそこで俺達を見ている!!」
ムカデバスで乗って来た方角から、男と女の水晶人間2人が現れた。




